article

妄想もうそう

  1. 精神医学用語で、非合理的かつ訂正不能な思いこみのこと。妄想を持った本人にはその考えが妄想であるとは認識しない(病識がない)場合が多い。
  2. 転じて、健常者の(しばしばくだらない、あるいは淫らな)想像・空想のことも自己卑下的、あるいはからかいのニュアンスを込めて「妄想」と表現する場合がある。

以下は主に精神医学用語としての妄想についての記載である。

妄想と一言にくくっても、その内容や程度は個人差が大きい。軽度で生活に支障をほとんど来さないものから重大な支障を来すようなものまで様々である。本人が妄想であるとは自覚していない(「病識」がない)ことが多いが、漠然と非合理性に気づいている場合(いわゆる「病感」がある状態)、あるいは他者の前では隠すことができ生活に適応している場合(いわゆる「二重見当識」)など様々である。

妄想の分類


原因による分類

様々な精神疾患統合失調症躁うつ病うつ病せん妄、あるタイプのてんかん、急性薬物中毒、覚醒剤乱用など)に伴って生じることがある。しかし、健常者においても断眠や感覚遮断など特殊な状況に置かれると一時的に妄想が生じることもある。
また、原因となる基礎疾患によっても生じる妄想の種類が異なる傾向があり、統合失調症に多いのは被害妄想、関係妄想、誇大妄想などで、うつ病に典型的なのは罪業妄想、心気妄想、貧困妄想であるとされているが、必ずしも全例に当てはまる訳ではない。

「一次妄想」と「二次妄想」

古典的には、まったく根拠を持たない妄想を一次妄想(「おれはナポレオンの生まれ変わりだ」「近所の人たちが私を電波で攻撃している」など)、何かしらの経験と関わりがある妄想を二次妄想(「私の病気は不治の病なのだ」「皆の不幸は私のせいなのだ」など)と区別している。しかし、一次妄想と考えられる妄想にも本人なりの理由が存在している場合も多く、真の意味で根拠のない妄想はまれである。

内容による分類

誇大妄想 : 誇大妄想は、現実的な状況から逸脱し、自己を過剰評価したり、実際には存在しない地位・財産・能力があるように思い込んでいる状態である。
被害妄想 : 他人から悪意をもって害されていると信じる妄想。何らかの犯罪的な干渉を受けていると信じこみ、事業や就職などにおいて失敗しても、他者からの攻撃で失敗したと考えたり、「脳内に何らかの機器を埋め込まれ、意識や行動を操作されている」と考えたりする。
注察妄想 : 「常に盗聴されている」とか「隠しカメラで監視されている」と思い込む妄想。
関係妄想 : 周囲に起こっている現実を自らに結びつけて考える妄想。
罪業妄想 : 自分は非常に悪い存在だ、罰せられるべきだ、皆に迷惑をかけているなどと思いこむ妄想。
心気妄想 : 自分の身体の一部が病気にかかっていると思いこむ妄想。実際に病気に罹っていても、症状が自分が思っているよりも全然軽い場合もこの種類に分類される。
貧困妄想 : 現実にはそうでないにも関わらず、自分は非常に貧しい、借金を抱えてしまったなどと信じる妄想。
幼女妄想:かなり特殊なケースで発病、いわゆるロリータ・コンプレックスを抱えているときに陥りやすい妄想。
その他 : 不死妄想、Capgras妄想、被毒妄想、血統妄想など(詳しくは統合失調症参照)。

妄想の原因


生物学的に

統合失調症では中脳辺縁系のドパミン神経の過活動が妄想、幻覚の発生に関与していることが示唆されている。うつ病せん妄に伴って生じる妄想に対してもドパミン遮断薬である抗精神病薬が有効であることなどから、それらの疾患でもドパミン神経系の過活動が関与していることが推測される。

精神力動学的に

戦争災害の被災者や凶悪事件等の被害者が、一時的に妄想状態に陥ることがある。これは、現実から遊離する事によって精神的なダメージを回避しているとみなすこともできる。統合失調症などの疾患においての妄想ですら、過剰なストレスが精神を破壊しないようにするため逃げ場であるという見方すらできる(ジョン・シュタイナー「こころの退避」参照)。

しかし安全装置であるとはいえ病的な方法であることには間違いなく、治療が必要である。 しかし、本人にとっては安全装置であるがゆえに、治療の途中で激しい抵抗に遭うことは珍しくない。それなりに安住の地であった妄想の世界から現実の世界を直視することは苦しみを伴うのである。ここでいかに本人のペースを尊重しつつ、希望や安心感を与えつつ現実と折り合いをつけてもらうかが、精神科医や援助者の力量が問われるところである。

妄想の弊害


  • その妄想に対して否定的な現実を敵視したり、妄想を認めない他人に攻撃的になることがある。ときには暴力に結びつくこともある。
  • 周囲からみれば異常行動をとり、周囲に疎まれ孤立したり攻撃されたりする危険がある。本来、社会的動物である所の人間が社会から逸脱する事は、当人にとっても周囲にとっても非常にダメージが大きい。妄想が回復した後の社会復帰にも支障が残ることもある。
  • 「自分は空を飛べる」などの妄想に支配され転落したり、「頭の中に埋め込まれた装置を取り出す」ために頭部を自傷するなど自らを傷つける危険性もある。

参考:*ライシャワー駐日大使刺傷事件

その他


  • アニメや美少女ゲームなどのキャラクターを想像していることを妄想と呼ぶ

関連項目


参考項目


電磁波による攻撃や盗聴による被害を信じており、白い布や「特殊なシール」で電磁波を防ごうとしている他、数々の(珍)事件でニュースを騒がせた。

症候 | 思考 | カルト

Vrangforestilling | Wahn | Delusion | Harhaluulo | מחשבות שוא | Waan | Urojenie | Бред | 妄想

 

This article is licensed under the GNU Free Documentation License. It uses material from the "妄想".

Home Pageartsbusinesscomputersgameshealthhospitalshomekids & teensnewsphysiciansrecreationreferenceregionalscienceshoppingsocietysportsworld