蛆(うじ)、あるいは蛆虫(うじむし)というのは、ハエの幼虫である。一般には、腐肉や汚物などに発生するものを対象としてそう呼んでいる。
普通、このようなものに発生するハエはイエバエ、ニクバエ、キンバエなどである。これらのウジは色白で、体は偏平でなく、頭の方へ細まっている。脚に当たるものはなく、全身を波打たせるようにして進む。人家周辺で見かけるもう一つのウジは、コウカアブ類のもので、体の表面はやや硬く、偏平で灰褐色をしており、動きがにぶい。下水周辺などに出没する。
動物の死体や汚物には即座と言ってよいほど素早く出現する。親バエが直接に幼虫を産むものがあるため、卵が孵化するまでの時間すらかからない。液体化した腐敗物の表面に気門を出し、多数が動くと汚物の表面全体がざわついて見える。便所が水洗化されていない所では、便器の穴や便槽のふたを開けてをのぞき込めばこの様子が観察できる。
戦争時など、傷の手当や治療が不十分で、不潔な包帯を放置された場合など、傷口にウジがわく場合がある。けが人にとってはむず痒く、極めて不快であるとのことだが、ウジが膿や腐敗した部分を食べることで、傷口がきれいになり、むしろ傷の状態がよくなる場合がある。ウジは、正常な組織や生きている組織を食べることはない。そのためこのことを治療に積極的に利用する場合もあるという。ただし、もちろんこれは専門医の指導のもと、医療用のウジを使った場合に限る。言うまでもなく、外科治療に関する医学的な知識がないものがウジを用いた治療を試みるべきではない。
ヨーロッパではかつては自然発生説はごく普通に信じられていた。これを打破したのがフランチェスコ・レディによる、ウジの自然発生を否定する実験であった。彼は腐肉の入ったビンに布で蓋をすればハエが卵を産めず、そのためウジが発生することはないことを示したのである。
蛆、あるいは蛆虫という言葉は、不潔で価値の低いもの、汚れたものという意味で使われ、それが他人に対して使われた場合、強い侮蔑感を与える。まれに、いずこからともなくわいてくるものの意味に使われることもある。
有用に使われることもある。たとえば釣り用の餌として使われ、その場合、サシと呼ばれる。また、その目的で養殖が行われている。また、ヨーロッパには発酵して蛆をわかせたチーズが実在し、珍味とされている。