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自律神経系(じりつしんけいけい、Autonomic nervous system)とは、内臓器官に対し不随意に(非意識的に)コントロールする神経である。

交感神経系副交感神経系の二つの神経系で構成されている。

構造


随意神経系(体性神経系)と対照して、不随意である「自律神経系」は消化呼吸、発汗、および新陳代謝のような不随意な機能を制御し、血圧を調節することで比較的一定の内部環境を維持して定常性を生む。 これらの機能が一般に自身のコントロールの外にあるが、認識できない訳ではなく、そして、心の状態に影響を及ぼすと考えられる。

交感神経副交感神経の二つの神経系からなり、それらは相乗または対立して働く。交感神経は極端の身体的活動や恐怖などのストレスの多い状況に対処する為に必要な反応とエネルギーが供給される原因となる。この様なストレスに対応して交感神経は血圧心拍数を上げ、そして胃腸腎臓皮膚への血液量を減らして骨格筋への血液供給量を上げ、瞳孔と細気管支を収縮させることで視覚とoxigenationを好転、そして肝臓でのグリコーゲン分解と脂肪組織での脂肪分解により必要なエネルギーを発生させる。

一般に、それは器官を刺激し、エネルギーを結集するのに役立つ。

ストレスの多い状況では、体は休み、回復し、新たなエネルギーを獲得する必要がある。 これらの仕事は副交感神経系のコントロール下にある。 心臓速度と血圧を下げて、皮膚と胃腸への血液を戻し、瞳孔と細気管支を収縮させて、唾液腺分泌を刺激して、蠕動を加速する。 副交感神経系は回復と省エネルギー化に向け、器官へ影響を及ぼす。 それは腸壁のいくつかの層の神経叢に接続され交感および副交感神経繊維により調節されうる。 しかし、交感神経と副交感神経からの入力から断ち切られた後でも腸の神経系はそれ自身で作動することができる。 これが腸の神経系が時々「2番目の脳」と呼ばれる由縁である。(Hospital Practice, The Enteric Nervous System: A Second Brain, Michael D. Gershon, MD, Columbia University) (*)

腸管神経系は腸腺の分泌と腸の上皮の再生をし、腸の運動性を整える。 そのため自律神経系の3番目の部分であると時に考えられる。

機序


交感および副交感神経繊維は、1つの細胞またはニューロンだけから成る自発的な運動神経と対照して、「神経節前」及び「神経節後」神経細胞の両方がある。それらは神経節で会合し、シナプスの化学伝達物質アセチルコリン(ACh)により、神経インパルスが神経節で細胞から細胞へ伝達される。 アセチルコリンは最初のニューロン(節前ニューロン)から放出され、2番目のニューロン(節後ニューロン)でニコチン受容体に結合、そこで2番目の神経伝達物質を放出することによって、インパルスを効果細胞へ移す。 副交感神経の繊維中でもまた、2番目の伝達物質はアセチルコリンであるが、交感神経系における2番目の伝達物質はノルアドレナリンが担う。 また、神経節前自律神経繊維は副腎皮質で終わり、それは直接血流へ伝達物質を放出する代わりにアドレナリン及びノルアドレナリンを放出する巨大な神経節として働く。 神経節前自律神経細胞の細胞体は中枢神経系に位置し、交感神経系のそれは胸椎と腰椎に生じる。 神経節前副交感神経細胞体は脳幹(頭蓋副交感神経)、仙椎(仙髄副交感神経)に位置している。

交感神経の軸索はいわゆる交感神経幹として、脊柱のそれぞれの側で、22の神経節の鎖を為す。 これらからの内臓の神経は、大動脈の正面の不対臓側動脈が分岐するあたりにある、脊椎前神経節へ続く。 交感神経の左右の神経幹は、骨盤の領域で合流し不対神経節を形成する。 自律神経繊維により支配される器官は心臓食道小腸大腸肝臓胆嚢、および生殖器を含んでいる。

また、これらの器官は副交感神経系によっても支配される。 結腸の後部までの消化器系の末端は骨盤神経節を通して仙骨の副交感神経繊維を通して調節される。 より前の消化管は迷走神経、または最も大きく頭蓋副交感神経系に制御される。 様々な脳神経と共に頭蓋骨を出る前に、他の副交感神経繊維が迷走神経のそれのように頭部の副交感神経節と眼筋と唾液腺の神経支配のルートで、脳幹に生じる。

