汎用機(はんようき)は、一般には『メインフレーム(mainframe)』と呼ばれることが多い。『大型汎用コンピュータ』と呼ばれることもある。
現在の主な用途としては、企業の基幹業務システム、コンビニエンスストアなどのオンライン業務、銀行など金融機関の勘定系システム(預金の入出金、振込みなど)、交通機関の座席予約システム(例・JRのみどりの窓口)のような、主に大量のトランザクションを高速に処理するシステムに使用されている。
さらにコンピュータの性能向上により計算能力に余力のあるコンピュータが多くなってきた結果、計算処理をどのコンピュータでも処理できる形式とし、コンピュータ間の依頼/応答を定義した分散コンピューティングが生まれた。
『汎用機』ではなく、『汎用コンピュータ』という表記をした場合は、目的、用途を選ばず、プログラムの入れ替えにより、事務計算、科学計算のどちらにも利用できるような汎用性のあるコンピュータを指す場合が多い。スーパーコンピュータ等、特定用途向けのコンピュータを表す『専用コンピュータ』の対義語にあたる。
富士通のPRIMEQUESTシリーズは「メインフレーム級」の触れ込みで発売されたが、これは汎用機ではない。PRIMEQUESTはIA-64サーバーであり、非独自アーキテクチャということになるからである。
そんな中、1964年にIBMが発売した「システム/360」が、初めての汎用機といわれている。IBMの独占はここから始まった。その後何社かからメインフレームが発売されたが、IBM製品は常にこの分野を独占していた。その基本アーキテクチャはその後も維持/成長し、現在のzSeries/z9に受け継がれている。国策としてメインフレームを作っていた日本だけが、最後までIBMがメインフレームを独占できなかった国である。日本以外では、zSeries以外の汎用機は存在しないと言っても過言ではない。
実際、24ビットのSystem/360のコード動作させることが出来るものの、64ビットのzSeriesやSystem z9 CMOSサーバは昔のシステムと物理的には全く共通点は無い。規模のやや大きいIBM対抗5社の頭文字をとって"The BUNCH"とも呼ばれた(Burroughs、UNIVAC、NCR、CDC、Honeywell)。
アメリカ合衆国以外で特筆すべき製造業者としては、ドイツのSiemensとTelefunken、イギリスのICL (現・Fujitsu Services Holdings PLC) がある。
日本では1973年に米国からの圧力などでコンピュータの輸入自由化が決定された。通商産業省は、当時の国内コンピュータメーカーの体力ではIBMを初めとする海外メーカーに日本市場を席巻され打撃を受けるとして、当時6社あったコンピュータ業界の再編に乗り出した。
富士通と日立製作所、三菱電機と沖電気、それに東芝とNECの3グループにまとめ、技術研究組合を作らせて5年間にわたって補助金を支給し、各社に「IBM対抗機」の開発に当たらせた。富士通と日立が担当したのが、IBMのシステム/360系の互換機であり、2000年までMVS系OSの動作を保障していた。
参考:PC/AT互換機
需要の低下と競争の激化に伴って1980年代初頭から市場の再編成が始まった。RCAはUNIVACに売却され、GEは撤退、ハネウェルはBullに売却された。1986年、UNIVACはバローズと合併してUnisys Corporationとなった。1991年、AT&TはNCRを実質的に所有することとなった。日本では、三菱電機、沖電気、東芝が撤退した。
その後、汎用機の市場はインテル製マイクロプロセッサ搭載のサーバなどに侵食され年々縮小していった。
2005年、個人情報の盗難が話題となった。たとえば、アメリカ合衆国のカード処理会社CardSystemsでは多数のクレジットカード情報がハッカーに手に落ちた。これはMicrosoft Windowsサーバがワームに感染したためと思われるが、実際どうだったのかは定かではない。汎用機を使っている金融機関ではこのようなセキュリティ問題が発生したことはない(ATMからのカード情報盗難は別問題)。このため、多くの企業がデータの取り扱いを見直し始めており、より信頼できるシステムにデータを移行することを検討している。もうひとつの例はComAirの乗組員スケジュールシステムである。これは汎用機ではないサーバ上にあり、2004年の忙しいクリスマス時期に動作しなくなった。ComAirの取締役会はCEOを解雇した。このようなことから汎用機の信頼性とセキュリティが見直されている。また、z/OSは2007年から64ビットシステムのみをサポートすることになっているため、2006年は古い31ビットシステムの買い替えのピークと考えられている。Linuxも汎用機の復権に寄与している。今や多くの汎用機でLinuxが動作できるようになった。
注意)MOにもIBM形式というものが存在するが、これはMS-DOS形式とも呼ばれ、むしろWindowsで普及したフォーマットである。ともかく『フロッピーのIBM形式』と『MOのIBM形式』は何の関連も無い。
しかし、MIPSは誤解を与える指標である。プロセッサのアーキテクチャの変遷に伴って、MIPSが本来持っていた実行命令数という意味は失われている(命令そのものの粒度が異なるため)。MIPSは技術的には意味はなく、単に昔のマシンとの性能比較の目安となっているにすぎない。このためIBMは汎用機に数種類の負荷をかけて計測するLSPR (Large System Performance Reference) レシオを公表している。
同様のことがUNIXサーバでも見受けられる。顧客は用途に合ったタイプのベンチマークで性能を比較するようになってきた。例えばSPECintやTPC-Cなどである。もっとも、それらのベンチマークも全く問題がないわけではない。困ったことに、顧客が自分のシステムにどういったタイプの負荷がかかるのかを分析することは非常に難しく、結果として単にLSPRの値などを使ってしまうのである。そういった意味でMIPSの使い道は残り、IBMや他のコンサルタントはMIPSを公表し続けるのである。
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