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投手(とうしゅ)とは、野球ソフトボールにおいて打者にボールを投げる役割の選手である。英語からピッチャー(pitcher) とも呼ぶ。

スコアシートに記載する際の番号は1。クリケットの投手はボウラー(bowler) と呼ぶ。

投球の速度(球速)を表示する単位として一般に日本ではキロメートル毎時(km/h) 、アメリカではマイル毎時(mph) が使われる。

投手の役割


投手の役割は単にボールを投げるだけではなく「打者に安打を打たせないこと、走者を生還させないこと」であるとも言える。投手は打者から三振を奪ったりゴロフライを打たせるなどしてアウトを取る。そのために捕手サインを通じて連携して個々の打者が苦手とするコースにボールを投げたり、苦手とする球種を投げるなどする。さらに、塁上の走者に盗塁されない、または、進塁されにくくするために、その塁をカバーする選手に牽制球を投げることもある。

投手は、試合において登場する時期により大きく3つに分かれる。試合開始からマウンドに立つ先発投手(せんぱつとうしゅ、スターター)、試合展開によって途中イニングから先発投手に代わり登板する中継ぎ投手(なかつぎとうしゅ、セットアッパー)、試合を決める終盤イニングに登板する抑え投手(おさえとうしゅ、ストッパーまたはクローザー)の3種類である。先発投手に対し、試合途中から登板する投手を救援投手(きゅうえんとうしゅ、リリーフ)とも総称する。筆頭格の先発投手を俗に「エース」(時に筆頭格の中継ぎもエースと呼ばれる)、同じく筆頭格の抑え投手を俗に「守護神」と呼ぶ。

投手は、全ポジションの中で最も肉体的・精神的負担が厳しいと言える。スタミナの消耗は激しく、あまりに数多くの球を投げると肩・肘を故障(負傷)する危険性がある。ボークの適用や全選手中唯一の白いグラブの着用禁止など、もっとも多くの規則に縛られるポジションであり、ワイルドピッチといった投手のみに課せられうるミス、チームの守りの要としての責任なども挙げられる。しかし、その反面、打者と一対一で対戦できる事や、討ち取ることの楽しさ、最多勝利など、投手のみが得られるタイトルや表彰もあるので、もっとも華のあるポジションとも言われている。

プロ野球では、守備の中心を担う替わりに、打撃に関しては多くは求められず、実際に投手専門の選手にバッティングが得意な者は少ない。そのため投手は作戦上安打を打てないのを前提として、走者がいる時にバントすることが多い。リーグによっては、打撃を務める指名打者という打撃専門の選手を置くルールを採用することもあり、そのルールの下では投手が打撃を行わない場合がほとんどである。少年野球などでは、抜きん出て運動能力に優れている選手が、周りの全ての選手に対し双方の実力で上回り「エースで四番」という選手もいることがある。高校野球でも、投手が打撃をも要求され、上位打線に組み込まれていることが多い。

日本の野球の歴史における役割の変化

プロ野球草創期では、野球の人体に与える影響が全くの模索段階にあったことと、不人気による人員不足のため、戦前から戦後の混乱期までしばしば無謀な先発連投が強要された。更に戦時中は、国威発揚の為の非科学的な精神論の横行も先発投手酷使の大きな原因となった。セントラル・リーグパシフィック・リーグの2リーグ制に移行後、人員不足はある程度解消され、先発投手の登板間隔を2日、3日と長めにとるようになり、間隔日数を表す「中○日」(中2日、中3日など)という言葉が使われるようになった。それでもエースピッチャーが先発・リリーフに連投する姿が見られ、1958年日本シリーズでは稲尾和久西鉄)が先発とリリーフで4連投4連勝する大活躍で「神様仏様稲尾様」と称えられた。1961年中日ドラゴンズに入団し、酷使により数年で投手生命を絶った権藤博の教訓から、「投手分業制」が近藤貞雄によって提唱され、「先発完投」から「先発-抑え」の投手起用へ移行。抑え投手を確立することで先発投手、特にエースの疲労軽減を図った。近年は先発と抑えを繋ぐ中継ぎの役割が注目されており、「先発-中継ぎ-抑え」という継投策が一般化している。先発投手の登板間隔は日本プロ野球では試合日程の都合から中4~6日が主流。5~6人の先発投手でローテーションを組み、順番に先発登板する起用法が行われている。

プロで先発投手の合理的な起用法が研磨されている一方で、高校野球では抜きん出た投手が先発連投することが珍しくなく、投手の選手寿命を縮めているという批判が根強い。しかし、最近では高校野球でもプロに習い、多投手で試合を乗り切るチームも出てきている。これは、1チームの人数が16人から18人に増加した事が大きく関係していると思われる。

