慢性腎不全(慢性じんふぜん、英Chronic renal failure)とは慢性に生じた腎不全。
統計
- 慢性糸球体腎炎が一番で50%、糖尿病性腎症が二番で15%。
- 透析導入まで至った症例では、糖尿病性腎症38%、慢性糸球体腎炎32%、腎硬化症7.6%。
原因
病態
病期は第1期~第4期に分けられる。
- 糸球体濾過量が30ml/分以下に低下した状態が続くもの。
臨床像
- 第1期から見られるもの
- 第2期から見られるもの
- 第3期(腎不全期、非代償期)から見られるもの
- 腎性貧血
- 腎性貧血(じんせいひんけつ)は、腎不全が原因で起こる貧血。
- 病態
- 腎臓は赤血球を作るホルモンであるエリスロポエチンを作っているので、慢性腎不全ではエリスロポエチンが不足して正球性正色素性貧血になる。
- 高燐酸血症 : 糸球体濾過量の低下による。
- 低カルシウム血症
- 高燐酸血症に反応した二次性の高副甲状腺ホルモン血症による事と、腎臓でのビタミンDの産生障害による低ビタミンD血症による事との、二つの理由による。第3期から発症する。
- 第4期(尿毒症期、末期腎不全)から見られるもの
- 浮腫
- 尿毒症
- 尿毒症(にょうどくしょう)は、尿毒素による症候。
- 症状
- 呼吸困難
- 尿毒素は不揮発性酸性物質なので、代謝性アシドーシスを来たす。ホメオスタシスはアシデミアを回避するために呼吸を用いて代償しようとするために、呼吸が激しくなる。
- 腎性貧血
- エリスロポエチンの産生低下による正球性正色素性貧血を来たす。
- 肺水腫
- 水分の排泄障害から体液の増加を来たし、循環血漿量の増加からうっ血性心不全を来たし、心不全から肺水腫に至る。心障害から至る肺障害を心性肺と言う。
- 中枢症状
- 尿毒素による神経障害から、意識障害、頭痛、等を来たす。
- 線維性骨炎
- 線維性骨炎(せんいせいこつえん)は、副甲状腺ホルモン(以下PTH)が出過ぎる事で骨が粗鬆化する病気。
- 病態
- 腎不全では燐酸の排泄が停滞して高燐酸血症となる。血中に溢れた燐酸は血清カルシウム(以下Ca)を抱き込んで析出して組織に沈着するので、低Ca血症を起こす。また血中Ca濃度を高めるホルモンであるビタミンDは腎臓で作られるので、腎不全ではビタミンD不足にもなる。高燐酸血症とビタミンD不足の両方の原因によって慢性の強力な低Ca血症が続く。すると血中Ca濃度を高めるホルモンであるPTHが常に出続けて高PTH血症となる。PTHは骨からCaを血中へ吸収することによって血中Ca濃度を高めようとするので、骨からCaが吸収されすぎて骨がスカスカになる。
- 検査
- X線写真
- X線写真では骨嚢胞(こつのうほう)が見られる。これは、PTHによってCaが吸収された結果骨に嚢胞状の空洞ができた所見。
治療
慢性腎不全の治療には
- 保存療法
- 食事療法
- 水分
- 乏尿がない場合
- 水分摂取制限はしない。これは、腎不全による等張尿によって脱水傾向があるため。
- 乏尿がある場合
- 水分の摂取は、「前日の尿量 + 0.5l」とする。これは、浮腫による肺水腫や心不全を抑えるため。
- 蛋白質
- 低蛋白質食にする。これは、尿毒素の原料になる蛋白質を控えるため。
- 炭水化物
- エネルギー不足による蛋白質分解を避けるために、高カロリー食にする。
- 塩分(塩化ナトリウム)
- 高血圧がある場合には7g/日以下とする。ただし、腎不全に於ける高血圧とは、通常の140/90よりも厳格な130/85mmHgとする。これは、高血圧が糸球体に負荷を欠けてより一層腎不全を悪化させるため。
- 化学療法
- ACE阻害薬・アンギオテンシンII受容体拮抗薬
- 糸球体血圧を下げて腎不全の進行を抑えるために用いる。ただし、糸球体血圧を下げすぎると今度は逆に糸球体血流量が低下して腎前性腎不全になるので、クレアチニンが2.0以上のときは慎重に投与する。肝排泄性のテモカプリルやテルミサルタンの使用を考慮する。また、カリウムの上昇にも留意し、利尿剤の併用を行う。
- 透析療法
- 等がある
- 感染に対してアミノグリコシド系抗生物質を用いる時は、用量に注意する。
予後
いったん慢性腎不全に陥ると回復は不可能となり、
透析等の治療を受けないと
尿毒症となる。
腎泌尿器疾患
Chronic renal failure | Kronisk njursvikt | Insuficiência renal crônica