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重ね合わせ(かさねあわせ) superposition とは、量子力学において、量子における複数の状態が同時に成立することを意味する。

「重ね合わせ」という説明


通常の説明では、二つの状態のどちらか一方に決まらないとき、「重ね合わせの状態にある」というふうに言う。つまり、「状態1と状態2の重ね合わせの状態にある」という言い方になり、それ以上の説明はされない。

しかし、これでは単に言葉を言い換えただけであり、「重ね合わせとは何か?」という問題にたいする答えにはなっていない。

問題の追及


そこで研究者は、「重ね合わせとは何か?」と考えようとする。これには大まかに言って、次の二つの解釈が存在する。

  • 二つの状態が同時に実現している。
  • 二つの状態の一方だけが実現している世界が二つある。

これをシュレーディンガーの猫の問題の例に当てはめると、それぞれ(マクロの世界で)、次のようになる。

  • 一匹の猫で「生」と「死」という二つの状態が同時に実現している。
  • 「生きているネコの世界」と「死んでいる猫の世界」との二つの世界がある。

この前者と後者二つの解釈はそれぞれ、コペンハーゲン解釈およびエヴェレット解釈と呼ばれる。しかしながら、これら二つの解釈のいずれも不自然である。その不自然さを扱ったのが、シュレーディンガーの猫の問題である。

つまり、「重ね合わせ」という言葉を使って済ませるのは、シュレーディンガーの猫の問題を回避していることになる。また、この問題を「重ね合わせ」という用語で説明することは、同語反復になっており、問題が循環してしまっている。重ね合わせの問題は二重スリット実験の問題とも深く関連する。

結局、量子力学の根源的なところでは、まだまだはっきりとした決着が付いていないのである。なお、上記では二つを示したが、他にもいくつかの解釈が提唱されている。

経路積分との比較


ファインマンの提唱した経路積分と比較すると、「重ね合わせ」という概念には根源的な問題があることがわかる。それは「数が無限大になる」ということだ。

二重スリット実験では、スリットの数は二つであり、重ね合わせの数は二つである。同様に、スリットの数が三つならば、重ね合わせの数は三つである。スリットの数が無限大ならば、重ね合わせの数は無限大である。そして、スリットの数が無限大であるというのは、スリットの刻まれたついたて(壁面)が存在しない、ということだ。これは真空に相当する。つまり、真空という場では、重ね合わせの数は常に無限大になっていることになる。・・・・・・これが無限大の問題だ。

この問題に対して、どう考えるか? コペンハーゲン解釈に従うなら、粒子の数が無限個になっていることになるので、不自然である。エヴェレット解釈に従うなら、世界の数が無限個になっているので、やはり不自然である。ファインマンの解釈に従うなら、無限個の経路をたどる量子はそれぞれ無限小になるので、全体として1個であり、不自然さはない。

ただし、ファインマンの解釈に従う場合には、「重ね合わせ」という概念そのものを捨てる必要がある。なぜなら、重ね合わせに相当するものは、経路積分の「積分」という概念のうちに含まれているからだ。

これら三つの解釈のうち、どれを取るべきかは、いまだ決着が付いていない。

発想の根源


「重ね合わせ」という概念が現れるのは、「量子は粒子である」という粒子説を前提としているためであることに注意しなければならない。

仮に、粒子説を前提としなければ、「重ね合わせ」の概念は特に必要ない。たとえば、波動説を取るのであるならば、波の「重なり」overlap はごく普通のことであるから、量子の「重ね合わせ」 superposition という特殊な概念は特に必要ない。経路積分の発想を取る場合でも、「重ね合わせ」という概念は必要ない。結局、「重ね合わせ」という概念を取るかどうかは、粒子説の発想を取るかどうかという点に根源がある。

なお、現在の量子力学では粒子説の発想が主流である。つまり、量子は一個の単体として扱われ、媒体の位相差である波としては扱われない。ただし、場の量子論では波動説の発想も有力である。経路積分の考え方が他の二つの発想とは異なる結論を出すのも、場の量子論の延長上に経路積分があるからである。

関連項目


量子力学

Quantum superposition | Superposición cuántica | Superposition | סופרפוזיציה | Superpositie (kwantummechanica) | Квантовая суперпозиция | Superposition | Chồng chập lượng tử | 态叠加原理

 

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