解糖系(かいとうけい)とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解(異化)し、グルコースに含まれる高い結合エネルギーを生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。ほとんど全ての生物が解糖系を持っており、もっとも原始的な代謝系とされている。嫌気状態(けんきじょうたい、無酸素状態のこと)でも起こりうる代謝系の代表的なもので、別名嫌気呼吸(けんきこきゅう)、無気呼吸(むきこきゅう)などとも呼ばれる。
好気性の生物では好気呼吸の初段階として用いられているが、その場合はピルビン酸まで反応が進み、そこからTCA回路に入ることとなる。逆に無酸素状態であればピルビン酸は乳酸といった有機酸エタノールなどに変化する。発酵過程はこの解糖系で発生している(乳酸発酵、エタノール発酵など)。
また、好気性の生物でも過剰な運動などによりTCA回路の能力を超えたATPが必要になった場合に解糖系によるATP合成が活発になりTCA回路で処理しきれないピルビン酸が生成され、過剰なピルビン酸が乳酸に変換されるため結果的に血中乳酸濃度が上昇する。長らく筋繊維への乳酸の蓄積が運動後の筋肉痛の原因であると信じられてきたが、近年では筋繊維への微細な損傷が筋肉痛の主な原因であるという考え方が主流となってきている(英語版WikipediaのLactic Acidを参照)。
ATPの収支については、反応では4分子のATPが生成されるものの、グルコースやフルクトース6リン酸のリン酸化のために2分子のATPが消費されるので、都合グルコース1分子当たりでは2分子のATPが生成されることになる。また電子伝達系に用いられるNADHは2分子の生産となる。
EM経路と同様グルコース1分子あたりピルビン酸2分子を生じ、無酸素状態の場合は乳酸やエタノールを生産する。ただし、ATPの収支ではグルコース1分子辺りATP1分子とEM経路よりも少なく、系が単純な分やや効率は悪い。ただしNADHを2分子生産する。
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