賛美歌(さんびか、ラテン語:hymnus)とは、キリスト教において、礼拝や集会等で歌われる、神をたたえる歌のことである。
日本語の狭義では、民衆的な性格を持つもの、特にプロテスタントの宗教歌を指し、その場合、古代や中世から古い伝統を保持しているもの(例えば、グレゴリオ聖歌)を聖歌、カトリック教会のある特定の典礼歌を賛歌として区別して呼ぶ。ただし、「讃美歌」というタイトルの曲集と「聖歌」というタイトルの曲集に本質的な差異があるわけではなく、編集の基準は同様であり、同じ曲を採用しているものも多い。
一般には賛美歌の文字を使うが、賛美歌集の書名には讃美歌の文字を使ったものが多い。元の用字は讚美歌で、讃は讚の略字である。
歴史
聖書の時代
モーセが
紅海を渡ったあとで
エジプト軍が波に飲まれるのを見たとき、
とあるのが
聖書における最初の記事である。
詩篇は「歌った」「歌う」と書いてあるので、これらはその時代の賛美歌の歌詞であると考えることができる。特に、「セラ」は間奏であると考える学者もいる。新約でも、
最後の晩餐のあと
- 一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。(マタイによる福音書26:30 聖書:新共同訳)
等の記事が見られる。
日本の賛美歌(聖歌)
中田羽後師の編さん・翻訳による『
聖歌』として1958年から2001年まで発行されていたものと(日本福音連盟の聖歌編集委員会)日本基督教団の讃美歌委員会による「讃美歌」(1954年から、刊行中)がよく使われていた。両者ともほぼ共通の曲と近い翻訳の歌詞が特徴。現在は、その内容の大部分を引き継いだ、日本教会音楽研究会・和田健治の編著による「聖歌総合版」(聖歌の友社)、讃美歌改訂委員会による「讃美歌21」(日本基督教団出版局)と、「聖歌」でも「讃美歌」でもなく、日本福音連盟の新聖歌編集委員会により全く新しく編集された「新聖歌」(教文館)が刊行されている。
賛美歌の構成
節
歌詞の1番、2番……を賛美歌では
節という。賛美歌はいくつかの節を持っているものがほとんどである。しかし、前半が毎節違う歌詞で、後半は全節同じ歌詞となっているものも多い。この後半部分を「折り返し」または「繰り返し」と呼ぶ。英語では
refrain である。前半を独唱で歌い、後半を合唱で応答するという形式の名残であると考えられる。
ミーター(韻律)
ミーターは歌詞の音韻上の形式で、節のなかの音数(音節数)のことである。同じミーターの曲は、詞と曲とを入れ替えて歌うことができるため、
欧米にはこれを利用した替え歌の習慣がある(日本語の詞の場合には
アクセントや
音引きの関係で必ずしもうまく替え歌ができるとは限らない。そのせいか、日本では替え歌は一般的でない。また、日本の場合には近年になって訳詞されたものも多く、
著作権法上の
著作者人格権が消滅しておらず、替え歌には訳詞者本人の承諾も必要である)。
標準的なミーター:
- SM (ショート・ミーター) 66 86
- CM (コモン・ミーター) 86 86
- LM (ロング・ミーター) 88 88
編成
伝統的な賛美歌は、
コラールの編成、すなわち、混声四部
合唱の編成で書かれることが多い。実際の
礼拝では、多く
オルガンで伴奏される。
賛美歌の名前
個々の賛美歌には名前が付いている。しかし、賛美歌には替え歌の習慣があり、同じ詞に異なる曲が付いていたり、同じ曲に異なる詞が付いていることが多くある。また、同じ詞に違う訳が付いている場合がある。このため、次のように、歌詞や曲それぞれに名前を付けて呼び、区別している。
- 初行
- 歌詞は初行(最初の行)で呼ばれる。たとえば、「きよしこの夜」の原詞(ドイツ語)の初行は“Stille Nacht, heilige Nacht!”であり、英語詞は“Silent Night! Holy Night!”である。日本語詞は「きよしこの夜」である。「いつくしみ深き」の初行は“What a friend we have in Jesus”である。また、初行以外のタイトルが付けられる場合がある。
- チューンネーム
- チューンとは曲のことであるから、曲の(歌詞でなくて音楽の方の)名前の意味である。日本の曲でもローマ字で付けられる。普通大文字を使い、「きよしこの夜」のチューンネームは“STILLE NACHT”である。「いつくしみ深き」のチューンネームは“CONVERSE”であるが、これは作曲者の名前からとったものである。なお、チューンネームを付けるのは、英語圏での習慣である。同じ曲でも、イギリスとアメリカでチューンネームが異なる場合もある。
著名な賛美歌
賛美歌集
毎週の礼拝では5曲程度が歌われる。この便のため、各国で賛美歌集が編さんされている。日本でも数種の賛美歌集が「讃美歌」「聖歌」の名で編さんされている。最近では、教派ごとの賛美歌集も増えている。
賛美歌集の構成
賛美歌集は、礼拝(開会、閉会、信仰告白)、
教会歴ないし
イエス・キリストの生涯(
待降、
降誕、
公生涯、
受難、
復活、
再臨)、信仰生活といった項目ごとに構成されることが多い。おおむね600曲が、賛美歌集として礼拝に必要な数であるといわれている。
国内の主な賛美歌集
関連項目
外部リンク
聖書の著作権表示(念のため)
- 聖書 新共同訳:
- © 共同訳聖書委員会 / Executive Committee of The Common Bible Translation
- © 日本聖書協会 / Japan Bible Society,Tokyo 1987,1988
- 聖書 新改訳
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