小児科学(しょうにかがく、英Pediatrics)は、新生児から思春期(だいたい15歳位まで)を対象として診療研究を行う臨床医学の一分野。
歴史
もともと「
英Pediatrics(小児科学)」という言葉は
ギリシャ語の「paidos(少年)」と「iatros(医者)」という言葉にに由来する。
一般的に知られている範囲では19世紀初頃より小児特有の疾患を診療研究する分野として内科学から発展分離していた経緯を持つ。
20世紀初頭には各国で学会も設立され独立した医学領域として確立してきた。
症候
{| border="1" cellpadding="3" cellspacing="0" style="margin:auto; text-align:left;"
| 時期\病態 | 間接(非抱合)型ビリルビン | 直接(抱合)型ビリルビン
|
| 早発 | 母児間血液型不適合 | 敗血症
|
| 遷延性 | 母乳性黄疸 | 新生児肝炎、先天性胆道閉鎖症
|
症状
- 黄疸
治療
- 対症療法として、光線療法、血漿交換、等がある。
- 光線療法
- 光線療法(こうせんりょうほう)は光線をあてて血中ビリルビンを分解する治療法。
- 適応
- 総ビリルビン値が17を超えた場合に適応となる。蛇足だが、早発黄疸や遷延性黄疸の病態は生理的黄疸の時期にも合併するので、生後2日~2週間であっても総ビリルビン値を元に適応を考える。
- 血漿交換 : 核黄疸では総ビリルビン値が20を超えた場合に適応となる。蛇足だが、早発黄疸や遷延性黄疸の病態は生理的黄疸の時期にも合併するので、生後2日~2週間であっても総ビリルビン値を元に適応を考える。
分野
小児科学は小児の成長発達を基本として、人体すべての領域に関連している。一般には以下の領域が扱われる。
感染症
- ヘルパンギーナ
- 原因
- 症状
- 急な発熱で始まり、口内炎、等を呈する。
- 予後
- 無菌性髄膜炎、等を起こさなければ1週間程度で自然治癒する。
新生児疾患
呼吸器疾患
- 呼吸窮迫症候群(RDS)
- 呼吸窮迫症候群(こきゅうきゅうはくしょうこうぐん)は、肺表面活性物質が足りない為に起こる症候群。
- 原因
- 肺のII型肺胞上皮細胞から分泌される肺表面活性物質が足りない為に、肺胞の表面張力に負けて肺が潰れてしまう。
- 病態
- 呼吸の呼気終末期に肺が縮んだ際に、肺胞が肺胞の表面張力に負けて潰れてしまう。肺胞が潰れるとその肺胞への血流が減り、表面活性物質の産生が低下し、さらに表面張力が低下するという悪循環に陥る。
- 症状
- 肺が潰れないように小さく頻回に呼吸をする。頻回に呼吸する事を頻呼吸と言う。
- 肺が潰れないように肺が大きめの状態を平均とした呼吸をする。大きい状態から更に息を吸うために、お腹が目立って凹む。お腹を凹ませながら呼吸することを陥凹呼吸と言う。
- 肺が潰れないように息を吐くときに喉と口を閉じ気味にして、呻る時と同じ様に息こらえをしながら息を吐く。息こらえをしながら息を吐く事を呻吟(しんぎん)と言う。
- 肺の酸素化が充分でないためにチアノ-ゼを来たす。
- 検査
- 胎便吸引症候群(MAS)
- 胎便吸引症候群(たいべんきゅういんしょうこうぐん)は、胎便を肺に吸い込んで起こる症候群。
- 肺成熟不全症(Wilson-Mikity syndrome、Mikity-Wilson syndrome、ウィルソン・ミキティ症候群、ミキティ・ウィルソン症候群、泡状肺症候群)
- 症状
- 生後2~3週間後に呼吸促迫症候群に似た症状を示す。
先天異常・奇形
一部
脳神経外科学と関係した領域となる。
消化器疾患
主にこの領域は小児外科学とも関係した領域となる。
- 腸重積(ICD-10: K56.1)
- 腸重積(ちょうじゅうせき)は、腸が腸そのものに入っていってしまう病気。
- 原因
- 腸内にポリープ等の異変があると、肛門側の腸が蠕動運動をして異変のある腸を飲み込んでしまう。
- 病態
- 自分と同じ直径の肛門側腸内に押し込められた口側腸には血液が行き届かなくなり、壊死する。
- 統計
- 回盲部が大腸に引き込まれることが多い。
- 症状
- 肛門側腸が2~3時間置きに蠕動を繰り返して無理に口側腸を下行しようとするので、2~3時間置きに泣く。泣いていない間はぐったりしている。腸が塞がるので排便が止まる。
- ダンス徴候(Dance徴候)
- ダンス徴候(だんすちょうこう)は、右下腹部に空虚な部分が出現すること。
