工業化(こうぎょうか:industrialization)とは、ある経済圏の範囲内において工業の全産業に占める割合が増加する現象(相対的発展)。割合とは、労働力の占有率や付加価値生産の割合などである。広義には、割合に関わらず工業が発展することも指す(絶対的発展)。また、社会構造や文化が受ける「工業化の影響」も工業化と呼ぶ場合がある(工業社会)。
工業は、農業よりも少ない土地により多くの労働量を吸収して発展する。さらに、工業は規格化や生産手段の高度化を行ないやすいために、農業よりも生産性向上が早まり、農業から工業への資源配分転換を促す。
輸出、国策による殖産興業、国内需要の発生、輸入代替などさまざまな理由から工業製品の需要が生まれ工業化を支える。この需要には、工業が成長する過程で行う設備投資も含まれるため、自らの成長が自らの需要を生む循環が発生する。
工業化は、工業の発展に伴い必要となる金融・流通などの産業に膨大な労働需要を生む。農業解体によって解放される資源を、それらの産業との間で分配した後は、移転的な成長を終え「工業化」のプロセスは終了する。このため、すべての資源が工業に投入される状況にはならない。
工業により、賃金労働者が増加し商品取引の機会が増すため貨幣経済が発展する。また、工業の景気循環により、労働者が解雇され失業が発生するようになる。
工業は投資を増大させるため、資本ストックが累増する。このため、労働者の実質所得は上昇し生活が改善される可能性が高まる。
結果的に大衆社会が生まれ、政治や法制度の仕組みも変わっていく。また、伝統的な農村共同体が解体し、都市において若い匿名社会が生まれるため、結婚や家庭に対する観念も転換していく。
工業経済が、投資可能な資本家と投資不可能な労働者との間で所得配分を行なう結果、豊かなものと貧しいものへ分化し階層社会が発生する。
また、大量生産への応需を図るため大衆社会へ向けた広告宣伝が重要となり、商品生産者をスポンサーとした文化が生まれる。
イギリスにおける工業化の詳細は、産業革命を参照。
一般的にイギリスにおける工業化(産業革命)は1760年代から1830年代にかけて起こったとされ、自発的であるが故に工業化は長期に渡っている
最初、織布の段階で起きた機械化が、紡績の機械化、繊維工業向けの機械産業の発生、機械製造資材の鉄を作る製鉄業、燃料となる石炭を調達する鉱業、原材料などを運送する鉄道産業などに波及し、工業化が起きた。
イギリスは最初の工業国であるが故に、世界の市場、特に軽工業製品で圧倒的なシェアを誇ったが、必ずしも他国の産業の発展を阻害した訳ではなく、資本投下という形以外にも、高価・高品質な製品を輸出し潜在的な需要を生み出す事によって市場を拡大し、安価な低番手品の製造者であった新興工業国の工業化に寄与していたという見方も可能である。
化学や軍事の分野で成果を挙げ、イギリスと伍する大国になり覇権を争うこととなる。
アメリカでは、数々の技術革新がおき、新産業が次々に生まれた。
第一次世界大戦から黄金の1920年代に掛けてアメリカの重化学工業化は大きく進展した。世界恐慌により、工業は大きく衰退したが第二次世界大戦の軍需により復活。戦後間もない頃においては、アメリカの工業は世界最強となった。
新技術の発達で工業化が進展したが、1970年代のスタグフレーションと1980年代初めの高金利政策により壊滅的な打撃を受け、工業は競争力を喪失した。
現在においては、コンピューターや航空機などの一部工業で競争力を有するものの、多くの工業製品を輸入しており、脱工業化が進展している。
世界恐慌以後は、独自の重化学工業化政策を打ち、戦後の高度成長の礎を作った。
第二次世界大戦後に国内への投資集中により、高度経済成長が始まった。農業の解体はここで最終段階へ入り、1980年代には世界で最も競争力のある工業国となった。
また、その社会制度も規格化や画一化の進展した工業社会となった。
共産主義による経済運営は世界恐慌の影響を受けることもなかった。
第二次世界大戦後、アメリカと世界を二分する先進工業国となったが、長く続く冷戦下の軍拡競争と技術革新の遅れから1970年頃を境に発展が頭打ちになったと考えられている。1980年代末から1990年代初めにおける一連の共産政権崩壊により、旧ソ連の工業はさらに衰退。
2000年代に入って石油産業を軸にようやく再発展の道が開けつつある。
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