裁判(さいばん)とは、裁判所(訴訟法上の裁判所)が訴訟その他の事件に関して当事者に対して示す判断のうち、法令によって一定の効力が与えられているものをいう。具体的な制度は個々の主権国家において様々であり、以後本項では、日本の例について記す。
日本においては広い意味では、行政機関が行う
行政審判も含まれるが、「行政機関は、終審と裁判を行ふことができない」(
日本国憲法第76条第2項後段)から、行政審判も最終的な法的判断は裁判所にゆだねられる。
裁判の区別
訴訟行為として行う裁判
- 私人間の紛争を解決するための裁判を民事裁判という。
- 犯罪行為を行った者に対し、国(検察官)が、法の秩序と被害者の人権を守るため、原告人となって裁判所に訴えて刑罰を求める裁判を刑事裁判という。
- 違法な行政行為により権利を侵害されたとき、被害者が、国・地方公共団体を被告として裁判所に訴え、被害の救済を求める裁判を行政裁判という。
裁判の形式による区分
役割からの区別
裁判の手続
合議体による裁判のときは、評議によりその裁判の内容が定められる。これに基づいて裁判書を作成し、当事者に対して告知することによって裁判が成立・発効する。その具体的な手続は、裁判の類型・場合によって異なる。
裁判の効力
裁判は、事実行為ではなく観念的な法律効果を目指す法律行為であることから、当然一定の効力をもつが、その態様はその具体的な場合に応じて異なる。
裁判を受ける権利
日本国憲法第32条で保証されている。
- 法律により定められた裁判所により公正な裁判を受ける権利。
- 適正な手続による裁判を受ける権利。
を具体的な内容とする。
国務要求権ないし
受益権の一種として,裁判所は適法な訴えのあった場合には裁判を行うべき義務を負っている。
- 公平な裁判所の
- 迅速な
- 公開裁判
を保証している。
その費用・期間
一般的に裁判にはたくさんのお金と期間がかかると思われているが、刑事事件の裁判それ自体には一銭も費用はかからない。
憲法第32条に「何人も、裁判所において裁判をする権利を奪われない」とある。
裁判は権利であり被疑者の経済事情に関わらず行使できるということだ。
ただし、弁護士を呼ぶ場合は当然、費用がかかってくるが、死刑若しくは 無期・三年を超える懲役・禁固にあたる事件でなければ、弁護士を選任する義務はない。
実際には、被疑者が希望しなくても裁判を円滑に進めるために、国選で弁護人が付く場合が多いが、この場合、弁護費用は国費から支出される。
尚、被告人が裁判の費用を負担しなければならないのは、被疑者が有罪になったときだけである(刑事訴訟法第181条)
期間に関しては、難しい事件をとことん争って上位の裁判所が上告を受け付けてくれた場合かかるが、たとえば交通違反などの軽微な事件はそんなに時間をかけようがない。
一回目の公判で、被告人が罪を認めれば、一時間ほどで終了、二週間ほど後に判決を言い渡す公判があり15分ほどで閉廷する。
裁判の公開
訴訟の審理及び裁判を一般公衆が傍聴できる状態において行うこと。秘密裁判を排斥し,司法の公正とそれに対する国民の信頼を保持するためのものである。日本国憲法は、裁判の対審及び判決は公開の法廷で行うとしている(第82条)。
- 例外
- 公の秩序・善良の風俗を害するおそれがある場合は,裁判官の全員一致の決定により,対審の公開を停止することができる。
- 政治犯罪,出版に関する犯罪又は基本的人権が問題となっている事件については,公開を停止できず,判決の言渡しは,常に公開しなければならない。
よくある誤解
一部の著作物等において、裁判長が判決を読み上げるときや傍聴席に対し静粛を呼びかける時などに木槌を使用している描写があるが、海外ドラマなどの法廷シーンからヒントを得ての演出であり、日本の法廷では一切使用されていない。また、「異議あり」などと叫ぶ弁護士・検察官も滅多にいない。
その他
国連規約人権委員会は、「
第1選択議定書」に基づき、国内のあらゆる救済機関で救済されなかった人々が
国連規約人権委員会に通報すれば審理したうえ各国政府に是正勧告ができる「
個人通報制度」(
第三世界を含めた78カ国が批准)を全ての国に批准するよう働きかけているが、
日本政府は、
最高裁の上に第四審制を置くことになると乱訴を招く事を理由に
批准を拒否している。
関連項目
司法 | 裁判
Gerichtsverfahren | Trial (law)