スポーツ医学の発達しているアメリカメジャーリーグでは先発投手5人のローテーションによる「中4日100球」の起用法が確立している。

右腕・左腕


投手は利き腕利き手)でボールを投げることが多く、右投げ左投げの区別がある。極稀に「両投げ」の投手も存在する(『スイッチピッチャー』を参照)。

「カーブ」「シュート」「スライダー」などの左右に変化する変化球は、投手の利き腕の左右により真逆に変化する。即ち、右投げ投手のスライダーが右打者視点で外角に逃げていくのに対し、左投げ投手のスライダーは右打者視点では内角に食い込む変化となる。

右腕投手・左腕投手の状態的差違はセットポジション(投球前に制止する姿勢)で最も如実に現れる。右投手が3塁方向を向いて静止するのに対し、左投手は1塁方向を向いて静止する。走者が1塁にいる場合、左投手は投球の直前まで走者の動きを捉えることができるため有利と言われる。

プロ野球において、左打者に対して左投手を起用する戦略上の理由から「ワンポイントリリーフ」・「ショートリリーフ」と呼ばれる起用法がある。これらは中継ぎ起用法の一種であり、打者を1人ないし2人抑えることを目的とする。例えば相手打線の打順が順に右打者、左打者、右打者と並んでいる場合、2番目の左打者を討ち取るために、この左打者の打席が回ってきた場面で左投手を起用することがある。この左投手の役割は相対する左打者のみと対戦しアウトを狙うことであり、左打者との対戦が終われば降板する。場合によっては、1人抑えたあとの投手交代の際にそれまでの投手を別の守備位置につかせ、再び登板させるという起用法をすることもある。

これは同じ利き手の投手だと、球の出所が見にくいことが関係しており、右投手は勿論のこと、左投手にも重要な役割が課せられている。そのため各プロ球団では右腕専任・左腕専任コーチをそれぞれ置いている。

なお、プロ野球では先発で登板した投手は同一イニング内に最低1人の打者との対戦を終えるまで交代出来ない。救援投手は最低1人の打者との対戦を終えるか、そのイニングが終了するまで交代できない。投手コーチ等がマウンドに行ける回数についても、1人の投手につき、同一イニング内に1回と決められている。

右利きでありながら左投げの投手としては東京ヤクルトスワローズ石井弘寿、左利きでありながら右投げの投手としては東北楽天ゴールデンイーグルス岩隈久志が挙げられる。

投球フォーム


Baseball pitching motion 2004.jpg 左右の如何に関わらず、投球のフォームは基本的に投球の際に球を放す位置で「上手投げ」、「横手投げ」、「下手投げ」の3種類に分類される。「上手投げ」をさらに2つに分類し、4種類と分類することもある。

  • オーバースロー(上手投げ):ほぼ真上から投げる投法。最もスピードが出るといわれる。右投手に多いフォーム。
  • スリークォーター(上手投げ):水平角度45度付近から投げる。肩を痛めにくいなどの利点がある。
  • サイドスロー(横手投げ):腕を地面とほぼ並行にして投げる。コントロールが利きやすいといわれる。
  • アンダースロー(下手投げ):ボールを水平面より下から投げる非常に変則的な投法。打者が打ちにくいといわれる。

大まかな分類は上記の通りであるが、投手の投球フォームは千差万別であり、同じ投法に分類されていても必ず個人差は存在する。また、オーバースローとスリークォーターの中間で投げる投手などもあり、あくまでも概念的な分類でしかない。

特に個性豊かな投球フォームにはニックネームが付けられることもあり、有名なものとしては、野茂英雄の「トルネード投法」、村田兆治の「マサカリ投法」、山田久志サブマリン投法などが存在する。

投手の記録


勝敗に直接関わった投手を責任投手と呼び、勝利投手(勝ち投手)と敗戦投手(負け投手)がある。これらの条件について詳しくはそれぞれの項目を参照のこと。

防御率などこれらの他の投手の記録については、野球の各種記録#公式記録-投手記録を参照のこと。

優秀投手


シーズンを通してもっとも優秀な投手に与えられる賞として、日本プロ野球ではベストナインによる投手表彰と「沢村賞」(先発投手限定)がある。

アメリカメジャーリーグでは、「サイ・ヤング賞」により表彰される。

投手の敬称


一般に日本のメディアでは選手への敬称として内外野手・捕手を問わず「○○選手」と呼ぶが、投手だけは「○○投手」と呼ぶ。間違って○○選手と言った、あるいは言いかけた場合でもわざわざ言い直すこともある。

関連項目


野球のポジション
左翼手中堅手右翼手外野手
三塁手遊撃手二塁手一塁手内野手
投手
捕手 指名打者

Pitcher | Pitcher | Lanzador | 投手 | 野球用語

 

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