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B29.maxwell.750pix.jpg B-29は、第二次世界大戦末期から朝鮮戦争期のアメリカの主力戦略爆撃機。中型爆撃機構想から発展したB-17と異なり、最初から長距離戦略爆撃を想定して設計された。当初は陸軍戦略航空軍所属であったが、1947年空軍の独立と共に空軍に移管。

設計・製造はボーイング社、中翼単葉プロペラ4発の大型爆撃機である。爆弾の搭載量は最大9トン、航続距離は 4,585km。ニックネームは「超空の要塞(スーパーフォートレス /Superfortress)」 。

初出撃は、1944年6月。後継機は、改良型のB-50およびB-36

開発の経緯


アメリカ陸軍の航空部門は、第二次世界大戦が始まる5年前の1934年5月に超長距離大型爆撃機開発計画「プロジェクトA」を発足させた。これは1トンの爆弾を積んで8,000km以上を飛ぶことができる爆撃機を作る計画で、長距離渡洋爆撃を想定していた。B-29はこの構想の中から生まれた機体で、1938年に完成した試作機(ボーイングXB-15)から得られた種々のデータや、新しい航空力学のデータをもとに設計製作された。1940年6月27日(ヨーロッパでの戦争は始まっていたが、真珠湾前なのでアメリカは参戦していなかった)XB-29が発注され、1942年9月21日に初飛行した。

技術的特徴

B-29は同時代の爆撃機と比べて非常に進んだ設計になっている。
  • 排気タービンの採用:B-17B-24に続き排気タービンを装備。排気タービンは現在乗用車に使用されているターボチャージャーと同じ原理で、排気のエネルギーを利用してエンジンに圧縮された濃厚な空気と燃料を送り込む装置。空気が希薄な高空でのレシプロエンジンの性能を確保するのに不可欠だが、戦争中の日本では実用化できなかった。その結果、日本の排気タービン無しの迎撃機では、高空を飛ぶB-29への接近・追跡が困難だった。
  • 与圧室の全面採用:従来の飛行機は高空を飛ぶ場合、空気が薄くなる対策として 乗員・乗客に酸素マスクの装備が必要であった。B-29は現在の旅客機のように、室内を海面に近い空気圧に保ち快適に飛行できる与圧室を装備しており、乗員は通常酸素マスク無しで搭乗していた。アメリカは同じ時期に設計された民間機ロッキード・コンステレーションでも与圧室を採用している。
  • 防御砲火の遠隔操縦:遠隔操作により、機銃操作員が銃塔内から窓越しに見える敵迎撃機に向かって機銃を操作する事はなくなった。その結果機銃砲塔が非常にコンパクトになっている

データ


  • 全幅  43.05m
  • 全長  30.18m
  • 翼面積 161.5m²
  • 自重  32.4t
  • 全備重量 61.2t
  • エンジン ライト R-3350-57 2,200馬力4基
  • 最大速度 576km/h
  • 航続距離  爆弾4.5t搭載時 5,200km
  • 最大爆弾搭載量 9t

戦時実績


第二次世界大戦

設計の意図の通り、長大な航続力を生かし、初めは1944年6月から中国内陸部の成都基地より西日本に、1944年11月以降は、日本から奪取したサイパン島およびグアム島から日本本土のほぼ全域に対する戦略爆撃を行った。最初は爆撃対象を軍施設や軍需工場に限定して高高度からの精密レーダー照準爆撃であった。

しかし1945年に入りカーチス・ルメイが指揮官となると、「日本の継戦能力を根本から絶つ」として、爆撃対象は軍・民間を問わなくなり、低高度からの夜間無差別絨毯爆撃を開始した。総計14万から17万トン(諸説あり)の爆弾を東京大阪をはじめ、日本各地の都市に対して絨毯的に投下し、主要都市を焦土化した。

都市の住民8万人以上が亡くなった東京大空襲や、大阪大空襲は、B-29の重要な戦果とされる。さらに日本各地の港湾・航路に空中投下機雷を散布し、国内航路に大打撃を与えた。当初は数十機編隊で爆弾搭載量も2~3トンであったが、1945年になると5~6トンを搭載するようになり、終戦近い頃には約500機のB-29が戦爆連合(爆撃機と、それを護衛する戦闘機の集団)で来襲するようになった。

