疎水性(そすいせい、形容詞hydrophobic、名詞hydrophobicity)とは、水に対する親和性が低い、すなわち水に溶けにくい、あるいは水と混じりにくい物質または分子(の一部分)の性質をいう。
疎水性物質は一般に、電気的に中性の非極性物質である。分子内に炭化水素基をもつ物質が代表的である。油や有機溶媒に親和性を示す親油性(しんゆせい、lipophilic)も同義に用いられることが多い。これらの物質は水と分離して互いに集まる性質をもつので、水から他の疎水性(親油性)物質を除去・回収するのにも用いられる。
対義語は親水性(しんすいせい、hydrophilic)である。これは一般に極性または電荷を有することにより、水に溶けやすいまたは混じりやすいという性質を示す。
分子内にある疎水性、親水性の部分をそれぞれ疎水基、親水基という。また分子内に疎水基と親水基の両方を持つ物質は両親媒性(りょうしんばいせい、biphilic)であるといい、界面活性剤や極性脂質が代表的である。
疎水性の高い物質は体内に蓄積しやすく、環境中でも残留しやすい傾向がある。典型的な例としては有機塩素系殺虫剤DDTやPCBなどがある。
疎水相互作用の原理は次のように考えられている。ミクロに見ると、水の分子は部分的には水素結合でつながりあっているが、液体であるから分子は乱雑に激しく動いている。ところがここに疎水性分子が入ってくると、その付近の水分子は疎水性分子と水素結合を作れないので、隣の水分子と強い結合を作ってしまい動きがとれなくなる。つまり乱雑さが減少し、熱力学的にはエントロピーが減少することになる。従って逆に疎水性分子が水から出て行く、つまり油は油だけで集まる方が熱力学的に安定になる。親水基がある場合にはそれが水と接している方が安定であり、こうしてミセルやタンパク質分子が安定化する。(最近の研究では、エントロピーの減少が水同士の強いネットワーク形成によるというのは誤りだという説もある。)