通信衛星(つうしんえいせい、英語: communications satellite)は、マイクロ波帯の電波を用いた無線通信を目的として宇宙空間に打ち上げられた人工衛星である。CSやCOMSAT(コムサット)等と略される。
通信衛星は光ケーブルを用いた海底ケーブルと相補的な技術を提供するものである。
クラーク達の発表当時は宇宙空間に人工衛星を運ぶ具体的な手段がなかったが、1957年のスプートニクの誕生とともに実現性が検討されるようになってきた。当初は軌道上で安定に動作する中継機(トランスポンダ)の開発が困難であったため、受動型衛星エコー1号および2号の実験が行われた。この衛星はいわば金属皮膜をもつ風船であり、衛星を軌道上の反射板として用いるものである。利用する周波数を自由に選べ、また衛星は単純なので故障もしない長所があるが、地上からの送信(アップリンク)に大電力を要するという大きな欠点があった。
このため、衛星でいったんアップリンクされた信号を受信して電力増幅し、高利得のアンテナで地上に向けて送信する(ダウンリンク)能動型衛星の開発が行われた。
テルスター衛星は初めての能動型通信衛星である。ベル研究所で開発されたCバンドのトランスポンダを装備していた。この際のアップリンク6GHz帯、ダウンリンク4GHz帯という周波数の組み合わせはその後広く通信衛星で用いられるものとなった。 この衛星は1962年7月10日、NASAによりケープカナベラル宇宙基地から、初の民間企業がスポンサーとなって打ち上げられた。テルスター衛星は2時間37分で周回する、軌道傾斜角45度の楕円軌道(遠地点約5,600km、近地点約950km)に投入された。テルスターはAT&Tに所属するが、これはAT&T、ベル研究所、アメリカ航空宇宙局(NASA)、英国郵政省、フランス郵政省間の、衛星通信技術を開発するための多国間合意によるものである。
その後、トランスポンダの数や帯域を増やし送信電力も高めたリレー1号衛星も1962年12月13日に打ち上げられた。このリレー1号を用いて1963年11月23日に行われていた初の日米間テレビ伝送実験中にジョン・F・ケネディ米国大統領の暗殺事件が発生し、その映像は当時のテレビ視聴者に強い印象を与えた。
最初の地球同期軌道に投入された通信衛星は1963年7月26日にソーデルタで打ち上げられたシンコム2号である。 しかし、シンコム2号は傾いた(すなわち軌道傾斜角がゼロでない)軌道になったため、これを捕らえるためには特別な追尾装置を必要とした。最初の真の静止通信衛星、すなわち固定した衛星通信アンテナで補足可能な通信衛星は、1964年8月19日に打ち上げられたシンコム3号である。これは国際間通信用であったが、広大な国土を持つ国では国内通信用の通信衛星が用いられるようになった。ソビエト連邦はモルニア衛星を使ったが、1973年に打ち上げられたカナダのアニク1号は世界初の国内通信用の静止通信衛星であった。
1964年東京オリンピックにおいて日米間のテレビ画像伝送がシンコム3号を用いて実施され、通信衛星の有用性を広く世界の放送・通信関係者に印象付けることとなった。
同年、静止通信衛星による国際通信網を運営するための国際協同の組織インテルサットが日本や米国を含む18カ国で作られた。インテルサットは1965年にインテルサットI号シリーズの衛星を打ち上げて商用の国際衛星通信サービスと開始した。
衛星コンステレーションの例として、GPS衛星や携帯電話サービス用の衛星電話(イリジウム等)がある。
1989年10月1日には放送法が改正され、通信衛星を利用した直接放送(CS放送)が可能になった。1996年にはCSデジタルプラットフォーム事業者「パーフェクTV!」(現スカイパーフェクTV!)がCSデジタル放送事業を開始している。
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