尾(お、英語 Tail)、別名尻尾(しっぽ)、尾っぽ(おっぽ)は動物の後部(頭の反対側)であり、特にはっきりとしたしなやかな、体幹の付属肢の事をいう。哺乳類と鳥類では仙骨及び尾骨及び周囲の筋肉と皮膚、場合により毛、羽毛または鱗に覆われ、消化管は通じていない。尾は移動(魚類など)、バランス(ネコなど)、把握(サルなど)、社会的シグナル(イヌなど)に使われる。(ヒトやカエルなど)いくつかの動物では尾を完全に失う。ヒトの胚は全体の1/6程の尾をもっていて、胎児へ成長するにつれて体に吸収される。稀に、脊椎なしの血管と筋肉と神経だけの尾を持つ子供が生まれる。現在では医師がそのような尾を切除することが認められている。ヒトの尾の最長記録は旧フランス領インドシナ在住の12歳の少年の229mm(9インチ)である。
同種の他個体へ信号を送る際に尾は殊更便利で、鹿は音に警戒すると他へそれを伝えるために尾を立てる。
動物の尾
哺乳類
四肢動物において尾は脊柱の続きである。
- サル(特に新大陸の)には尾が非常に長く、力強く物を掴める円筒形の筋肉がある種類がいる。
- ウマの尾は短く、長い毛が筆状に伸びている。
- 齧歯類の多くでは扁平で、ビーバーの尾は鏝の様に平たい、泳ぐ時や仲間に危険を知らせるために水面や地面をたたくのに使う。
- 海豚や鯨等では、尻尾は変態し泳ぐ時の舵やオールの役割をしている。
- カンガルーの尾は力強く体を支えることができる。
- ネズミは、その尻尾を使って、自分の体を支えたり、食べ物(タマゴ等)を運ぶことが知られている。
鳥類
鳥類の尾骨は6つの椎骨からなり、通常は尾羽の部分を含めて尾と呼ぶ。
爬虫類
トカゲの尾は、時として、逃走のために自ら切断され(自切)、後に再生する。
ワニの尾は力が強く、殴打攻撃の武器として用いられる。
魚類
魚類の尾は尾びれと結合した脊椎の最後部からなる。
節足動物
サソリの尾は腹部が変化したもので、尖った先端から
毒を注入することができる。
動物以外の尾
彗星のコマ(大気)が伸びて長くなった部分を尾(テール)と呼ぶ。
利用
食料
- ウシ - ウシの尻尾は、テールと呼ばれ、多くはスープ等の材料として、利用されている。
- ブタ - ブタの尻尾は、焼き物や煮物に利用される。
- クジラ - 食用にされる尾の身があるが、尾の付け根の部分で尾ではない。
道具
比喩、派生語
日本語
- 日本語を初め、多くの言語では、後部にあることから、物事やアイデア等の終わり、最後または、後方を示す。
- 例文: この行列の尻尾は、何処?。
- また、転じて「臀部」のことを意味することもある。
- 犯罪の明らかな証拠などを見つけたときに、「尻尾を捕まえた」、また正体がばれた時に「尻尾を出した」と表現する。
- 例文: 隠れていたネズミが、尻尾を出した。
- 特に犬の行動から、権力者(多くは側近や代理人等)にへつらう行為を「尻尾をふる」という。また、同じく、恐怖を感じ負けを認めた時などに「尻尾をまく」という。
- トカゲの尻尾切り - トカゲの自切行動から、組織で問題や危機が起きた時に、一部の成員を解雇するなどして、組織全体を守るような場合にも使われる。
外国語(外来語)
- 長い髪を後ろで縛って、下げる。「お下げ」の事を、英語で馬の尻尾をあらわす、ポニーテールという(他言語でも同例あり)。
文学、ことわざ、マンガ、その他
- ギリシャ・ローマ神話のケルベロスの尾は、ヘビであるが、日本でも源頼政が殺した夜な夜な天皇を苦しめていた鵺(ヌエ)(それは、わざと子に討たれる事で、我子が出世することを願う母親の化身とされる)の尾もヘビであった。
