article

  1. スキー競技のひとつ。坂を加速しながら降りてきてそこから飛び出し、飛んでいる間のフォームの美しさや距離を争う競技。後述。
  2. 空母において艦載機の離陸滑走距離を短くするため離陸(離艦)用甲板の先端部に上向の角度をつけること。主に軽空母とSTOL機の組み合わせで使われる。


Michael_Uhrmann.jpg | Hochfirstschanze.jpg スキージャンプ、あるいはジャンプは、ノルディックスキー競技のひとつ。

ジャンプ台と呼ばれる専用の急傾斜面を滑り降りて(助走)、そのまま角度の付いた踏み切り台から空中に飛び出し、専用のスキー板と体を使ってバランスをとり、滑空する。その飛距離と姿勢の美しさ、「美しく、遠くへ跳ぶ」ことを競う競技。

この競技を行う選手をジャンパーと呼ぶ。

競技


競技は年間を通じ行われ、冬は雪面を滑り、夏は摩擦係数を抑えた専用の滑走路を滑る。夏の場合は、サマージャンプ競技と呼ぶ。

国際スキー連盟主催の世界選手権が二年に一度、冬季オリンピックの前年と翌年に行われる。また、毎年、世界各国を転戦してワールドカップが開催されている。

ジャンプ週間

ワールドカップのうち、年末年始の9日間にドイツオーベルストドロフガルミッシュパルテンキルヘンオーストリアインスブルックビショフスホーフェンで集中して行われる4戦は独自のシリーズを形成する。Die Vierschanzen Tournee(4ジャンプ台ツアー、日本ではジャンプ週間と訳される)と呼ばれるこのシリーズは、ワールドカップよりも遙かに長い歴史を有し、その価値もワールドカップに比肩する。日本人では船木和喜が1997-98シーズンに総合優勝を飾っている。

短期に集中して行われるシリーズながら、長年4連勝で総合優勝するジャンパーはいなかった(笠谷幸生は1971-72シーズンのジャンプ週間を3連勝しながら、4戦目を札幌オリンピックへの調整に充てる国内大会出場のため欠場している。また船木和喜も総合優勝した年は3連勝しながら4戦目は8位に沈んでいる)。また、冬季五輪開催シーズンのジャンプ週間を制した者は必ずそのシーズンの五輪の個人種目で金メダルを獲得する、というジンクスも1984年のサラエボオリンピックから長く続いた。2001-2002年シーズンのジャンプ週間では、史上初めて前者のジンクスが破られ、ドイツのスヴェン・ハンナバルトが4連勝を果たした。しかしその年のソルトレークシティオリンピックではノーマルヒルで銀メダル、ラージヒルで4位と後者のジンクスも破れてしまう。が、団体戦ではドイツがフィンランドをわずか0.1点差で制し、金メダルの獲得はかろうじて継続された。

2005-2006年シーズンのジャンプ週間では、史上初めてヤクブ・ヤンダチェコ)とヤンネ・アホネン(フィンランド)が同点で総合優勝を分け合った。しかし同シーズンのトリノオリンピックでは両者共に個人・団体とも金メダルの獲得はならなかった。

種目

正式種目では、ジャンプ台の大きさや形状、助走距離の長さ、K点までの距離などによって、ノーマルヒル(一般にK点90m。かつては「70m級」と呼ばれた。)やラージヒル(一般にK点120m。かつては「90m級」と。)、フライングヒル(K点は180mを超える。日本には台は存在しない)などの種目に分かれる(別項K点参照)。

(本来、K点は「これ以上飛ぶと危険」という目安であったが、競技レベルの向上に伴い「ジャンプ台の建築基準点」という意味に変化した)

  • ノーマルヒル・ラージヒルは、冬季オリンピックの共通正式種目である。
  • また、スキージャンプのワールドカップでは、ラージヒルとフライングが開催されているが、観戦側のスペクタクル性の観点から近年ノーマルヒルは開催されていない。
  • 通常は個人競技として行われるが、ラージヒルやフライングでは、国対抗で団体戦も行われる。

競技内容の重点

屋外競技のため、天候の向きや強さなどの自然的条件に左右される。また、気温に起因した、特に助走面の質に左右される。外見上は派手でダイナミックな反面、自らの精神状態にも左右されるといった、デリケートな側面も持ち合わせる。

  • しゃがみ込むような助走姿勢で、風の抵抗を防ぎ、スピードを得る。天候のほか、順番による、雪質にも大きく左右される。スキーワックスの種類の判断も、ここで左右する。
  • ジャンプ台上で立ち上がる半動力で蹴り上がる。助走の速度差に加え、この際の踏み切りやジャンプ力、踏み切りの方向、0コンマ数秒のずれが数メートルの差につながるといわれている。踏切時の速度はラージヒルでおよそ90Km/hで、そこからベストな踏切ポイント数十センチ以内で踏み切る動作を求められる。
  • 空中姿勢は静止に見える状態がベストだが、時代で理想形は変化する。2004年現在は、V字飛行のため、両脚でのV字型のスキー、(スキー後方の内側の角が接触し、前方が大きく開いた状態)と、身体とが1枚の板のようになるのが理想とされている。その歴史背景については、後述。
  • 着地姿勢は、テレマーク(姿勢)が理想。床上競技での着地ポーズに相当する。
テレマーク姿勢とは、1.両手を水平に開いた状態2.しゃがんだ状態で、膝から下を前後に開く(後ろの足はつま先立ち)による、着地ポーズをいう。(語源については、後述。)

