寄生虫
寄生虫(きせいちゅう)とは、寄生生物のうち動物に分類されるものを指す。ギョウチュウ(蟯虫)、カイチュウ(回虫)、広節裂頭条虫(なお条虫類の俗称がサナダムシ)、エキノコックス、日本住血吸虫、ハリガネムシ、フィラリアなど。
寄生の部位によって、体表面に寄生するものを外部寄生虫、体内に寄生するものを内部寄生虫という。寄生虫と言ったときは、おもに内部寄生虫のことを意味することが多いが、外部寄生虫のダニなどを含めることがある。寄生虫学ではカ・ブユなども寄生虫に含まれることがある。
転じて、自立できない人を指す。パラサイト。
東京都には、寄生虫の標本や患者の写真などを展示したユニークな博物館目黒寄生虫館がある。「寄生虫博物館」とも呼ばれるように、長大なサナダムシやフィラリアなどの標本が展示されており、デートスポットにもなっている。
原生動物門・有櫛動物門・中生動物門・扁形動物門・線形動物門・類線形動物門・鉤頭動物門・紐形動物門・環形動物門・節足動物門・舌形動物門などに寄生性の種が含まれる。このうち、中生動物・類線形動物・鉤頭動物・舌形動物は含まれるすべての種が寄生性である。
なぜか、棘皮動物・脊索動物など後口動物には、(内部)寄生する種はない。
寄生動物はもともとは自由生活をする種から進化したと考えられている。寄生性の獲得は、独自に、何度も起こったようである。
寄生生活への適応の結果、形態の大きな変化が起こる。そのため、ある動物門から進化した寄生性のタクソンが、形態の違いにより、独立門と見なされてしまうことがある。たとえば、舌形動物門は、すべて寄生性の種からなる門であるが、以前から節足動物との近縁性が指摘されてきた。最近になって分子系統解析により、甲殻類の鰓尾類に近縁であることが示された。このため分類者によっては、舌形動物門の独立は認められず、節足動物門に含まれる。
中生動物は少数の細胞からなる動物であるが、その起源については、単細胞生物が多細胞へ進化する過程の生物であるという説と、扁形動物などが寄生生活の結果退化的に進化したものであるという説がある。近年の分子系統分析では、後者の説の方が有力になりつつある。
寄生性の種は多くの場合、自由生活に必要な器官を失うので、寄生種が自由生活種に再び進化することはほとんどない。
一般に寄生動物では、体を固定する構造が発達する。他方、特に内部寄生虫では、使う必要のない運動器官、感覚器官、消化器官が退化する。また、生殖器官も発達する場合が多い。というより、生殖器官だけになってしまうような例も見受けられる。
寄生虫にとって大きな問題は、宿主間をどうやって移動するかである。特に内部寄生虫の場合、生活環のどこかで宿主間の移動をしなければならないが、大型のものでは、簡単な方法が少ない。 たとえばギョウチュウは、宿主の肛門周辺に産卵し、卵が手から手へと移るので、比較的簡単に宿主間を移動するが、カイチュウでは、卵は大便とともに体外に出、野菜等に付着することで食物として他人の口に侵入する。日本では、現在では糞便を肥料にすることがほとんどないので、カイチュウは激減している。
さらに手が込んだものでは、食物連鎖を利用して宿主への侵入を果たす。 カマキリの寄生虫として有名なハリガネムシは、成虫が秋に体外に出て、池などに入り、そこで産卵する。孵化した幼生は、カゲロウなどの水生昆虫に侵入する。カゲロウがカマキリに食われることにより、幼生はカマキリの体内に侵入することができる。
このように、幼生と成体で異なる宿主を持つ場合、幼生の宿主を中間宿主、成体の宿主を最終宿主という。中間宿主を複数持つものもある。正しい最終宿主にたどり着けない場合、成体にはなれないことが多い。 このようなやり方では、卵が成虫になる確率は極めて低い。従って、このような種では、極めてたくさんの卵を産む。
さらに、中間宿主の体内で幼生が無性生殖を行って数を増やす例もある。吸虫類や条虫類ではそのような例が多い。エキノコックスは、本来はキツネなどを最終宿主とする小型の条虫類であるが、幼生がヒトに入った場合、成虫になることができず、幼生のままで無性生殖を繰り返すため、大変危険な症状を引き起こすのはその例である。
肥料としての人糞利用によって媒介されていた回虫は、その使用の減少によって大幅に減少したが、動植物の生食が増えることによって、従来はあまり見られなかった寄生虫の症例が増加している。
このように、寄生虫は人間にとって正の効能を持つ可能性もあるが、一般には病原体として知られているものであり、現状においては安易な使用は危険であるのは言うまでもない。
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