直積集合(ちょくせきしゅうごう)とは、集合の集まり(集合族)に対して、各集合から一つずつ元をとりだして組にしたもの(元の族)を元として持つ新たな集合のことである。
与えられた集合族から新たに直積集合を得る操作を、集合に対する演算としての側面を強調して、直積をとると言ったり、直積集合を単に直積と呼んだりする。
尚、積集合は、直積集合と別な概念であるから注意されたい。
直積演算を 2 つの集合だけでなく、複数個の集合に対しても拡張することが出来る。n 個の集合 A1, ..., An に対する直積集合を、
演算と見ると直積は結合法則を満たすと考えられる。すなわち集合 A, B, C に対し、自然 (canonical) な全単射
これと同様な意味で、直積は交換法則も満たす。すなわち
直積集合の濃度は、|A × B| = |A||B| となる。これは、(場合の数に関する)積の原理から導くことが出来る。また、A × A を A2 と略記し、同様に n 個の互いに相等な集合に関する直積 A × A × … × A を An と表記する。この時、|An| = |A|n が成り立つ。左辺と右辺の演算が異なることに注意されたい。(右辺は数の冪乗を表す。)
直積集合の元 a = (aλ)λ∈Λ ∈ ∏λ∈Λ Aλ に対して、写像 fa: Λ → A を fa(λ) = aλ と定義すると、当然ながら、fa(λ) ∈ Aλ である。逆に、g(λ) ∈ Aλ を満たす写像 g: Λ → A に対し、bλ = g(λ) とおいて、b = (bλ)λ∈Λ を考えれば b ∈ A である。つまり、対応 a → fa が定める写像
この全単射で両者を同一視して考えるのが普通であるので以下そのようにする。もし、任意の λ について Aλ = A が成り立つならば、A = A で、直積集合 {f: Λ → A | f(λ) ∈ A} は Map(Λ, A) に他ならない。ゆえに、この直積の濃度は |A||Λ| である。特に Λ が有限集合 {1, 2, ..., n} のとき |A|n となるので既に述べたことと一致する。
直積 ∏λ∈Λ Aλ に対し、標準的に定まる全射 pλ: ∏λ∈Λ Aλ → Aλ; (aλ)λ∈Λ → aλ を λ-成分への射影あるいは λ-射影などという。
射影を使うと、直積は次のような性質を持つものとして特徴付けることができる:
B は集合で、各 λ に対して写像 fλ: B → Aλ が与えられているならば、写像 f: B → ∏λ∈Λ Aλ で
これを直積の普遍性と呼ぶ。集合の圏以外の圏、たとえば群の圏などの代数的構造を持つ集合の圏についても一般に、直積とは、このような普遍性を持つ対象として定義される。(圏論的には直積の双対概念として直和がある。)
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