得点集計方法

  1. 着地するまでの落下・滑空距離(飛距離)
  2. 空中での滑空時姿勢(飛型)
  3. 着地時の姿勢の美しさ(着地姿勢)
をポイント化して競う。通常は2回行い、合計点で競う。

1.は、着地地点での姿勢により、スキーの中間点(一足ランディング:一般に得点が低く不利)、ないし、両足の中間(理想は、テレマーク姿勢:後述)を、それぞれの着地距離地点を担当する、計測担当者の目測により割り出される。飛距離が予測を上回って観測者がいない地点に着地した場合は、実際に計測する。K点の点数を基準に、それぞれ加減された点数を加算する。

2.と3.は、実際に5人の飛形審判員によって行われる。一人の持ち点は20点満点で、公正を期するため、5人中最高最低1名ずつの得点を除き、中間3名の得点合計が加算される。2は空中静止(後述)、3はテレマーク姿勢が理想とされる。それぞれの基準は、歴史上、何度か変更された。

通常は、2本跳んだ後の、それぞれ1~3の合計で順位が競われるが、天候や飛距離の変化により、1本目のトライアルが終了後、2本目の前にスタート地点は変更される。

ワールドカップ形式は、1本目を終えた時点で、飛型点・飛距離点を合計し、上位30人に絞り、残った者から低い順に2本目を跳ぶため、1本目が最高得点した者が、最終となる。現在は、多くの大会でこの方式を用いる。

コスチューム、用具


用具

飛距離をいかにして稼ぐかについて特殊化した、ストックを使用しないスキー競技である。

スキーも幅が広く、長いスキーを使用し、揚力を得て落下を遅らせる役割を持つ。スキーには、その時代で7~9本以上の溝があり、直進方向に適し、スピードを得られる工夫がなされ、踵が上がるようになっている。また板が大きく長いにもかかわらず、非常に軽量である。

毎年各メーカーは規定の範囲で細かな工夫を重ねているが、過去にはスキーの先端が通常の三角形でなく四角くトップの角度を低くした、いわばカモノハシの口のような板や、先端に穴をいくつも開けて空気抵抗を低くしようとした板など、一目見ただけでも判るようなユニークな板もあった。

ジャンプ板を製造できる技術を持ったメーカーは限られており、2005年現在ロシニョールATOMICELANフィッシャーでほぼ占められている。他にはBLIZZARDGERMINAも。過去にはクナイスルエルバッハ等も供給を行っていた。

度々スキーの長さについては規則が改定され、現在は身長とBMIを元に長さを算出する形式が用いられている。よって、身長が174cm以下の選手の多い日本人ジャンパー(選手)には、不利となっている。特に岡部孝信選手は、改訂により、自身が中学生当時に使用していた長さの板を使うことになってしまい、長野五輪以降不振が続いた。原田雅彦選手は体重の減少により、使用していた板の長さが規定を越えてしまい、トリノオリンピックノーマルヒル予選で失格となっている。

複数の日本人選手が、世界的に活躍したシーズンの終了と共に、必ずといっていいほど、日本人選手がより不利になるような改定がなされる事が多いため、日本人差別を主張する関係者もいるが、真偽は不明。ただし、アダム・マリシュ選手など、背の低いジャンパーがルール改訂後に大躍進した例もあり、「日本人選手に不利なルール」といった言い訳が通用しないようになってきており、スキー板の長さの規制が改定された後の日本のジャンプ界の対応が世界に比べ大幅に遅れたのが低迷の原因である、と意見する者がいることも事実である。

一方、長い間低迷していた選手や、ピークを過ぎたと思われて半ば忘れ去られていた選手が突然トップクラスの戦いをすることがあるのもこの競技の特徴で、過去にはディータ・トーマ、イエンス・バイスフロク(ともにドイツ)日本では2004年の東輝、2005~06にかけての岡部など、俄に実力が復活する選手がおり、本人のたゆまぬ努力はもちろんであるが、頻繁に変更される規定などにうまく適合できるかどうかに鍵があるものと思われる。

コスチューム

滑空時に、揚力を得るため、特殊素材のだぶだぶの全身スーツを着ている。これは、現在着用を義務化しているヘルメット同様、転倒着地の際の身体へのダメージを防ぐ、クッションの役割もしている。

競技場


Hakuba-jump-dai.jpg白馬村)]] 2003年現在、日本には、ノーマルヒルとラージヒルの双方の正式競技場(シャンツェ)を有する場所は、冬季オリンピック会場だった、長野県白馬村と、北海道札幌市しかない。