また、広島市長崎市に2発の原子爆弾を投下し、結果的に無差別に数十万人の一般市民を虐殺した任務も担った。広島市に原子爆弾を投下したB-29はエノラ・ゲイ、長崎市に原子爆弾を投下した機はボックスカーと呼ばれる。広島にはウラン型の「リトルボーイ」が、長崎にはプルトニウム型の「ファットマン」が投下された。(詳細記事:広島市への原子爆弾投下長崎市への原子爆弾投下

B-29はその卓越した能力により日本の継戦能力と継戦意思を喪失させた、戦略爆撃機の代表と言える。

アメリカではこれら戦果により、日本の敗戦を早め「本土決戦」という無益な地上戦を避けることができたと考える人も多く、広島市に原子爆弾を投下したエノラ・ゲイは、退役後、分解されて保存されていたが復元されスミソニアン博物館に展示されることとなった。また、ボックスカーはアメリカ空軍博物館に実機が保管されている。

朝鮮戦争

朝鮮戦争の初期、共産軍は有力な戦闘機を持たなかったので、国連軍のB-29は自由に爆撃を行っていた。しかし共産軍にMiG-15が登場すると形勢は逆転し損害が続出した。プロペラ爆撃機ではジェット戦闘機にかなわないことは明らかだった。

日本の対B-29戦闘


当時の日本の戦力では高空を飛行するB-29を迎撃する事は至難であり、一部の新型戦闘機高射砲による攻撃以外ではほとんど撃墜できず、一方的な爆撃を受けた。

迎撃用の単座戦闘機鍾馗雷電紫電改や、斜め20mm砲を装備した双発の月光屠龍等が使用されたが、これらはおしなべて速度と高高度性能に劣っていた為、それなりの活躍はしたものの、有効な防御はできなかった。さらに、1945年3月に硫黄島がアメリカ軍に占領され、護衛戦闘機P-51が随伴するようになると、日本軍迎撃機によるB-29の撃墜は一段と困難になった。カーチス・E・ルメイが戦術変更して以来、B-29の空襲は主に夜間に行われるようになり、2~3千メートルまで降下して絨毯爆撃を加えるようになった。夜間に有効なレーダーがない日本側は効果的な迎撃を行うことができず、探照灯のサポートや地上の火災の照り返しでようやくB-29を発見・攻撃する状態であったという。日本軍迎撃機の攻撃能力を的確に評価したアメリカ側は、B-29の尾部にある防御火器を除いてそのほとんどを撤去し、浮いた重量を燃料や爆弾に振り分けるようになった。

本土爆撃の初期には、B-29の爆撃行は長距離飛行を余儀なくされており、強力かつデリケートなエンジンの故障もあり損害は少ないものではなかった。被弾・故障したB-29の不時着地と護衛戦闘機の基地として硫黄島が選ばれ、アメリカ軍は多大な犠牲を払って日本軍からこの島を奪った。同島までたどり着けないB-29のためには東京湾近辺に潜水艦が配置されて乗員の救助にあたった。

派生型


第二次大戦後にB-29の飛行特性を生かした輸送機と旅客機が製作されている。主翼・尾翼・エンジン類を流用して胴体を太い2階建てにした輸送機C-97と、その旅客機型ボーイング377ストラトクルーザーである。

C-97はジェット輸送機C-135が実用化されるまで、米空軍で空中給油機として使われた。ストラトクルーザーは「空飛ぶホテル」の異名を持つ豪華な旅客機だったが、ジェット旅客機が登場するまでの端境期に登場した上、故障が多く早くに引退した。

なおイギリスにも輸出され「ワシントン Mk.I」として就役したが、試用のみ。

コピー機・Tu-4


1944年の7月、8月及び11月に日本及び満州を爆撃した3機のB-29が機体の故障などによりソ連領内に不時着した。パイロット達は抑留された後にアメリカに送還されたが機体は没収され、スターリンの命により解体調査された。そしてアンドレイ・ニコラエヴィッチ・ツポレフらにより解体した部品に基づく設計が行われて1946年夏に完成したのがツポレフTu-4(NATOコードネーム:ブル)である。その後1947年8月3日モスクワで行われた航空記念日パレードで始めて披露されたTu-4はその後もエンジンやプロペラなどの改良が行われ、1949年半ばにはソ連戦略爆撃軍で本格的に運用された。1950年代の終わりまでに約1,200機が製造され、そのいくつかは中国に引き渡された。

一方、アメリカ空軍はTu-4にアメリカ本土への攻撃能力があることを理解してパニックに陥り、レーダーや地対空ミサイルなどの防空設備の開発を急ぐこととなった。また、アメリカ人はB-29のあからさまなコピーなのをみてTu-4を「ボーイングスキー」と呼んだという。

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