胚発生(はいはっせい)または生物学における発生(はっせい)とは、多細胞生物が受精卵(単為発生の場合もある)から成体になるまでの過程を指す。広義には老化や再生も含まれる。発生生物学において研究がなされる。
前成説と後成説
古くは
精子には小さな人の形をしたもの(
ホムンクルス)(つまり、卵の中に、子孫の雛形がある)があらかじめ存在し、
発生はホムンクルスが大きくなる過程であるという
前成説があったが、後の研究で、そのようなものが存在しないことが明らかになった。他方、卵の中には何もなく、次第に形が出来て来るという考え方を後成説という。
実際には顕微鏡を使用して、細胞レベルの観察が行われるようになって、具体的な発生の過程が観察できるようになった(もっとも、研究の初期には「顕微鏡を通してホムンクルスが観察された」といったような報告がされたこともあった)。動物の発生については多くの研究がなされているが、植物についてはかなり遅れて研究がなされた。
動物の発生過程
様々な
無脊椎動物の発生過程の研究から、動物の発生には、一定の共通する型があると考えられるようになった。
卵割
多細胞動物の発生は、
受精卵の細胞分裂、いわゆる
卵割から始まる。卵割は同調的な分裂により、細胞数を2の級数で増やす。通常は2細胞期に左右に、4細胞期に前後に、8細胞期に腹背に分かれる。卵黄の多い卵では、このとき動物極側(卵黄が少ない)の方が細胞が小さくなる。
胞胚期
ある程度細胞数が増えると、多くの場合、内部に空洞を生じ、その外側を一層の細胞が覆う形になる。これを
胞胚(ほうはい)期と呼ぶ。胞胚の内部の空洞は
卵割腔(らんかつこう)または、
胞胚腔(ほうはいこう)と呼ばれる。
ウニ卵は
胞胚期に
孵化し、表面に繊毛を持って泳ぐ。
卵割腔がなく、内部まで細胞で満たされるものもある。また、脊椎動物では複数の細胞層が生じる。
胞胚の表面の細胞層が内部に入り込み、一つの口を持った袋を内部に形成する。これは
消化管の始まりである。そこで、この袋を
原腸と呼び、その出入り口を
原口と呼ぶ。また、この原腸が作られることを原腸の陥入(かんにゅう)という。この時期の胚を嚢胚(のうはい)または
原腸胚(げんちょうはい)とよぶ。
刺胞動物や扁形動物では消化管には一つしか出入り口がない。その他の動物では消化管は管状である。そのような動物では、原口の反対側に新たにもう一つ出入り口ができる。このとき、どちらが口になるかは動物門によって異なる。軟体動物、節足動物、環形動物など、多くの無脊椎動物では原口が口になる(旧口動物または先口動物)が、棘皮動物や脊椎動物では原口は肛門になる(新口動物または後口動物)。
胚葉の分化
原腸が陥入したことで、それまで平等に並んでいた細胞が、内側と外側に分かれたことになる。そこで、外に残った細胞群を
外胚葉(がいはいよう)、内側に入った細胞群を
内胚葉(ないはいよう)と呼ぶ。外胚葉からは主に
表皮と
神経が、内胚葉からは
消化管が形成される。刺胞動物は、このような構造をほとんどそのままに成体になるので、
二胚葉性動物と言われる。
それ以外の動物では、外胚葉と内胚葉の隙間に細胞群が入り込み、そこで発達を始める。この細胞群を中胚葉(ちゅうはいよう)とよぶ。中胚葉からは筋肉、血管系などが作られる。また、中胚葉からは体腔が作られる。
形態形成
ここから後は各部分が出来上がってゆく段階にはいる。これを
形態形成という。
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