解剖


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図1: 右交感神経鎖と胸部、腹部、骨盤の神経叢とその接続。(Schwalbeによる修正後)

交感神経系の末梢部は多数の神経節と複雑な神経叢の存在によって特徴付けられる。 これらの神経節は遠心性または神経節前交感神経、即ち頭蓋、胸腰、および仙骨の3つのグループによって中枢神経系に接続される。 自律神経のこれらの出力は接続が存在しない間隔で分けられる。 頭蓋及び仙骨の交感神経はそれらを刺激し、ある薬品の効果で生じる反応に類似するのでしばしば一緒に分類される。 アセチルコリンは 例えば 非常にわずかな投与量で静脈に注入した時、頭蓋仙椎系の交感刺激と同じ効果を生み、 アドレナリンの挿入は胸腰系の交感刺激と同じ効果を生むが。 様々な薬品の投与で交感神経系に関して多く知識が得られて、特にニコチンは交感神経の節前・節後線維間の接続またはシナプスを麻痺させる。 それが 全身循環に入った場合、そのようなすべてのシナプスは麻痺してしまう。 神経節だけに局所投与の場合、その特定の神経節に存在するシナプスは麻痺させられる。 Langleyはグレイの解剖学で使われている用語や薬理学での用語ともいくらか異なった用語の使い方をした。 以下の表における、用語の配置で示されるように、 これはかなりの混乱を招いた。 また、Gaskellは不随意神経系という用語を使用した。

GrayLangleyMeyer and Gottlieb
交感神経系(Sympathetic nervous system)自律神経系(Autonomic nervous system)植物性神経系(Vegetative nervous system)
頭蓋仙骨交感神経
(Cranio-sacral sympathetics)
副交感神経(Parasympathetics)自律神経(Autonomic)
動眼交感神経(Oculomotor sympathetics)視蓋自律神経(Tectal autonomics)頭部自律神経(Cranial autonomics)
顔面交感神経(Facial sympathetics)延髄自律神経(Bulbar autonomics)
舌咽頭交感神経(Glossopharyngeal sympathetics)
迷走神経(Vagal sympathetics)
仙骨交感神経(Sacral sympathetics)仙骨自律神経(Sacral autonomics)仙骨自律神経(Sacral autonomics.)
胸腰交感神経(Thoracolumbar sympathetics)交感神経(Sympathetic)交感神経(Sympathetic.)
胸神経(Thoracic autonomic)
腸管神経(Enteric)腸管神経(Enteric)腸管神経(Enteric.)

頭部交感神経


頭部交感神経は遠心性の動眼、顔面、舌口蓋神経、および迷走神 経の繊維があり最後の3つについては求心性線維も含む。 動眼神経の遠心性交感神経はおそらく中脳の皮層に位置している動眼神経核の前方部の細胞から生じる。 これらの節前線維は、第三神経と共に眼窩へ伸び、毛様体神経節を通る。 節後線維すなわち軸索は短毛様体神経として眼球に続かせる交感性運動ニューロンとシナプスを形成して終わる。 ここで、それらは毛様体筋、瞳孔括約筋の運動神経線維となる。 ここまで、その神経に接続されたどんな交感性求心性線維も知られていない。 顔面神経の交感神経の遠心性繊維は顔面神経核の小さな細胞から生じると考えられる。 何人かの著者によると、唾液腺への神経繊維が生じる特別な核、上唾液核を構成する細胞は網様体に点在していて、顔の核への背内側の細胞から成る。 これらの節前線維は一部が鼓索神経と顎下神経節への舌神経を通り、その節後線維が軸索として顎下腺と舌下腺に分泌と血管拡張のインパルスを伝導するニューロンの細胞体で終わる。 顔面神経の他の節前線維は大錐体神経を経由して、蝶形口蓋神経節へ、そこで節後線維とシナプスを形作る。節後繊維は、軟口蓋、扁桃腺、口蓋垂、口蓋、上唇、歯茎、耳下腺、および眼窩の粘膜へ血管拡張と分泌を司る上顎神経の繊維と共に分布。

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図2:出力の交感神経系一覧。

青 頭蓋・仙髄の出力。 赤、胸・上腕の出力。 ――頭、体幹、手足の血管運動を掌る脊髄および脳髄の神経、皮膚の平滑筋および汗腺への運動神経線維 の節後線維。 (MeyerとGottliebの修正後)

