壁(かべ、wall)とは、空間を仕切り区画を形成するために設けられる、垂直(またはそれに近い)方向に立つ構造物である。建築物の外周を囲んで内と外の空間を区切るもの(外周壁)や、建築物内部を仕切り部屋を作るもの(間仕切り壁)があり、ベルリンの壁のように二つの区画を隔てる建築物自体を指す場合もある。
通常は、床から天井まで、あるいは地面から人の背丈を超える高さまでの大部分を、一面にふさいでいるものを壁という。区画を仕切る構築物でも、骨組みだけのものや金網状のものは柵などと呼ばれ、壁とは呼ばないことが多いが、便宜的、または宣伝的に壁と称している場合もある。
使用される場所や状況に応じて特別の機能を持たせた壁もある。遮音性を特に高めた防音壁、音の反響を防ぐ吸音壁、火事の際に延焼を防ぐ防火壁、放射線が漏れるのを防ぐ放射線遮蔽壁、「収納」と「部屋を仕切る」機能が融合した収納壁などがある。
建築物の外周壁には、構造体の一部として建物を支える機能を持つ場合と、その機能を持ない場合がある。前者の場合は耐力壁(ベアリングウォール)、後者の場合には帳壁、非耐力壁(カーテンウォール)と呼ばれる。日本建築では木材によって柱や梁を組んで建物を支えるため非耐力壁が多く使われてきた。一方西洋建築では石や煉瓦を積み上げた壁が古くから使われ、屋根を支える耐力壁としての機能が風雨の遮断とともに重要であった。しかし鉄骨造建築の出現以来、非耐力壁構造は欧米においても一般的なものとなっており、特に高層建築に多く用いられている。
その他にも様々な役割を持つ壁がある。たとえば岸壁は船舶が接岸する場所を確保するために、垂直の壁で陸地の土砂を支えるのが目的である。また擁壁は切り通しや盛り土の法面の崩落を防ぐために設けられるものである。
屋外ではコンクリートやトタンの上に塗装を行ったりして装飾される。また、石膏ボードの場合にはそれ自体にプラスチック又はアルミニウムなどの板により装飾がされているものもあり、その場合外壁材として直に張られる。
室内は塗料、壁紙などで装飾される。床から1メートルほどの高さまでは汚れたり傷んだりしやすいため、この部分だけ補強を兼ねて板やタイルで装飾されることもある。この部分、あるいはこのような装飾を腰壁という。
崖などに於ける壁材はコンクリートの他に硬化プラスチック製の物がある。主に風化や波による浸食で崩落した場合の景観復元のために用いられている。
また、次世代の壁として愛知万博のパビリオンの様に水のカーテンを壁としている場合もある。
また、大きくのっぺりした平らな面といった形状から壁と呼ばれている構造物もある。例えば、山岳用語では海岸段丘や山の崖などにおける平らな垂直部分を壁または壁面と呼ぶ。あるいはコンピュータ用語でGUIにおいて、背景として置く画像を壁紙と呼ぶのもこのような意味の比喩である(ただし壁紙が貼ってある作業域はデスクトップ(机上)である)。天文学の世界でも、宇宙の大規模構造における超銀河団の数億光年にわたる連なりが、グレートウォールと呼ばれている。
単に区切りという意味では、パソコン通信において会議室と会議室を区切るための空の会議室は壁と言われる。通常は書き込みができないようになっているが、偶然又は故意に書き込めるようにしたものもあり、そういう会議室はさながら「壁」への落書きのようにボードチャットや本来のフォーラムの趣旨とは関係ない書き込みで満たされる。この会議室のことを「壁会議室」という。ニフティサーブの場合は、バドミントンフォーラム、北海道フォーラム、NifTermフォーラムなどで「壁会議室」が隆盛を極めた。また、直接壁会議室とは名乗っていないが、似たような性格を持たせている会議室もある。教育用語においては、脳の認知機能などの変化をさす物として、「9歳の壁」あるいは「10歳の壁」という表現が使われる。