義務(ぎむ)とは、従うべきとされることを意味する。
義務の根拠としては、理性、道徳・倫理、宗教、法制度(法令・契約など)、慣習などが挙げられる。義務に反した場合には、制裁があるとされる。制裁には、内面的・物理的・社会的なものがある。
義務の分類
義務の根拠に応じて、 義務の性質は異なる。以下では、
宗教的義務、
道徳的・倫理的義務、
社会的義務、
法的義務に分けて説明する。ただし、ある義務は、分類上区別される複数の根拠を持つことが多く、大勢として求められる根拠が、年代・地域によって異なる側面もあるため、義務の分類は、あくまで便宜的である。
ユダヤ教、
キリスト教、
イスラム教などの
一神教では、唯一絶対の神が
信仰の証として、人に対して義務を課すとされる。その強制は内心・外面に対し厳格に及ぶとされる。
中世ヨーロッパにおいては、キリスト教的世界観の下、神の掟に従うことが義務とされた(神の掟に従うことは、神に対する義務、自己に対する義務、隣人に対する義務の3つに分けられた)。
また、イスラム法は、宗教的義務が法的義務となり、強制が法的にも加えられる例といわれる。
道徳的な意味では、義務はしばしば当為と呼ばれる。
ストア派は、ロゴス(理性)から生じた共通の「自然法」に従うことを、義務(徳)とした。
カントは、人間は、人間に備わっている実践理性が命ずる、最高善・魂の不死・神といった超感性的な対象と共に要請され、それらに支えられる(普遍妥当的な)道徳法則に従って生きるべきであると考える。しかし、人間は理性的であると同時に感性的欲求を持つ存在であるため、実践理性が命ずる道徳法則は、内面的・自発的な当為として現れると考える(定言命法)。
ハーバーマスは、道徳的義務の根拠を、定言命法のような実践理性の形而上学には求めず、対話的理性による人間相互の同意・承認に求める。
社会的義務とは、個人が属する社会に応じて従うべきとされることを意味する。しばしば、社会的責任と称される。社会的義務は、個人が属する身分・地位・職業・地域・組織などに応じた、継続的・非継続的な社会関係に応じて認められうる。
法的義務(実定法上の義務)
近代
国家における法的義務(実定法上の義務)とは、通常、
政治的権威(もっぱら、国家の構成員(国民・人民)を代表する議会)が定める一般的規範(
法律)の中に規定される義務を意味する。形式的には
私法(
民法)上の義務、
刑法上の義務、
手続法上の義務などがある。実質的には、国家が国家の構成員に対して課す義務と、国家の構成員の間において認められる義務とがある。現代的・
立憲主義的憲法においては、国家の構成員が、国家に対し国家の構成員の
権利・自由を擁護すべき義務を課すとされており、その観点からは、国家が定める法律上の義務は、憲法上の
人権規定に適合する範囲で規定されなければならない。
法的義務は、法令に基づくか、一方当事者の正当な権利行使に基づいて生じる。私法上の義務の履行は、原則的に、任意にされるべきであるが、履行がなされない場合に備えて、強制的実現をはかる手続がある(強制執行)。刑法に違反した場合には、国家による制裁(刑罰)が予定されている。その他、行政上の取締りを実効的にするために、行政法上の義務違反に対して科される行政刑罰もある。
関連項目
社会 | 法律
Pligt | Pflicht | Duty | Duty | Duty | Deontologi