いくつかの交感性求心線維が顔面神経に接続されているとされ、それは 細胞体が膝状体神経節にあるが、ほとんど知られていない。

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図3:毛様体及び上頚神経節の交感神経の接続

舌咽神経の交感性求心繊維は背側核または別の、背側核の近くに位置する下唾液核両方から起ると考えられる。 これらの節前繊維は舌咽頭神経の鼓膜枝とそして小浅錐体神経を通り抜ける。 節後繊維、血管拡張及び分泌神経は耳下腺へ、粘膜上のその腺、の底部、歯茎の下部へ分布している

自律神経の求心繊維の細胞の源は主神経の上下の神経節から生まれ、背側核で終っている模様である。 この神経の末端がどうなっているのかはよく知られていない。 迷走神経の交感性遠心繊維は背側核(nucleus ala cinerea)から起っていると考えられている。 これら節前繊維は迷走神経のある器官またはその近くに位置する交感神経節で終わると考えれらる。 心臓への抑制繊維はおそらく心壁に位置する小さな神経節で終わり、特に心房からの節後繊維は筋系に分布する 食道、胃、小腸及び大腸の大部分への筋前運動繊維は、節後繊維がその平滑筋に分布する、アウエルバッハ神経叢で終わると考えられている。他の繊維は気管支樹や胆嚢とその排出管の平滑筋へとわたる。 なお、迷走神経は膵臓の分泌繊維であるとされる。それはおそらく上に列挙されたものより他の多くの遠心性線維を含む。

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図4:蝶形口蓋及び上頚神経節への自律神経の接続
迷走神経の交感性求心繊維の細胞の源は頚静脈神経節または節上神経節にあり、おそらく延髄の背側神経で、または多くの著者によれば、弧束の神経で終わる。 末梢性でその繊維は、交感性遠心繊維のある様々な器官に分布している模様である。

仙椎の交感神経―仙椎交感性遠心繊維は第二、第三、第四の仙椎神経の前根から脊髄を出る。これら小さな有髄節前繊維は骨盤で、節後繊維が骨盤の内臓に分布する下腹部または骨盤の神経叢へ向かう、勃起神経または骨盤神経に集められる。 運動神経は下行結腸直腸肛門膀胱の平滑筋を通る。 血管拡張神経はこれらの器官と外陰部に分布し、抑制繊維はおそらく外陰部の平滑筋を通る。 求心性自律神経はインパルスを骨盤内臓から第二、第三、第四仙骨神経へと導く。その細胞の源は脊髄神経節にある。

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図5:顎下及び上頸神経節の自律神経の接続
胸・腰髄の交感神経―胸腰系交感繊維は脊髄の灰白柱前側の背外側領域から起り、全ての胸髄と上から2,3の腰髄前根を通る。 これらの節前繊維は白交通枝(white rami communicantes)へ入り交感神経幹へ向かい、多くはその神経節で終わり、残りは前脊椎神経節神経叢を通りその副神経節で終わる。その節後繊維は広範囲に分布する。 神経幹及び四肢の皮膚の血管収縮繊維は例えば、全ての胸髄と上から2,3の腰髄の節前繊維の様に脊髄を離れ、交感神経幹の枝または近輪の神経節に直接接続している神経節で終る。 それらの神経節から生じる節後繊維は灰白交通枝を通りぬけて総ての脊髄神経へ向かい、皮膚神経叢へ分かれて最終的に小動脈へ接続する。 その節後繊維が必ず対応する同じ脊髄神経へ戻ってくる必要は無い。 頭部への血管収縮神経は胸髄神経から出て、その節前繊維は上頚神経節で終わる。 その節後繊維は内頚動脈神経とその分枝を通り抜けて様々な脳髄神経、特に三叉神経の感覚枝へ加わる。 深部構造と唾液腺への他の繊維はおそらく動脈に付随する。
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図6:耳及び上顎神経節への交感神経の接続
腹部内臓の節後血管収縮繊維は、多くの節前繊維が終わる、前脊椎または副神経節中で生える。骨盤内臓への血管収縮繊維は下腸間膜神経節から生える。見たところ、毛への起毛線維および汗腺への運動繊維は、皮膚の血管収縮繊維と似た分布をしている。

血管収縮の中枢は生理学者により、顔面神経核の近くと特定された。その細胞からの軸索は、胸・上腰部の前柱の背側部にある節前繊維の細胞体あたりで終了する脊髄の中を下る様である。