- 伝説の人魚は、上半身が人間で、下半身は魚の尾である。
- 虎の尾を踏む(とらのおをふむ) - 危険なことをすることを例えることわざ。
- 尻に火がつく(しりにひがつく)の誤用として、尻尾に火がつく(しっぽにひがつく)と言うことがある。
- 竜頭蛇尾(りゅうとうだび) - 最初は竜の頭の如く威勢がよかったのに、最後に近づくと蛇の尾のように細ってしまう状態をいうのに用いる。虎頭蛇尾(ことうだび)ともいう。
- 首尾一貫(しゅびいっかん) - 方針や態度などが最初から最後までずっと変わらずに続いていることをいう。
- 徹頭徹尾(てっとうてつび) - 首尾一貫に同じ。
- 狗尾続貂(くびぞくちょう) - 犬の尾がテンの毛皮に続くという状態から、下等な者が高い位に就いた事を揶揄するのに用いる。
- 鯛の尾より鰯の頭(たいのおよりいわしのあたま) - 立派な大組織の中で下働きをするよりも、たとえ小さな組織でもトップに立つ方がよいという喩え。
- 話に尾鰭が付く(はなしにおひれがつく) - 噂が広まる途中で、本来無かった部分が付加されることをいう慣用句。
雑学
- 尾の数え方は、一般には本。
- 尾は、旧尾張国の略字として使用される(尾州 (びしゅう) )。
- 黒板などに描いたロバや豚に目隠しをして、尻尾を針で刺したり、白墨で描く子供の遊びがある。
- ペニスを、前の尻尾と例える事がある。動物の交尾で実際に交えているのはペニスである。
- 魚を数えるのに使用する。一尾、二尾、.....。
- 鯛の尾頭付きは、めでたい席などで給される。
- アメリカインディアンの酋長やダンサーの腰の羽飾りや扇の飾りとして使用。
- 日本猫の尾は、カギの様に曲がっている事が特徴の一つである(カギ猫では)。
- 犬の品種の一つであるドーベルマンは、細長い尾を持っているが喧嘩などで簡単に傷つきやすい、よって怪我や感染症の予防の意味で仔犬のうちに切ってしまうので、尻尾が短い品種であると誤認している人が多い。
- 恐竜の仲間には、尻尾が鉄球や棍棒のような形状に発達したモノもいた。また、首長竜等では、長い首のバランスをとるのに、長い尾をもっていた。
- 狐は、小動物など素早い獲物を追って小回りする時に、尻尾の重量を利用して、コマのように回る勢いを稼ぐといわれる。
- ミツバチの尻振りダンスは、おおよその蜜のある花の方向を教えているとされる。
- 狩猟家(ハンター)等が、小型の獲物(サルなどの)の尻尾を掴んで運ぶ事があるが、闘牛やロデオ等でも、牛の尻尾を掴んで、突進するのを止めたり、反対に逃げる生き物(ラクダ、トカゲ等)を捕まえる時に、尾をつかむ事がある。
- 水牛やバッファロー等、牛の仲間は、尻尾を振って蝿やブヨを追う。
- 火牛落し(火牛の計)の戦術では、牛を敵陣に向けて突進させるのに、尾に火を点けた。
生き物によっては、感情を表すのに、尻尾を使うことが多いが、
- 犬は、相手に好意やや甘える時にしきりに尻尾を振る(怒りや恐怖、その他の表現は、イヌを参照)。
- 猫は、草むらで獲物を目がけての匍匐運動をしながらでも、立てた尻尾をフリフリと左右に振る(表の迷彩色と裏の色が違うことが多い)ことで「私の獲物である。手出しをするな」というメッセージを後方にいる(と思われる)仲間に送っているという説がある(シートン動物記)。
関連項目
運動器
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