T細胞(ティーさいぼう、T cell、T lymphocyte)とは、リンパ球の一種で、骨髄で産生された前駆細胞が胸腺での選択を経て分化成熟したもの。末梢血中のリンパ球の70〜80%を占める。名前の「T」は胸腺 (thymus) に由来する。
細胞表面のマーカー分子としてCD4かCD8などを発現している。CD4を発現したT細胞はリンフォカインを産生するなどして、他のT細胞の機能発現を誘導したりB細胞の分化成熟、抗体産生を誘導したりするヘルパーT細胞として機能する。このCD4陽性T細胞は、後天性免疫不全症候群 (AIDS) の病原ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス (HIV)や、成人T細胞白血病(ATL)の病原ウイルスであるヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)が感染する細胞である。CD8陽性T細胞はウイルス感染細胞などを破壊するCTL(キラーT細胞)として機能する。
また、*]とT細胞の性質を併せ持つNKT細胞や、CD25分子を発現して他のT細胞の活性を抑制する働きのあるレギュラトリーT細胞などもある。最近では胸腺を介さずに分化成熟する末梢性T細胞が存在することも知られるようになった。
Th1細胞は細胞性免疫を媒介し、自己免疫疾患、遅延型アレルギーにも関与すると考えられている。対するTh2細胞は液性免疫を媒介し、即時型アレルギーに関与している。
これらの細胞を分化させたり、分化後に産生されるサイトカインは、お互いの細胞群を抑制しあう性質がある。つまりTh1/Th2のバランスがお互いに拮抗しあって保たれている。アレルギーを罹患した患者がウイルス性の疾患にかかると重症化することがあるのは、Th2にシフトしてアレルギーを引き起こしている免疫系がTh1による細胞性免疫によってウイルスに対処することができないという考え方で説明がつく。また自己免疫疾患とアレルギーを同時に罹患することが比較的まれなのも、Th1型、Th2型の応答を同時に行うことが難しいからであると考えられている。
Th1型サイトカインを外部から投与することによるアレルギー疾患の治療など、このバランスを操作することによる治療法が提唱されたが、成功は見ていない。発見直後の興奮が過ぎた最近では、実際には単純な対立構造ではなく、複雑に関連しあう関係があると見られている。
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