目の瞳孔散大筋への運動神経は、上部胸神経の前根で脊髄を離れる節前交感性繊維から来る。 これらの神経は交感神経幹に白交通枝を抜けて、上頚神経節に終わる。 上頚神経節からの節後繊維は内頸動脈神経と、眼球と瞳孔散大筋へのインパルスを導く長毛様体神経の道筋への三叉神経の視覚領域を通りぬける。 それらの節前繊維の細胞体は中脳から下る繊維と接続する。

上頚神経節からの他の節後線維は分泌神経として唾液腺、涙腺、そして鼻、口および咽頭の粘膜の小さな腺に分布する。胸交感神経は心臓に促進性神経を伸ばす。 それらは脊髄の胸神経の上から4つか5つの前枝から現れ、 第一胸神経節への白枝(white rami)で通り抜け、いくらかはそこで終了し、他は鎖骨下係蹄への下頚神経節を通る模様である。 その節後神経は一部鎖骨下係蹄を通り心臓へ向かう。その途中で迷走神経からの交感性繊維と混合して心臓神経叢を形成する。 胃、小腸、大部分の大腸の平滑筋系の抑制性繊維は胸神経下部と腰神経上部の前根から現れる様である。 これらの繊維はwhite ramiと交感神経の主神経を通り抜けて、前脊椎神経叢への内臓神経を伝い、そこでその副神経節で終わる。 腹腔と上腸間膜神経節からの節後繊維(抑制)は胃、小腸、大部分の大腸に分布する。 下行結腸、直腸、内部肛門括約筋への抑制性繊維はおそらく下腸間膜神経節からの節後繊維である。

胸腰部の交感神経は、中枢・副の2グループに分類されうる多数の神経節の存在によって特徴づけられる。

中枢神経節は二つの垂直な列に並び、中線の一方の側の一つは脊柱の部分的に前面、そして部分的に側面に位置する。 各神経節は神経索により隣接した神経節と繋がってその様に交感神経幹の2つの鎖は形成される。 副神経節は3つの大きな前脊椎神経叢で見られ胸郭、腹部、骨盤の中にそれぞれ位置する。

交感神経幹は頭蓋から尾骶骨(びていこつ)へ伸びる。頭部の末端は頚動脈管を遡って頭蓋へ入り、内頚動脈で神経叢を形作る。 尾部の末端は収束して、尾骶骨の前側に位置する、一つの不対神経節(ganglion impar)で終わる。 それぞれの幹神経節は頚部、胸部、腰部、仙骨に分類され、それらは首を除いて椎骨と密接に対応する。 並びは以下の通りである;

  • 頚部3神経節
  • 胸部12神経節
  • 腰部4神経節
  • 仙骨4~5神経節

首では神経節は椎骨の横突起の前に、胸部では肋骨の頭の前に、腰部では脊椎体の側面に、仙骨部では仙骨の前にある。

脊髄神経との接続


交感神経と脊髄神経は灰白及び白交通枝を通して連絡している。灰白交通枝は交感繊維を脊髄神経へ運び、白交通枝は脊髄繊維を交感神経へ伝える。それぞれの脊髄神経は交感神経幹から灰白交通枝を受け取っているが、白交通枝は全ての脊髄神経から出てはいない。白交通枝は第一頚から第一腰神経までから分岐する一方、第二、第三、第四仙髄神経から直接骨盤神経叢へ向かう臓側枝がこの部類に入る。白交通枝を通して交感神経に届く繊維は有髄で、交感神経節の細胞から起こるこれらは殆ど完全に無髄である。 交感神経は遠心性と求心性の繊維から構成される。三つの大きな結節した神経叢(側副神経叢)が胸部、腹部、骨盤部の脊柱の前に位置していて、それぞれ心臓神経叢、太陽神経叢、下腹神経叢と名付けられた。それらは神経と神経叢の集合体を構成、それらは交感神経幹と脳脊髄神経から分岐した神経に属する。それらは内臓に分枝を伸ばしている。

発達


交感神経の神経節細胞は神経冠に由来する。 それら神経冠として神経管の側を前へ動き、分節して脊椎神経節を形成、その腹側の細胞は分離して大動脈の側へ移動、そこでいくつかはグループ化して交感神経幹の神経節を形成し、残りは更に移動して前脊椎および内臓神経叢を形成する。

三叉神経の枝が見られる毛様体、蝶形口蓋、耳および下顎神経節は、半月神経節となる神経冠の部分から移動してきた細胞のグループにより形成される。毛様体神経節の細胞のいくつかは神経管から動眼神経に沿って移動するといわれる。

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