歯(は)とは、口腔内にある咀嚼するための器官。人体でもっとも硬く、遺体ではその治療状況によって人物の特定の重要な手掛かりとなる。人工歯と区別する意味で天然歯、生活歯と言うこともある。多くの種類の構造を持ち、それぞれが異なる目的を果たす。歯科学では、歯牙(しが)と言う。
また、それに似たものを歯ということがある。例えば歯車、鋸歯など。
歯の部位を示すために、歯の内側を舌側、口蓋側、外側を唇側、頬側、正中に近い方を近心、反対側を遠心、上端を切縁、咬合面という。
多くの高等動物が持つ。人間は乳歯と永久歯の二組を持つが、ネズミ目のように一組の歯が伸び続ける物もいれば、サメのように、二週間に一組ずつ新しい歯が作られていく動物もいる。化石化した哺乳類においてもっとも特徴的な部位であり、古生物学者達は化石の種類や関係を鑑別するのにしばしば歯を使う。生物学における歯については歯 (生物学)参照。
構成
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- エナメル質
- 象牙質
- 歯の主体をなす硬組織
- 約70%がヒドロキシアパタイトを主成分とする無機質、20%が有機物、10%が水からできている
- セメント質
- 歯根全面を覆う硬組織
- 約60%がヒドロキシアパタイトを主成分とする無機質、25%が有機物、15%が水からできている
- 歯髄腔
- 歯の中央部に存在する歯の外形とほぼ一致している空洞
- 歯髄に満たされており、神経や血管が存在する
また、歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質を歯周組織という。
発生
詳細は
歯の発生を参照。
蕾状期
胎生5~6週頃に口腔の
上皮が内部に肥厚することによって
歯堤ができる。この歯堤の一部が間葉組織に向かい増殖し
歯蕾と呼ばれる球状の結節を形成する。
帽状期
歯蕾が成長し帽子状になり
エナメル器となる。(エナメル器が囲んでいる内部を
歯乳頭といい、エナメル器・歯乳頭を取り囲む組織をあわせて
歯小嚢という。)
鐘状期
エナメル器がさらに成長し陥凹が深く鐘状になる。エナメル器には外エナメル上皮・星状網・中間層・内エナメル上皮の4層がみとめられるようになる。
象牙質の形成
内エナメル上皮に隣接する歯乳頭の細胞が1層に並び
象牙芽細胞に分化し象牙質を作っていく。
エナメル質の形成
内エナメル上皮から
エナメル芽細胞が分化し、切縁、咬頭の側からエナメル質を形成していく。
歯根の形成
エナメル器の辺縁部(内エナメル上皮・外エナメル上皮の移行部)の上皮から
ヘルトウィッヒ上皮鞘が形成される。ヘルトウィッヒ上皮鞘は根尖方向へと進み象牙質形成を促し、歯根を形成する。
セメント質の形成
ある程度歯根の象牙質が作られた頃、ヘルトウィッヒ上皮鞘が分断される。その隙間から歯小嚢の細胞が移動しセメント芽細胞となりセメント質を形成していく。分断されたヘルトウィッヒ上皮鞘は歯小嚢から分化した歯周靱帯の中に残り
マラッセの上皮遺残(残存上皮)となる。
萌出時にはまだ歯根は未完成であり、これが完成するのは萌出後しばらく経過してからである。また、萌出時にはこのときにはすでにエナメル芽細胞は存在しないが、象牙芽細胞はかつて歯乳頭であった歯髄の中に存在し、象牙質を作り続けている。
種類
乳歯
人間の子供の頃にある歯は合わせて20本であり
乳歯(
脱落歯、
第一生歯)と呼ぶ。
前方から順に乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯と呼ばれる。
乳歯は生後6~8ヶ月ごろより多くの場合は下顎の前歯から生えてくる。3歳頃には全て生えそろう事が多い。乳歯は永久歯と比べてエナメル質と象牙質の厚みが薄く柔らかい。全体的に歯は小さく、青白や乳白色を示す。石灰化度が低いため、う蝕になりやすい。
永久歯
6歳頃から
永久歯が生え始める。人間の永久歯は大きく
切歯、
犬歯、
小臼歯、
大臼歯の4種類に分ける事が出来る。現代人の歯は上下合わせて28本。親知らずを含めると32本である。
切歯は中切歯、側切歯の2種類上下計8本ある。犬歯は上下計4本。臼歯は計20本存在し、小臼歯(第1小臼歯、第2小臼歯)と大臼歯(第1大臼歯、第2大臼歯、第3大臼歯)に分けられる。乳歯の脱落後に生えてくる、中切歯~第二小臼歯までを
代生歯、
第二生歯とよび、乳歯の存在しない大臼歯を
加生歯と呼ぶ。
まず、第1大臼歯(6歳臼歯とも呼ばれる)から生え始め、その後徐々に生え替わっていく。大体13歳頃には前歯から第2大臼歯までの28本が生えそろっている。
第3大臼歯は生えてくるのが遅く、また、生えてこない事もあり「親知らず」(知歯/智歯)ともよばれる。
永久歯はきちんとケアをすれば死ぬまで使うことができる。また、高齢者への調査で、歯が多く存続しているほど活動的である事がわかっている。
歯の異常
歯の異常としては以下の物が知られる。
人間以外の動物
- ネズミ目は一組の歯が生涯伸び続ける。
- は虫類やサメは歯がすり減る前に次々と交換されていく。ワニは一生に四十回以上も歯を交換する。
- 象牙は食物を掘り出し、戦うために使われる切歯である。
- カメは歯がない。
成長線
成長線とは、肉眼または顕微鏡学的に歯の表面に見える線状痕である。主に、歯の形成の良し悪し(例えば石灰化)で線状になることが多い。また、歯の種類や年齢によりできる成長線も違う。
- 新産線
- 新産線とは、歯の成長線の一つで、出生により、胎内の安定した環境から外部に出ることによる環境の変動のために、出生後に作られている歯の石灰化度が出生前の石灰化度より低下することによりつく。そのため、出生時に既に歯が作られ始めている乳歯及び第一大臼歯のみで確認できる。
- エブネル線
エブネル線とは象牙質にあらわれる最小単位の成長線である。
- レチウス条
- アンドレーゼン線
- オウエンの外形線
- ハンターシュレーゲル条
- ハンターシュレーゲル条(Hunter-Schureger band)とは、歯のエナメル質に現れる成長線のことである。研磨切片において、エナメル小柱に走行が規則的に研磨面に対して「直交」する状態と「平行」な状態とを繰り返す為に現れる模様である。エナメル質の内層1/2~1/3に渡って伸びている。
関連項目
歯
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