弥勒菩薩(みろくぼさつ、サンスクリット:maitreya)は仏教の仏菩薩の一人である。慈氏、慈尊などともいい、サンスクリットではマイトレーヤ。
なお、56億7千万年後の下生の姿を先取りして弥勒如来と呼ばれることもある。東大寺の「試みの大仏」と呼ばれる像は高さ40cm足らずの小像ながら、ずっしりとした質感を持つ「弥勒如来坐像」(木造)である。
弥勒信仰には、上生信仰とともに、下生信仰も存在し、中国においては、こちらの信仰の方が流行した。下生信仰とは、弥勒菩薩の兜率天に上生を願う上生信仰に対して、56億7千万年後である筈の弥勒如来(弥勒仏)の下生が、現に「いま」なされるから、それに備えなければならないという信仰である。
浄土信仰に類した上生信仰に対して、下生信仰の方は、弥勒下生に合わせて現世を変革しなければならないという、終末論的な要素が強い。そのため、反体制の集団に利用される、あるいは、下生信仰の集団が反体制化する、という例が、各時代に数多く見られる。北魏の大乗の乱や、北宋・南宋・元・明・清の白蓮教が、その代表である。
観弥勒菩薩上生兜率天経、弥勒下生経、弥勒大成仏経 の3本で弥勒三部経と呼ぶことがある。また、浄土系の無量寿経 には、阿弥陀仏の本願を後世の苦悩の衆生に説き聞かせるようにと、釈迦牟尼仏から弥勒菩薩に付属されている。
仏教の中に未来仏としての弥勒菩薩が登場するのは、かなり早く、すでに阿含経 に記述が見える。
チベットでは、瑜伽師地論は無着菩薩造となっており、究竟一乗宝性論が弥勒菩薩造となっているが、漢訳では堅慧造としている。
弥勒はサンスクリット語では、「マイトレーヤ」というが、マイトレーヤは、ミスラの転用あるいは変形と考えられる。メソポタミア、イラン、インド等において、紀元前にあって、ミトラ神に対する広範囲な信仰があった証拠があるが、ミトラを主神とする固有の宗教があったかは明らかでない。(固有の宗教としては、ローマ帝国治下の地中海世界で信仰されたミトラス教が存在するが、これはイラン等のミスラ信仰の系譜にあるが、また別の宗教である)。
弥勒如来像としては、前述の奈良の東大寺の「試みの大仏」(重文)や、当麻寺の弥勒如来塑像、興福寺北円堂の運慶作の木像(ともに国宝)などが知られる。
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