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戦術せんじゅつ)とは、戦闘競技・または何等かの競争経済経営議論といった、他と競い合うもの)のように、困難、障害物に対して挑戦するに際し、実際の行動を決定する計画、またはその計画に沿って行われる行動を指す。

なお英語では、個々の戦闘や状況に於ける戦術を Tactics と呼び、より総合的な物である Strategy と区別するが、 Strategy は日本語に於ける戦略と同義であるものの、しばしばある種の連続的な戦術も Strategy と表現する。日本では戦術は幾ら集まっても戦術である。戦術の指針となり、それらを計画する段階で参照されるのが、日本語に於ける戦略である。

概要


戦術は、実際の行動に先立って、または行動の最中に発案され、実用に供されるものである。これの指針と成ってくるのが戦略である。戦略上の都合によって採りうる戦術に制約が生まれたり、戦術の結果(勝敗)によって戦略の変更が必要となるなど、両者は相互に影響しあう。

戦術に対する高次の概念が戦略であり、これらはしばしば混同されがちだが、本来は区別されるべきものである。また、どの行動単位へ視点を置くかによって、同じものが戦術とみなされたり戦略とみなされたりする場合もある(例えば野球において、ある試合の選手起用は、その一試合に視点を置くならば戦略であり、個々の選手への作戦指示という戦術に対比されるが、ペナントレースやトーナメント全体に視点を置くならば戦術であり、先発ローテーションなどといった戦略に対比される)。

なお日本では戦略ゲームの名称で、ボードゲームコンピュータゲームが発売されているが、それらの多くは戦術規模の駒運用で勝利できる物も少なくないため、これらは戦術ゲームと呼ぶべきだとする意見も存在する。

戦術に於いては、相手(人に限らず、自然現象等といった、当事者の思惑にかかわらず進行する事態にも対処が必要である)の出方を予測し、その想定された出方に対する最も理想的な・または運用可能な行動計画を行うものであるが、これはしばしば実際の現象において予測が外れる事もあるため、この予測が外れた際にも対策を講じておくのが良い戦術とされる。またその一方で、より優れた予測に基いた戦術も良いとされるが、結果的に(偶然)うまく行った戦術というのも、歴史上においては多々見られる。

今日的な戦術、戦略の概念は、戦争を科学的に分析した19世紀軍事思想家クラウゼヴィッツによって明確に分類されたのが始まりとされる。

歴史上における有名な戦術


「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と云ったのはドイツの宰相オットー・フォン・ビスマルクであるが、戦史や政治史、経済史における戦術の記録は、今日でも様々な分野で様々な人に霊感を与え得るようである。

戦史における有名な戦術

トロイの木馬 : トロイの木馬は架空の物語である神話と実際の戦史によって綴られたトロイア戦争において用いられた戦術とされ、その存在は単なる伝説なのか実史なのかで紛糾するが、この戦術に於いて、相手を欺いて内部に引き入れさせ、機を窺い敵の油断を付いた戦術として今日にも知られている。今日に於いてはコンピュータウイルスの一種としても知られているが、油断させて寝首をかくこのやり方は、様々な側面で利用(しばしば悪用)されている。
遊牧民の騎馬戦術 : 紀元前15世紀頃、中央アジア遊牧民の間で、それまでを引く家畜であったに直接騎乗する技術が始まった。騎馬技術は家畜の管理に適用され、騎馬技術に熟達した牧民の集団を生み出した。彼らは牧畜経済を補完する騎馬狩猟を通じて騎馬弓射の技術にも磨きをかけたため、これが新しい戦術を生み出した。もともと弓矢のような射撃系、投擲系の武器は敵の攻撃可能圏の外側からの攻撃を志向するものであるが、これと騎馬技術が組み合わさったとき、恐るべき効果をもたらした。機動力に富んだ騎兵の集団は敵の兵力の弱点にすばやく結集して矢を射掛け、不利になるとすばやく撤退することができた。これは敵の手の届かないところから攻撃を仕掛けるという射撃武器の特性を著しく拡大するものであった。また、いったん撤退することで敵軍の追撃戦を誘導し、騎馬の移動速度によって敵軍の戦闘隊形の乱れを誘発させた後に反転、攻撃することも頻繁に行われた。こうして16世紀に火器が発達して騎馬弓射の優位を脅かすまで、遊牧民、あるいは遊牧民出身の熟練した騎兵集団はユーラシア大陸アフリカ大陸においてもっとも有力な軍事組織として君臨し、多くの政権王朝国家の樹立に関与した。

政治史における有名な戦術

牛歩戦術 : 牛歩戦術は、現代日本の政治史において、最も解釈の分かれる戦術である。これは国会決議において野党側の絶対的な不利をアピールしただけで、実質的には問題を先送りにするだけの単なる傍迷惑なだけで時間的資源を浪費するだけの自己満足に基くパフォーマンスであると見る向きと、強く・また長く粘る事で、国民に一党独裁状態が如何に民意を無視するかを印象付ける事に成功した(確固たる戦略に基いた)戦術であったと見る向きである。
海外では、多数派の横暴に対抗する手段として、好意的にみる向きが強い。
一方で日本の場合は、国会の会期が短く、さらに期限切れになると法案は廃案になるという2つの制度があるために、牛歩戦術がきわめて大きな影響力を持つ。後に野党の多くが同戦術以降、大幅に議員席獲得数を伸ばした訳だが、近年では余計に政治離れが進み、代表制民主主義の根幹に関わる状態に陥っている部分もある。

経済史における有名な戦術

敵対的買収(企業乗っ取り)を仕掛けられた企業が取る防護策については、M&Aの項を参照のこと。

関連項目


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