象皮病(ぞうひびょう)あるいは象皮症(ぞうひしょう)とは主としてバンクロフト糸状虫などのヒトを宿主とするリンパ管・リンパ節寄生性のフィラリア類が寄生することによる後遺症の一つ。
身体の末梢部の皮膚や皮下組織の結合組織が著しく増殖して硬化し、ゾウの皮膚状の様相を呈するため、この名で呼ばれる。陰嚢、上腕、陰茎、外陰部、乳房などで発症しやすい。
フィラリア類の雌はミクロフィラリアと呼ばれる幼生を多量に産生し、これが末梢の毛細血管中に移行して媒介者であるカに吸引され、他の宿主に運搬される。バンクロフト糸状虫などはリンパ管やリンパ節に成虫が寄生するため、雌の産んだミクロフィラリアは、まず最初にリンパ管内に出現する。患者は急性症状として成虫やミクロフィラリアに起因するリンパ管やリンパ節の炎症を起こし、これが繰り返されることでリンパ管の閉塞や破裂が起こる。リンパ管の主要な機能は身体末梢部に毛細血管から供給される組織液の回収であるので、リンパ管の破壊が進行すると身体末梢部に組織液が滞留し、むくみ(浮腫)を生じる。この浮腫の刺激によって皮膚や皮下組織の結合組織が増殖して象皮病をきたすのである。
このように、象皮病の直接的な原因はフィラリアの寄生ではなく、リンパ管の破壊と、それによる組織液の滞留である。そのため、体内のフィラリアが既に死滅して感染自体は終結していても、この症状は進行する。むしろ重症の象皮病の患者の体内からは既にフィラリアは見られないことが多い。
また、フィラリアの感染によらず、乳がんなどの手術によってリンパ管を破壊しても、象皮病を起こすことがある。