逆浸透膜(ぎゃくしんとうまく)とはろ過膜の一種で、水を通しイオンや塩類など水以外の不純物は透過しない性質を持つ膜のこと。広い意味で半透膜もこれに含まれる。英語ではReverse Osmosis Membraneといい、その頭文字をとってRO膜とも呼ばれる。
(「逆浸透フィルター」と呼ばれることがあるが、科学用語としては誤りである(フィルターの項を参照)。)
逆浸透膜(または半透膜)で塩類濃度の高い水と低い水を仕切ると、その浸透圧の差によって濃度の低い側から高い側にへ水がひとりでに抜けてゆくが、逆に濃度の高い側に外から浸透圧の差を超える圧力をかけると、濃度の高い側からから低い側に水分子だけが抜けてゆく。この現象を逆浸透といい、「逆浸透膜」の名はここから来ている。上述のように逆浸透膜のろ過が単純な物理的阻止だけでは説明できないために原理について複雑な解説がなされることが多いが、要は「ろ過するのに浸透圧以上の圧力をかける必要があるので逆浸透膜と呼ぶ」というように理解すればよい。
尚、ウィルスで現在最も小さいとされるピコルナウィルスやバルボウィルスでも大きさは約20nmであり、逆浸透膜の孔より確実に一桁は大きいため、逆浸透膜は破損がない限り水から全ての病原菌やウィルスを除去できるものと考えてよい。
逆浸透膜は原液の塩類濃度が高いほど、ろ過された水の塩類濃度を低くしようとするほど、そして濃縮水を減らそうとするほど、膜の厚さを増したり複数の膜を連続して通すなどして高い圧力をかけてろ過する必要がある。例えば、平均的な塩分3.5%の海水から日本の飲料水基準に適合する塩分0.01%の淡水を、水の回収率40%(残りの60%は濃縮水として捨てるという意味)にて得る場合、2005年現在の最低水準で55気圧程度が必要である。また家庭用浄水器の場合でも、水の回収率や水温、水質によって大きく異なるが最低でも10気圧程度は必要で、水道の水圧だけでは不足であるため、ポンプで加圧してやる必要がある。
逆浸透膜の透過水量は水温が下がるほど減り、同じ水量を得るのに必要な圧力が高まる。このため海水淡水化装置や家庭用浄水器などでは夏と冬で採水量が変わる。しかし水温が上がるほど塩類の阻止率が低下するため、あまり水温を上げ過ぎるのも良くない。
一方、果汁や乳製品、化学薬品などの濃縮に使う場合は、目的物が濃くなるほど浸透圧が上がってろ過水が少なくなってゆくため、処理は1回に処理する量を貯めておいて目的の濃度になるまで膜との間を循環させながらろ過水を排出してゆく方が膜の利用効率がよい。これを回分処理またはバッチ処理と呼ぶ。
日本では1970年代に、東レ、東洋紡、日東電工などのメーカーがアメリカから技術導入を行って開発に取り組んだが、海水淡水化の分野では欧米に対して出遅れたため、1980年から財団法人造水促進センターが中心となって、それまで無かった逆浸透膜の一段処理を実用化し、世界の主導権を握るに至った。一方でこの頃から、逆浸透膜の用途がより付加価値の高い浄水処理(水道水を造ること)、工業用の純水や超純水の製造、下水の再利用、果汁や乳製品、化学薬品の濃縮などに広がると共に、海水淡水化用の膜は価格競争時代に入っていった。
2005年現在、海水淡水化用の逆浸透膜の国別シェアでは日本が世界のトップを占めているとみられ、性能面で改良が進んだにも関わらず、海水淡水化用の膜の面積あたり価格は1980年代の10分の1以下に下がっている。一方、浄水処理には日本国内での約200件をはじめとして全世界で使われており、また半導体や液晶ディスプレイなど電子部品の製造に使う超純水や、下水の再利用にとっても逆浸透膜は欠かせないものになっている。更に、水道水の水質が必ずしも良好でないアメリカで、1990年代から家庭用浄水器にも使われ始め、これが2004年頃から日本にも輸入されるようになってきた。
また、膜の材質は主に以下の4種類が使われる。
Umkehrosmose | Reverse osmosis | Osmose inverse | Reverse Osmosis | Osmosi inversa | Omgekeerde osmose | Osmose inversa | Thẩm thấu ngược | 逆滲透