札幌市においては、ノーマルヒルが「宮の森ジャンプ競技場」、ラージヒルは「大倉山ジャンプ競技場」である。

シャンツェごとに形状や条件が異なるために、また、同一の会場でも大会毎、一試合内でも各トライアル毎に、降雪や風向きといった天候条件が異なり、また、気温や選手の使用状況による、刻一刻の助走斜面の雪質の変化など、共通の記録が設定できない。そのため、それぞれの競技場での「バッケンレコード(最長不倒記録)」といった形で、最高記録が認定される。

ヒルサイズWの決定は、その地点のランディングバーンの角度によって決定する。ノーマルヒルは角度31度、ラージヒルは角度32度、の地点での距離をヒルサイズと称する。

フライングヒル 185m以上
ラージヒル 110m~184m
ノーマルヒル 85m~109m
ミディアムヒル 50m~84m
スモールヒル 20m~49m

歴史


Saguenay_Inn_ski_jump_1943.jpg
  • 1840年ごろのノルウェーのテレマーク地方が発祥の地とされる。スキーで遊んでいるうちに自然発生的に競技となったという説がある。
  • 1860年代、初期の著名なジャンプ競技者は、テレマーク出身のノルトハイム(Nordheim)である。
    • (備考)このようにジャンプを含むノルディックスキーはテレマーク地方を中心に発達してきた。その為、特にこの競技では、最も美しいとされ高得点に結びつく着地時の姿勢は、前述のとおり「テレマーク姿勢」とよばれている。なお、同様の姿勢によってテレマークターンを行い斜面を滑降する技術・スタイルはテレマークスキーとよばる。また、テレマークという名は、スキースタイル(特に用具の面)において、ノルディックの別名として用いられることもある。
  • 1877年に、最初のジャンプ競技会がノルウェーで行われた。

飛型の歴史

飛行姿勢については、両腕を揃えて頭上に伸ばしたり、両肩から腕をまわしたりと、様々に変化していたが、V字飛行(前述)までは、スキーを揃えていた。(クラッシックスタイルといわれる)

20世紀後半までは、気をつけの姿勢でスキーを揃え、横から見ると、胸から上とスキーが平行になるのが理想とされていた。(札幌冬季オリンピックで、笠谷幸雄他、日本人選手が金銀銅3メダルを独占した際には、この飛型であった。)

1976年頃、東ドイツのアッシェンバッハ選手がアプローチを滑走する際、中腰で両手を平行に後ろへ揃えるスタイルを始め、当初アッシェンバッハスタイルと言われたが現在ではバックハンドスタイルと言われスタンダードな姿勢となる。それまではしゃがんで手を前にして握るような姿勢が一般的であった。これはこれが一番空気抵抗が少なく、速度が出ると思われたからである。

20世紀終盤にはV字飛行をスウェーデンのボークレブ選手が始めた。V字飛行はそれまでの板を揃えて飛ぶ飛型よりも前面に風を多く捉えて飛距離を稼ぐことができたが、当初は飛型点で大幅な減点対象になり上位にいくには他を大きく引き離す飛距離を飛ばないといけなかったが、他の選手も次第に取り入れるようになり、規定がその後変更され減点対象からは除かれた。クラシックスタイルからV字への転向には日本は早く対応でき、逆にフィンランドなどの強豪国ではV字飛行転向に乗り遅れ、一時低迷することとなった。

追記

かつて、日本の体育関係の書物でさえ、「この競技の起源は、ノルウェーの処刑法にある」などとされ、広く信じられてきたが、これは俗説である。

女子選手の進出


近年、オーストリアドイツノルウェー日本などでノーマルヒルを中心に女子選手の増加に伴い、ヨ-ロッパなどで国際大会が頻繁に開催されるようになってきた。世界選手権では2009年大会よりノーマルヒルでの個人戦の実施、2011年大会からは国別団体戦の実施が決定した。したがってオリンピックでの採用の可能性が十分ありうる状況となってきた。

日本選手のジンクス


過去ジャンプ競技はオリンピックにおいて日本選手はスキー競技の中で多くのメダルを獲得し、上位入賞も数多いが、それでも、1968年グルノーブルオリンピック藤沢隆、1972年札幌オリンピック笠谷幸生、 1998年長野オリンピック岡部孝信はいずれも1回目に2位の好位置につけながら、2回目に距離を伸ば すことができず、メダルを獲得できなかった。いずれも、種目は90m級(現在のヒルサイズ120m)であり、日本 選手の鬼門になっている。

著名な選手


日本

日本以外

関連項目


外部リンク


ジャンプ週間公式サイト(ドイツ語)

スキー | オリンピック競技

Skoky na lyžích | Skispringen | Ski jumping | Saltos de esquí | Suusahüpped | Mäkihyppy | Saut à ski | קפיצות סקי | Salto con gli sci | Schansspringen | Skihopping | Skoki narciarskie | Прыжки с трамплина | Backhoppning | 跳台滑雪

 

This article is licensed under the GNU Free Documentation License. It uses material from the "スキージャンプ".

Home Pageartsbusinesscomputersgameshealthhospitalshomekids & teensnewsphysiciansrecreationreferenceregionalscienceshoppingsocietysportsworld