- 病態
- 右下腹部にある回盲部が上行結腸に引き込まれるため、本来あるはずの回盲部が右下腹部からなくなり、基本的身体検査で空虚に感じられる。
- 検査
- 腹部超音波検査
- 2重に見える腸が弓矢の的のように見える事から名づけられたターゲットサインや牛の目のように見える事から名づけられた牛の目サインを認める。
- 治療
- 高圧浣腸を行う。
- 先天性肥厚性幽門狭窄症(ICD-10: Q40.0)
- 先天性肥厚性幽門狭窄症(せんてんせいひこうせいゆうもんきょうさくしょう)は、胃の出口である幽門の周りの組織が大きくなる病気。組織が大きくなることを肥厚と言う。
- 病態
- 肥厚した組織によって幽門が狭くなる。狭くなることを狭窄と言う。酸性の胃液を吐くので代謝性アルカローシスになる。
- 原因
- 多因子遺伝。
- 症状
- 唾液や食物が狭窄部を通らなくなり、生後数週間ごろから吐き出す。胆嚢から出る胆汁は緑色をしているが、胆嚢は胃よりも肛門側にあり、胃の出口が狭窄している本症では吐物は緑色をしていない。
- 検査
- 血液検査
- 代謝性アルカローシスが認められる。HClである胃酸を喪失するので、低クロール血症、高炭酸水素イオン血症(高HCO3-血症)を示す。
- 腹部超音波検査
- フクロウの目サインを呈する。
- X線透視
- 幽門部が細く管状になって幽門管が認められる。細い糸のように見える事からstring signとも言う。
- 治療
- 手術療法を行う。手術は、幽門筋切開術を行う。
- 予後
- 良好である。
- ヒルシュスプルング病(ICD-10: Q43.1)
- ヒルシュスプルング病(ひるしゅすぷるんぐびょう、Hirschsprung病)は、腸の中で蠕動を起こす神経がやられた病気。腸の中で蠕動を起こす神経をアウエルバッハ神経叢と言う。
- 症状
- 腸が蠕動をしないので食べ物が逆流して、胆汁の混じった緑色の吐物を吐く。胆汁の混じった緑色の吐物を吐く事を胆汁性嘔吐と言う。また頑固な便秘を認める。
- 先天性食道閉鎖症(ICD-10: Q39)
- 先天性食道閉鎖症(せんてんせいしょくどうへいさしょう)は、生まれつき食道が閉じている病気。
- 症状
- 閉じた食道の口側がしばしば気管と繋がっているので、肺から空気が混じって泡になった吐物を嘔吐する。泡になった吐物を嘔吐する事を泡沫状嘔吐と言う。逆に閉じた食道の肛門側が胃と繋がっているので、胃から胃酸が肺に入って肺炎を起こす。
- 治療
- 手術療法を行う。
- 先天性胆道拡張症(ICD-10: Q44.4)
- 先天性総胆管拡張症(ICD-10:Q44.5)
腎泌尿器
先天性心疾患
心臓血管外科学と関係してくる。
発生率は約1%、100人に1人の割合と考えて良く意外に多い先天性疾患である。
近年では医療の技術が進み成人を迎える確率が極めて高く小児科学としてだけではなく成人先天性心疾患と言う新しい分野でのサポートも必要であろう。
免疫不全
アレルギー・膠原病
内分泌疾患
造血器
全ての血球は、骨のなかにある骨髄の中から生まれる。その中の造血幹細胞が、全ての血球のもとである。その造血幹細胞が、分裂し、一部が分化する。巨核細胞になると、その核がでて、血小板に、リンパ芽球は、B細胞へ、胸腺の教育を受けると、T細胞になる。単芽球は、マクロファージ(大食細胞)に、骨髄球は、好中球に、赤芽球は、赤血球になる。その中の、好中球、T細胞、B細胞、マクロファージと、好塩基球、好酸球を白血球という。
神経・筋疾患
医療現場の現状
大人の内科学と同様に、子供の病気の場合には、まず最初に受診する診療科目であるが、いわゆる少子高齢化の急速な進行や時間外診療希望者が他の診療科と比べて多いこと、子供を対象とすることから業務に対する負担が大きいなどの理由により、小児科医を志す医師が減っており、一部では社会問題となっている。
小児科の中でもさらに専門が分かれており、感染症、血液、免疫、腫瘍、腎臓、内分泌、代謝、遺伝、神経、循環器、新生児などの専門家がいる。
また、川崎病、腸重積、細気管支炎など小児特有の疾患は小児科専門医でないと診断や治療ができないことも多く、不足する小児科医に変わって、内科医が診察することもある今日の状況を問題視する声もある。
関連項目
外部リンク
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