天文単位(てんもんたんい、Astronomical unit, 記号:AU)は天文学で用いる長さの単位。地球が太陽の周りを回る楕円軌道の長半径(簡単には太陽から地球までの平均的距離)が1天文単位として定義されている。
天文学における最も重要な、しかし困難な問題として、天体までの距離を測定するという問題がある。距離を測るための最も単純明快な方法は、異なる2地点から対象を観測し、その方向の差(視差)と2点間の距離とから、三角形の幾何学を用いて対象までの距離を決めるという三角測量の方法である。天文学では比較的近い距離にある恒星までの距離を測る方法としてこの方法を用いる。同じ恒星を地球から半年おきに2回観測すると、地球の位置が地球軌道のサイズ(天文単位)分だけ変わるため、より遠方にある背景の天体に対して対象の星の位置が動いて見える(年周視差)。この視差と天文単位の大きさから、恒星までの距離を計算することができる。(この関係はそのままパーセクの定義に他ならない。)
しかし、年周視差から距離を求めることができるのは近距離の天体に限られるため、より遠い距離を測るには様々な別の方法を使うことになる。その際、それぞれの手法が使える距離範囲はやはり限定されているため、年周視差で測れない距離は A という別の方法で、A で測れない距離は B の方法で、B で測れない距離は C の方法で…というふうに、梯子をかけるようにそれぞれの手法を「つないで」遠方の距離を決めていくことになる(宇宙の距離梯子)。
この距離梯子の1段目に相当するのが年周視差を用いて測定した距離であるが、この距離の精度は天文単位自体の精度に直接依存している。ゆえに天文単位の精度は、宇宙全体における他のあらゆる距離の精度を左右する重要な要素となっているのである。地球と太陽の間の距離をわざわざ「天文単位」という特別な名前で呼ぶのはこのような理由による。
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