選挙(せんきょ)とは、首長や会議の議員、団体の代表者や役員を選び出すこと。多くの場合、投票によって行われる。
選挙の分類
- 選挙には、一定年齢に達したすべての住民に選挙権を与える普通選挙と収入、資産、家柄などで制限する制限選挙がある。
- 一票の価値が平等な平等選挙と納税額などで一票の価値に差がある差別選挙がある。
- 誰が何に投票したか分からない秘密選挙と署名などで投票内容が分かる公開選挙がある。
- 有権者が直接、候補者を選ぶ直接選挙と選挙人を選んでさらに選挙人の間で投票を行う間接選挙がある。
- 有権者が必ず投票しなければならない強制選挙と投票するかどうかを選択できる任意選挙がある。
選挙方式
秘密投票
独裁制を敷いている国では、
秘密投票ではない場合があり、支持者を守れるだけの軍事力を持たない政党に支持票を入れた人の個人情報は、軍事力に余裕のある政党の暗殺・示威部隊に容易に取得される。このため、秘密投票が確立していないと、軍事力を十分に持たない政党は選挙後に支持者を失い、頭数ではなく軍事力に応じて平等な主権を認める政治になる。
秘密投票でない具体例
- 投票用紙に自分の名を記し投票する。
- 投票用紙を受け取ったあと、候補者(1人だけのことが多く、事実上の信任投票)を支持する場合は何も書かずそのまま投票箱に入れ、支持しない場合は×を記して投入する。
- 封筒に密封された「投票用紙」を、そのまま投入するよう要求される。
などがある。
2や3はかつて社会主義国などで広く行われ、現在も一部の国で採用されている。なお一連の投票行為は監視人が見守る前で行われるため、その場で×を書いたり封筒を開けたりすればたちまち素性が判明し、ブラックリストへの登録や逮捕など、後難を招くことが容易に想像される。密封封筒を開けようとした有権者を、監視人が「お前は我が国の選挙が秘密投票であるのを知らんのか」と怒鳴りつけた、という、笑えないジョークもある。
信任投票制
公共選択において少数派の意見が排除されることは不可避とも言えるが、それを出来るだけ避けるために考え出されたのが
信任投票制である。
この方式に於いては、有権者は候補案または候補者全員の名前が書かれた投票権を手にし、自分が支持するものに○をつける。○は一候補者につき1つまでだが、有権者はいくらでも多くの候補者に○をつけることが出来る。
この方式による利点は、「ある候補者が提示した公約の一部に対して賛成だが、賛成しない公約もある」という場合に、「自分が支持する公約を掲げる候補全員に投票できる」あるいは「自分が支持しない公約を掲げる候補全員に×をつける」とすることで、投票の対象を「候補者」から「政策公約」へとシフトできることにある。しかし、この方式は政党政治を崩壊させる危険性を孕んでいるため、代議制に対して採用した国家は無い。日本では、最高裁判所裁判官国民審査に採用している。
現在、国連に於いて事務総長の選挙に採用されている。
被選挙権への制限の強さ
独裁制を敷いている国では、あらかじめ決められた1人の候補を信任するかしないかしか選べなかったり、あらかじめ決定されている政党ごとの議席配分リストに賛否を表明する等の、被選挙権の概念が無い選挙制度がとられていることが多い。
また、民主制を敷いている国でも、中選挙区制・古典小選挙区制などの、小さな定数の選挙区での単記非移譲式投票を選挙方法に選ぶと、デュヴェルジェの法則により被選挙権が事実上制限される。多数の候補者の立候補に対応していない貧弱な選挙制度を維持するため、被選挙権の行使に多額の供託金が要求される国もある。
これらの国々では政治家の間に十分な自由競争が働かず、カルテルが組まれて政治家が民意を反映しなくなる恐れがある。
被選挙権すなわち「為政者になる権利」は、治者と被治者の自同性を確保する最も直接的な権利であり、民主制の根幹を成す。「アメリカでは誰でも大統領に『なれる』!」こそ民主制を謳う言葉であって、「アメリカでは誰でも大統領を『選べる』!」は民主制か否かに触れていない。
投票者による分類
- 公選
- 国会議員などの公職選挙に見られるように、一般の有権者の投票によって選出する方式。被選挙権は一般の有権者には認める必要がない。民選とも。
- 官選
- 日本の政令指定都市の区長に見られるように、国家などの行政機関の指名によって選出する方式。必ずしも投票が行われるわけではないが、公選・互選との比較のため掲載する。
- 互選
- 日本の内閣総理大臣指名投票に見られるように、関係者の間で行う投票によって選出する方式。公選と違い、投票者は被選挙権を持つ者に限定される。大抵の民主制での公選は、一般の有権者も被選挙権を持つため、大規模な互選ともいえる。
- くじ引き
- くじなどを利用して、立候補者毎に等しい確率で当選者を選出する方式。定数が何人であろうと当選者の勢力比の期待値は被選挙権行使者の人口比と完全に等しく、有権者全てが被選挙権を行使すれば比例代表制になる。確率が絡むため個々の選挙では偏りが出る場合が殆どになる。古代ギリシアや室町幕府の6代目将軍(足利義教)選出などに例がある。投票者が存在しないため投票が行われることがないが、投票者が存在する選挙との比較のため掲載する。
- また、投票で複数候補が同票で並び、そのいずれかが当選の資格を得る場合がある。日本の公職選挙法では決選投票を行わず、くじ引きで当選人を決定することになっている。
伝統中国における選挙
なお、伝統
中国においても選挙という述語が用いられるが、現代の選挙とは用法が異なるので、注意が必要である。中国における選挙とは、国家の側による官吏登用制度のことであり、
科挙以前に用いられた用語である。その語源は、「
郷挙里選」であるとされている。つまり、
前漢代において、地方の郷・里の長が、地方官と協議した上で官吏候補者を推挙する制度を、こう呼んだ。この場合の選ぶ主体は、飽くまで中央政府であり、
皇帝である。また、郷や里の有力者である地方の豪族の意見のことを「
輿論」と呼んでいるので、同じく現代の用語と混同しないよう、注意を要する。一般の人間(
庶人)や
奴隷などは初めから数に含まれていないのである。
漢代の選挙が、六朝には九品官人法に発展し、隋唐を経て、科挙制度へと結びついていく。なお、選挙の語の用法は、後世まで広く用いられ、歴代の正史には「選挙志」という項目が立てられ、九品官人法や科挙制のことが述べられている。
関連項目
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