生物学上の属(ぞく )は、分類学における種をまとめた分類段階で最も下位で、かつ基本的なものである。
この場合、どのような形質が基本的であり、どのような形質が些細であるかは、その分類群により異なっており、より自然分類に近づくように、それらを選ぶのが分類学者の判断である。たとえば種子植物であれば、一般的には花の構造や雌しべの内部の構造、維管束の配置などはより基本的なものであり、花の色、葉の形などはより些末な形質であると見なされている。つまり、植物全体の姿や花の構造がほぼ同じで、花の大きさや色と葉の形が違っていて、それらに中間型がなければ、それらを同属の別種と考える。
もっとも、この部分に恣意性が入るのを問題視し、できるだけ多くの形質を抽出し、機械的な操作に任せる分岐分類学や、外部形態よりもより直截な系統関係が明らかになると考えられる分子遺伝学的方法も取り入れられつつある。しかしいずれにせよ、形態的特徴は重要なものと見なされる場合が多く、新たな方法でそれまでの判断とは異なった結果が出た場合には、それらの種の形態について、洗い直されるのが普通である。
タイプ属とは通常、(あるグループの中で)最初に命名記述された属である。科、また植物では門以下のすべてのタクサが、タイプ属の名前に従って命名される。属と、それ以上のタクサは、その属の特徴をよく表す標本によって代表される。その標本は、種の記述のために正基準標本(ホロタイプ)として、動物学・植物学博物館に保存され、将来の研究に役立てられる。
属名は、ひとつの界においては他の属名と重複することは許されず、また違う界でも、属以外のタクソンに同じ名前があってはならない(しかし、この条件は、国際動物命名規約では認められていない)。たとえば、"Anura"はAsteraceae科の植物と、カエルの属名として使われている。"Aotus"は"golden peas"と"night monkeys"の属名として、"Oenanthe"は"wheatears"と"water dropworts"の属名として、"Prunella"は"accentors"と"self-heal"の属名として使われている。しかしながら同じ界の中では属名が重複するのは許されない。これは、カモノハシ (platypus) の属名が"Ornithorhynchus"である理由である。1799年、George Shawによって"Platypus"の属名が選ばれたが、その名は1793年にすでにJohann Friedrich Wilhelm Herbstによって"ambrosia beetle"の属名として使われていた。どちらも動物界に属するので両方には使えない。1800年、Johann Friedrich Blumenbachによって"Ornithorhynchus"属に差し替えられた。
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