米(こめ)はイネ(稲)の種子である。主に脱穀したものをいう。
日本語版Wikipediaでは、植物としてはイネの項目で、穀物としてはこの項目で扱う。
- ただし、古くはイネ科の植物の種子について広く「米」という単語が用いられており、古来稲が生産されていなかった華北(漢字発祥の地)では、長くアワ(粟)の種子に対して用いられていた。中国後漢の許慎が著した漢字の解説書『説文解字』において、「米…粟實也。象禾實之形」(禾=粟)と書かれ、米即ちアワの実であると解説されている。
概要
米は世界中で食用として用いられており、植物の中では
小麦に次いで2番目に多く消費されている。多くの国、特に
アジアでは主食としている文化が多い。逆に、欧米圏では付け合わせ等の
野菜の一種として利用されるケースがある。
ドイツでは
ミルヒライス (Milchreis) といって
牛乳で炊いた
デザートとして食べられるし、
スペイン語圏にもアロス・コン・レーチェ (
es:arroz con leche) と呼ばれる同様のデザートがある。
マレーシアや
タイなどでもデザートに利用される。
日本では
飯として食べられる他に、
酒や
餅、
飴、
菓子、
味噌、
醤油、
酢、
糊などの原料としても用いられる。
中国、
ベトナム、タイなどでは
ビーフン、
ライスペーパーなど加工原料にもされる。
米にはアフリカ米とアジア米があり、アジア米はさらにインディカ米(長粒種)、ジャポニカ米(短粒種)、ジャバニカ米(黒米)に分類される。
日本で広く食べられているのはジャポニカ米であり、米は丸みを帯びている。インディカ米は形が縦長で、粘りが少ない。
米は、人間による長い栽培の歴史の中で多くの交配が行われた為、ほぼすべてが雑種であるが、近年インディカ米とジャポニカ米の遺伝子的区別が研究されてきている。
米(うるち米)は、生薬名では粳米(こうべい)といい、健胃、滋養強壮などの作用がある。
米を蒸して酵母で発酵させたものを神麹(しんきく)という。(但し、コメでなく、小麦粉、ふすまなどとする説もある。)これには滋養、消化作用などがあるとされ、加味平胃散などの漢方方剤に配合される。
米の精製
米は稲穂の状態をそのまま食用とはせずに、精製を行って食用とするのが基本である。精製のプロセスは以下のようになっている。
- 脱穀(だっこく)- 稲穂から籾(もみ)をはずし、各粒にわける
- ふるい - 脱穀した籾、籾殻、稲ワラなどから籾を選別するために篩(ふるい)にかける
- 籾摺(もみすり)- 籾殻をむいて玄米とする
- 風選(ふうせん)- 籾から籾殻やしいなを取り除く
- 選別(せんべつ)- 玄米をふるいにかけ、標準以下の大きさの玄米(くず米)を除く
- 精白(せいはく)- 玄米のぬか層(胚芽)を削り取り、精白米とする
- 精選(せいせん)- 精白後の米からさらに選別を行う
精白は、精米(せいまい)あるいは「米を搗(つ)く」ともいう。
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基本的には、精米した精白米を洗浄して米ぬかを洗い流し(「米を研ぐ」とか「洗う」という)、炊飯器で炊飯(炊爨:すいさん)して、炊き上がった「ご飯」を食用とするが、栄養分をそぎ落とさないように、胚芽部分を残した胚芽精米や七分づき、玄米をそのまま炊いて食べる場合もある。
最近では玄米を若干発芽させた発芽玄米も食べられている。胚芽部分には脚気を予防するビタミンB1が豊富に含まれる。
また、うるちの精白米を粉末にしたものに上新粉とリ・ファリーヌがある。上新粉は料理や団子やせんべいなどの和菓子の原料とする。対して、リ・ファリーヌは、主に洋菓子の材料に使われる。上新粉より細かい粒子のもち米を粉末にしたものは白玉粉と呼ばれる。
一般的な米の品種
代表的な米の品種は以下の通り(順不同)。
外国種
特殊な米
- 陸稲
- 黒米: 黒米は種皮の色が黒い米。(くろごめ、学名: Oryza sativa subsp. javanica)
黒米は赤米 (Oryza sativa subsp. japonica)と共に神事の際に神饌として用いる機会が多い米である。黒く見える色素はポリフェノールの一種であるアントシアニンに起因しており、非常に濃い紫色である。炊飯した時、お米が紫っぽくなるため、紫黒米とも呼ぶ。代表的な品種はおくのむらさき、朝紫、むらさきの舞、紫黒苑。近年古代米と称し栽培が復活しつつある。
- 赤米:赤米は種皮の色が赤い米。玄米の表面の層が赤いのはタンニン系の色素を含有しているため。日本では8世紀の頃平城京の木簡から全国的に栽培されていたと推測される。また14世紀ころに「大唐米」という長粒種が渡来した。代表的品種は国司、神丹穂、ベニロマン、紅衣など。江戸時代に関東から西特に薩摩など南九州で多く栽培さえれていたが、明治以降品種改良米の普及活動により昭和中期には神事用以外は駆逐された。近年古代米と称し栽培が復活しつつある。また、日本には粳米しかなかったが品種改良により糯米ができた。
- 香り米
- ワイルドライス
- 低アミロース米
- 低グルテリン米
- α化米
性状や用途による区分
- 糯(もちごめ、糯米、餅米)
- 粳(うるち、うるち米)
- 酒米(さかまい、さかごめ)
米料理
米に関わる語彙
- しいな
- 早稲(わせ) 中稲(なかて) 晩稲(おくて)
- 糴(テキ かいよね)
- 糶(チョウ うりよね)
- おかぼ(陸稲)
米の歴史
地球上での米作(稲作)は、原産地の中国・インド・ミャンマーが接している山岳地帯の周辺での陸稲栽培から始まり、まず中国南部、東南アジアへと広まったとされている。その後中国中・北部、南アジアに、そして日本へと伝わった。
稲作は日本においては、縄文時代中期から行われ始めた。これはプラント・オパールや、炭化した籾や米、土器に残る痕跡などからわかる。
縄文時代中期に、中国から台湾、琉球を経て九州南部に伝わり、その後九州北部、中国・四国へと伝わったという説がある。
大々的に水稲栽培が行われ始めたのは、縄文時代晩期から弥生時代早期にかけてで、各地に水田の遺構が存在する。
関連項目
関連書
- 原田信男 『コメを選んだ日本の歴史 』 文春新書 文藝春秋 ISBN 4166605054
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