Linux(リナックス、リーヌークス、リヌックス、リヌクス、ライナックス、リーナクス)とは、UNIXライクな(UNIXに似た)コンピュータ用オペレーティングシステム (OS) である。
現在では、パーソナルコンピュータに限らず、携帯電話のような組み込みシステムからメインフレームやスーパーコンピュータまで、幅広く利用されている。
Linuxカーネルはその名の通り、他のプログラムを実行するカーネルであり、これを使って従来の定義に沿う「OS」を構成する場合、他に多数のソフトウェアが必要である。特にUNIXと同等のOSを構成する場合、シェルやコマンドラインプログラムが必要となる。GNU Projectはこうしたソフトウェアをフリーで開発・提供しており、それを使ってLinuxでUNIXと同等のシステムを構成することが多いが、そうしたシステムは「GNU/Linux」など固有のことばで呼ぶべきとする者もいる。
このシステムは、UNIXと同等あるいはそれ以上の機能を有するため、一般的にUNIX系OS、UNIX互換OSとして分類される。実際には、UNIXの標準的なAPIなどを定めたPOSIXは大きく満たしているが、UNIXの商標を取得していないこと、たとえPOSIXを満たしていたとしてもPOSIX自体を取得していないことなどから、本来のUNIXと混同して扱うことは適切ではない。
後付けではあるが、LinuxをLinux Is Not UniXの略としたり、LINus UniXの略としたりする者もいる。
Intelの80386 CPUベースの32bit PC/AT互換パーソナルコンピュータが当時安価になりつつあったため、リーナス・トーバルズはこれを使ってUNIX互換の機能を持つOSを動作させてみたいと考えていた。しかし、商用UNIXは高価であり、UNIXを模して実装されたMinixは、教育的な動機から大幅に簡略化されたために構造的ないくつもの問題を備えており、このためにトーバルズは自らOSの開発を始めた。トーバルズは既に使用していた自作のターミナルエミュレータを改造し、ファイルシステムなどUNIX互換のAPIを作成し、GNU ProjectのBashなどといったソフトウェアが使えるようにした。
当初のLinuxは、実装的に稚拙であり、他のどんなUNIXシステムにも機能性で勝っているわけではなかった。しかし、当時、フリーなUNIX互換OSを開発していたGNU Projectはまだカーネルを完成しておらず、AT&TのUNIXもBSDもフリーではなかったために、フリーなUNIXと呼ぶことができるものは他になかった。それを求める多くの者は教育用OSであるMinixに流れていたが、トーバルズはLinuxをMinixのメーリングリスト上で公開し、GPLライセンスで利用可能にすることにした。これはIntelの32bitパーソナルコンピュータでしか動作しなかったが、ちょうど32bitパーソナルコンピュータの普及期であったこと、GPLによって誰もが改良可能であったことから、フリーですぐに使用でき、より多くの機能のあるOSを求める人々からの改良を促した。これが、後の大幅な成長に繋がったと言える。
実際にこの時期には、他にもカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Barklay, UCB)のBerkeley Software Distribution(BSD)もBSD系UNIX(4.3BSD Net/2)の80386への移植・実装(386BSD、のちのFreeBSDおよびNetBSD)を開始していた。市場において、マルチプロセスやメモリ保護・仮想CPUなど、モダンな32bit OSの実装が可能となる機能を搭載したCPUを搭載した安価なパーソナルコンピュータが普及を開始し、UNIXが自らのコンピュータで動くものとなる可能性があったことが、こうした広義のPC-UNIXの開発をスタートさせた主な要因であり、Linuxもまたその現象の1つであった。
その後、Linux Kernel Mailing List (LKM) が開発に使われ、改良に参加する一般有志はそこに集まることになった。PC-UNIXの隆盛など社会的な注目が高まる中、2000年頃よりIBM、ヒューレット・パッカード、SGI、Intelなどの企業にフルタイムで雇用されたプログラマも開発に加わるようになり、開発スピードにはずみが付いた。このように、多くの人々の協力によってソフトウェアが開発されうるということは、それまでのプロプライエタリなソフトウェア開発の常識では考えられないことで、エリック・レイモンドは、Linuxの開発を分析し、「伽藍とバザール」を著した。
1997年ごろより、商用目的への応用が注目され、ハイエンドシステムに必要な機能が付け加えられていく。ReiserFS、EXT3に代表されるジャーナリングファイルシステム、64bitファイルアクセス、非同期I/Oファイルアクセス、効率的なマルチプロセッサの利用などである。
2005年時点では、ホストコンピュータ用OSとして、商用UNIXと比較しても遜色のない域に達している。主に各種ネットワーク系サーバ(ウェブサーバ、データサーバなど)の、小~中規模ネットワークにおけるサーバOSとして利用される例が一般的であり、また安価なPCやブレードサーバ等を束ねるクラスタ環境としても応用されている。
その一方で小規模な情報機器への組み込みOS環境としても普及しており、プリントサーバやストレージサーバ、ネットワークカメラやルータ等にも応用され、一部のPDAや携帯電話端末などの、小型情報端末の組み込みOSとしても普及している。
概して、一般消費者やオペレータの目に直接触れるフロントエンド環境としてよりも、インフラを担う「縁の下の力持ち」として応用される例が多い。特にパーソナルコンピュータ市場におけるデスクトップ環境としては、普及率においてWindowsの圧倒的なシェアを覆すまでにはいたっておらず、主として理工系の学生などが安価なUNIX互換ワークステーションとして扱うなどの利用に限られている。
Linuxカーネルはフリーソフトウエアとして開発が行われており、世界中のプログラマや企業により改良され、発展し、世界的に利用されるOSとなった。
現在主流となっているカーネルVersion 2.x系列におけるマスコットキャラクターは、リーナス・トーバルズの嗜好を汲んでタックス(Tux)と名付けられたペンギンが選ばれている。なお、カーネルVersion 1.xのマスコットキャラクターは鳥のカモメであった。
日本では各種の読み方が混在していたが、日本で最初のLinux専門誌LINUX JAPANが「リナックス」の読み方を採用し、一般紙が同名称に追従した事から、この読み方が一般に広まった。この「リナックス」の発音から、"Linax"と誤表記されることも多い。
このため、ライブラリやシステムソフトウェア、アプリケーション等を、ソースリストの状態ではなくあらかじめコンパイルして実行バイナリとし、さらに設定の雛型などを添付した上で、Tar形式のアーカイブやrpm/deb形式などのパッケージとしてまとめ、サポートスクリプトやパッケージマネージャ、インストールソフトウェア等と組み合わせた形で提供されることが多い。このようなひとまとめにされた環境を、Linuxディストリビューションと呼ぶ。
多くのLinuxディストリビューションでは、カーネル、ライブラリ、ツール環境、コマンドラインシェル、コンパイラ、テキストエディタ、X Window System、ウィンドウマネージャ、科学技術計算用ツール、その他オフィスアプリケーションソフトなど、何千ものアプリケーションパッケージを選択できるようになっている。
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