雇用保険(こようほけん)とは主として雇用保険法に定められた失業給付、教育訓練給付、育児・介護休業給付のことである。雇用保険の掛け金の負担は事業主と労働者が行う。かつては「失業保険」と呼ばれていたが、1975年の制度拡充により、名称が改められた。
被保険者の種類
被保険者(加入者)は現に雇用されている労働者であるので、失業者は被保険者とはならない。
- 週30時間以上働く労働者(週20時間以上30時間未満の場合で1年以上継続して労働が見込まれる場合は、「短時間労働被保険者」という)
- 65歳未満で雇用され、現在65歳以上になっている労働者。
- 季節的に雇用されている短期労働者(出稼ぎ)など
- 日々雇用される人(日雇い労働者)、または30日以内の期間を定めて雇用される労働者のうち適用区域に居住または雇用される人
雇用保険(失業給付)
受給資格・要件
事業所を離職 (
退職もしくは
解雇) された場合において、
- 働く意思がある (公共職業安定所に求職登録をしている)
- 働く能力がある (いつでも仕事につける環境・健康状態にある(安定所に出頭できる環境・健康状態にあればよい))
のに、あらゆる手を尽くしても仕事が見つからない者(失業者)に対して、決められた期間の給付をするものである。
したがって、下記のものは対象にならない。
- 働く意思がない場合
- 結婚して家事に専念したいため就職を希望しないとき
- 自営業を始めるため就職を希望しないとき
- 60歳~65歳の離職者で定年などで退職し、熟慮期間がほしいとき (申請により給付を止めてもらい、その期間分だけ受給期間 (所定給付日数消化期間・通常は1年) に足してもらうことができる。この場合は1年まで。退職後2ヶ月以内に申請する。)
- 働く能力がない(環境・健康状態から見て働けない)場合
- 失業状態にない場合
- 昼間の学校に通っているとき
- すでに就職が決まっている など
受給期間延長
次のような理由により30日以上就労ができないときは雇用保険の受給開始を延期してもらうことができる。
- 求職者本人の疾病・負傷(労災保険や健康保険から傷病による休業給付(休業補償・傷病手当金)をもらっている場合も含む)…医師の診断書または休業補償・傷病手当の受給者は関係書類を添付
- 妊娠・出産・育児(子供が3才になるまで、または保育先が見つかるまで)…母子手帳の写しを添付
- 6親等以内の親族・3親等以内の姻族・小学校入学前の子供の看護…医師の診断書または関係書類
- 正当かつ公的な理由のある長期海外渡航
- 事業所の命による配偶者の海外勤務に同行…転勤辞令のコピー
- 青年海外協力隊(国際協力機構=JICA)など公的機関が行う海外技術指導ボランティアに参加(派遣前訓練初日より起算)
このような理由があるときは申請により給付を停止してもらい、その分だけ受給期間(1年間)に最大3年間まで足しててもらうことができる。この場合、就労不能原因が発生後30日過ぎてから1ヶ月以内に申請する。
給付の種類
また近年改正された
雇用保険法により
失業給付には離職(失業)理由により大きく2種類の給付規定が加わった。
- 従来の失業給付に「会社都合退職」と「自己都合退職」で給付の開始、給付期間(給付日数)に差をつけ、会社都合退職による給付期間を大幅に期間を伸ばし、自己都合退職による給付は、期間を短くした。
- 会社都合退職(非自発的退職)
- 会社(使用者)の倒産(経営破綻)による解雇及び希望退職といった退職勧奨(会社が公式に認めてない退職勧奨は「上司・同僚等からの故意の排斥」となる)・臨時で行なわれ且つその募集期間が3ヶ月以内である早期優遇退職、など非自発的な退職(主として経営の悪化に伴う「リストラ」絡みのもの)及び会社での「いじめや嫌がらせ」(自らの意志に反した自己都合退職も含む)、事業所の移転で通勤時間が往復で4時間以上になったことによる事が原因の退職のことをいう。その場合、求職登録から数えて7日目の日から失業給付がはじまり「自己都合退職」というものより一般的に支給期間が長い。この場合、実際に失業給付金を受け取ることができるのは、求職登録から約1ヵ月後からである。
- 自己都合退職(自発的退職)
- 一身上の都合など自発的な退職及び懲戒解雇・常設もしくは募集期間が3ヶ月を超える早期優遇退職による退職のことをいい、その場合、求職登録から数えて7日目の日からさらに3ヶ月経過後になっても失業の状態である場合において支給を開始される。(したがって、実際に失業給付金を受け取ることができるのは、求職登録から約4ヵ月後からである)会社都合退職と比べて給付期間(給付日数)は雇用保険の加入期間や年齢にもよるが、同じもしくは短い(およそ半分の期間)。
※ただし、次のような場合は自己都合退職でも正当な理由とみなされる場合があり、「再就職の準備をする時間的余裕がなかった」とされ、給付制限はつかない(正当な理由かどうかの判断は公共職業安定所長が行う)。
- 体力の不足・病気・怪我などで退職に追い込まれた場合。
(例えば、タクシー運転手が失明したために退職した場合があげられる。)
なお、65歳以上の年齢で退職した場合、実務取扱上「体力の不足」による退職と認定される場合は多い。
- 妊娠・出産・育児などにより雇用保険の給付を90日以上とめてもらった場合
- やむをえない家庭の事情の急変。
- 家族の死亡・病気・けが、夫の転勤同行により通勤時間が往復4時間以上になった場合など
- 交通機関の廃止・ダイヤ変更などにより通勤困難になったとき
- 定年退職者
- 契約期間満了による退職(ただし、派遣労働契約期間満了の場合や、3年以上雇用契約が更新されている場合にはこの条件にあてはまらない場合がある。)
仮給付
解雇(不当解雇)、退職(退職強要)などの効力を
裁判や
労働委員会で争っている場合は
求職活動をしていなくても
給付を受けることができる。
求職活動(認定要件)
「あらゆる手を尽くしても仕事が見つからない者(失業者)」の認定に際しては具体的に、次の活動を行なっていることが条件である。
- 失業保険を受給中の場合、公共職業安定所もしくは厚生労働大臣の認可を受けた民間職業紹介機関・派遣会社、公的な相談機関で4週間毎の失業認定日が来るまでに職業相談もしくは紹介、セミナー受講などを最低2回行なっていること。
ただし次の場合に限り下記の要件を満たせば認定となる。
- 給付制限が無い場合は最初におとづれる失業認定日までに限り同様な活動を最低1回行なっていればよい。(通常、雇用保険説明会に出席すれば認定となる)
- (自己都合退職扱いで)3ヶ月の給付制限を受けているときは、給付制限解除後の最初におとずれる失業認定日までに同様な活動を最低3回行なっていること。
- 求人に応募した場合。(4週間毎の失業認定日が来るまでに1回の応募で足りる。)
以下の行為しか行っていない者は、「あらゆる手を尽くしても仕事が見つからない者(失業者)」とは認定されない。
- 職業安定所、新聞、雑誌、インターネットでの求人閲覧。
- 知人への単なる就職斡旋依頼。
- インターネット等による単なる派遣就業登録など。
実務取扱上、職業安定所での求人閲覧のみをもって認定している場合は多いが、法令上の根拠は不明である。
雇用保険(失業給付以外)
主として失業の予防を目的とする給付である。
関連項目
外部リンク
社会保険 | 労働
Arbeitslosengeld | Unemployment benefit | Пособие по безработице (Германия)