数値予報(すうちよほう)とは、大気の状態変化を数値的に計算して将来の状態を予測する、天気予報の手法である。
数値予報は、観測データの収集・品質チェック・格子点作成(モデル化)・初期値の設定・時間積分等の計算技術・最終結果を表現するための画像処理などの技術によって支えられている。
その中心となる原理は、流体力学のナビエ-ストークスの式にである。水平方向への状態変化としては、この式がもっとも重要な役割を果たすが、非線形の微分方程式であり、カオス理論で説明されるような挙動を示すことになり、現実的には未来永劫の状態を知ることができるわけではない。
鉛直方向への状態変化は、気圧傾度力と重力の釣り合いの式が中心となる。
このほかに、質量保存の法則・エネルギー保存の法則・水蒸気保存の法則・状態方程式を用いる。
格子点の値の代わりに、波数領域で有限な波数(スペクトル)で表現されることもある。
数値予報モデルは、対象とする領域の大きさ、予測時間に応じていくつかの種類が用いられる。
格子点の大きさは、小さいほど予測精度が高くなるが、計算量に大きく影響を与えるためあまり小さくすることはできない。現実に用いられているものでは、水平方向に10km間隔の格子点が用いられている。
数値予報を行うためには、すべての格子点で、初期時刻の気温、気圧、風速、湿度などの初期値を与える必要がある。現実的な制約から、初期値は格子点での値ではなく、アメダスや気象台などの空間的にランダムに分布した観測点で得られる。陸上の地表付近では情報は密であるが、海上や大気上層の観測データはかなり疎なものとなる。世界気象機関の取り決めにより、規則的な観測時刻で得られる観測値もあるが、初期時刻からずれた時刻の観測値しか得られないことがある。これらのランダム分布のデータから、一様な格子点値を得るための作業を客観解析という。
客観解析により初期時刻の格子点値が得られたとしても、必然的にわずかな誤差が含まれる。このため、前述のように数値予報の結果はカオス理論的な変化を示す。これは、1963年に気象学者ローレンツが発見した挙動xに他ならない。 この初期値の誤差を評価するために、誤差の範囲でいくつかの初期モデルを作成し、それぞれについて数値予報を行い、誤差の影響を評価しながら天気を予測する手法が後述のアンサンブル予報である。
現在の計算能力では、例えば全球モデルによる数値予報では、3日先までの予報がある程度信頼できる範囲と言われている。
現在では、以下の6つのモデルについて、計算を行い結果を外部に提供している。
| モデル名 | 予報領域 | 水平格子点間隔 | 予報期間 | 計算頻度 |
|---|---|---|---|---|
| メソモデル | 日本周辺 | 10km | 18時間 | 4回/日 |
| 領域モデル | 東アジア | 20km | 2日 | 2回/日 |
| 台風モデル | 台風周辺 | 24km | 3.5日 | 4回/日 |
| 全球モデル | 地球全体 | 55km | 3.5~9日 | 1回/日 |
| アンサンブル週間予報モデル | 地球全体 | 110km | 9日 | 1回/日 |
| 1か月予報モデル | 地球全体 | 55km | 1か月 | 1回/週 |
垂直方向の格子点間隔は、地球全体のモデルで1~2km程度である。
このうち、メソモデルについては、2004年9月より計算式を改善したモデルが採用される予定であり、降水の予測精度の向上が期待されている。さらに2006年3月にはコンピュータの更新とともに格子点間隔を5kmとすることが計画されている。
数値予報では、初期値のわずかな誤差が時間とともに増幅するため、意図的な誤差をもつ何種類かの異なる初期値から計算を始めた予測結果を求め、その何種類かの結果の平均値を予想気圧配置として利用したり、計算結果の広がり(スプレッド)により予報の確からしさを求めるなどの方法で予報に活用している。
週間天気予報の確からしさは、A~Cの信頼度として発表されており、気象庁ホームページの週間天気予報で確認できる。