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地下水(ちかすい)とは、地中に存在するの一種である。地中に存在する水は、地下水と土壌水に二分されるが、ある地層に水がこれ以上ないほど満たされている(飽和している)場合、それを地下水と呼び、満たされていない(不飽和である)場合はそれを土壌水と呼んで区別している。地下水と土壌水を合わせて、広義の地下水と呼ぶこともある。

地盤は水分を吸収する能力(性質)を持っており、これを浸透能というが、この浸透能により地中に地下水が蓄えられることとなる。地下水は、地表に流出して河川などの地表水を形成する。また、生活用水・農業用水・工業用水などに使用されたり、水温の高いものは温泉として利用されるなど、人間の生活活動・経済活動を支える重要な資源とされている。人間は井戸によって地下水を得ることが多い。一方、地下水は斜面崩壊地すべり土石流など自然災害の原因ともなっている。

地下水を扱う研究分野には、水文学水理学などがある。

地下水の由来


地下水の大部分は、降水(天水ともいう)に由来する。雨や雪などの降水は、地表の浸透能によってほとんどが地中に浸透する。いったん地中に浸透した地下水は、ふたたび地表に湧出して河川や池沼(地表水)となる。地中へ浸透せずに地表水となる水流をホートン地表流というが、地表の浸透能は非常に高いため、舗装で埋め尽くされた都市部などでない限り、降水のほとんどはホートン地表流となることなく、一度は地中に吸い込まれて地下水となる。同位体を用いた水文追跡の調査結果によると、洪水時でさえも、地表水は地下水から供給されていることが判明している。すなわち、地中に浸透できなかった降水によって洪水が発生するのではなく、多量の降水が地中に浸透して、それまでの地下水が追い出されて洪水が発生するのである。

海水を由来とする地下水もある。太古に海だった地域が、長い年月の間に陸となり、海水が地中に残存して地下水となったものである。こうした地下水を化石水(かせきすい)といい、アメリカ中西部プレーリー平原の化石水が代表的なものである。化石水は、数千万年 - 数億年前に形成されたと見られている。化石水はもともと海水だったため、塩分を多量に含む塩水であることが多く、人間にとって利用しにくい地下水である。

また、プレート・テクトニクスに由来する地下水もある。大陸プレートが海溝などで他の大陸プレートの下部へ潜り込む際、周辺の海水も一緒に引きずり込まれる。地殻内部へ引きずり込まれた海水は、マグマ熱などにより、地表近くへ上昇して地下水となるものもある。こうした地下水は、高温であることが多く、温泉を形成することがよく見られる。

地下水のふるまい


地下水面

地中を観察すると、砂や土の粒子の間隙に水が浸透している。このとき、粒子の間隙に水が完全に満たされた状態(飽和状態)であれば地下水といい、水が完全に満たされていない状態(不飽和状態)であれば土壌水という。そして、地下水と土壌水の境界を地下水面という。地下水面を境として、上部(土壌水の存在する部分)を不飽和帯、下部(地下水の存在するところ)を飽和帯または帯水層と呼ぶこともある。さらに不飽和帯を二分し、その下部を毛管水帯、その上部を懸垂水帯と呼ぶこともある。

地下水面は、地表の起伏に大きな影響を受けている。地表が盛り上がる山地台地では、地下水面も盛り上がっている。地表がへこんでいる場合は、地下水面も同様である。

さて、上述したとおり、地下水は、地下水面より下部では面的あるいは空間的に存在している。地下水を線的なものとして捉える地下水脈という概念があるが、ここで見るとおり地下水の実態にそぐわない概念である。

地下水の流速

地下水の流速は非常に遅く、年速数cm - 数百m程度である。地下水の流速を求めるにはダルシーの法則を用いる。1856年にアンリ・ダルシーが発見したこの法則では、地下水の流速=透水係数×動水勾配とされている(透水係数:地層が水を通す度合い、動水勾配:任意の2点間での地下水の流動の差)。透水係数・動水勾配は、その地層の地質構造に左右されるが、地質構造を明らかとするには実際に現地で調査を行うほかない。そのため、地下水の実態把握には、現地調査が非常に重要である。

その調査方法としては、井戸ボーリング孔を掘って地中を調べる方法、地中に電流を通して電気伝導率を調べる方法、pH、水温、弾性波で調べる方法などがあるが、最も効果を上げているのが、地下水に含まれる放射性同位体を測定して調査する方法である。この同位体測定法により、実際の地下水の流速や流動方向などが、地域によってはかなり詳細に判明した。

地下水ポテンシャル

一般的に誤解されることが多いが、地下水を動かしているのは水圧ではない。地下水は、地下水ポテンシャル(流体ポテンシャル、水理ポテンシャルともいう)の高い方から低い方へ流れる。これをポテンシャル流れという。このように地下水の流動は、地下水ポテンシャルという概念によって説明される。この概念は、電流温度と同様に質量保存の法則に基づいている。水理学では、ポテンシャル概念を水頭と呼ぶ。

簡単に説明するならば、地下水ポテンシャルとは、ある地中点における地下水の存在状態のことである。地下水の存在状態は、速度・密度・圧力・高度の4つの物理量から成り立っている。速度については、無視できるほど非常に遅いので除外すると、地下水の状態は密度・圧力・高度で表すことができる。例えば、2地点間で地下水の密度と圧力が等しいが、高度が異なる場合、高度が大きい(高い)地点の方が、高度が小さい(低い)地点よりも地下水ポテンシャルが高いため、地下水は高度の大きい地点から高度の小さい地点へ流動することとなる。これがポテンシャル流れの考え方である。地下水ポテンシャルは、次の数式で表される。

  • 地下水ポテンシャル(水理水頭)=重力ポテンシャル(位置水頭)+圧力ポテンシャル(圧力水頭)

地下水ポテンシャルは、井戸を掘ることで測定することができる。ある任意の基準面から井戸の中の水位までの高さが、地下水ポテンシャルの高さを表す。このとき、井戸の中の水位を地下水位ということもある。地下水ポテンシャル=地下水位は、同一地点であっても深度方向によって異なる。例えば、低標高の平野部では、浅い地層よりも深い地層の方が地下水ポテンシャル=地下水位が高い場合が多く、深い井戸を掘ると地下水位が地表面より高くなることさえある。こうした自噴する井戸を自噴井という。

地下水位と地下水面は、よく似た用語であるが厳密には異なる。地下水位は、地下水ポテンシャルの大きさを表す用語であるのに対し、地下水面は、地下水帯水層の上部境界を示す用語である。短期的に見れば、地下水面の位置は一定だが、地下水位は深度によって異なる。なお、地下水面は、地下水ポテンシャル=重力ポテンシャルとなる点の連続面と定義することもでき、地下水面上では、地下水面と地下水位が等しくなる。

地下水の分類


地下水は、いくつかの観点から分類されている。

地下水を含む地層の上下を不透水性の地層が挟んでいるとき、その地下水を被圧地下水といい、そうでない地層の地下水を不圧地下水として分類することがある。しかし、完全な不透水性の地層というものは存在せず、どの地層でも何らかの透水性を持っているため、有効な分類であるとは考えられなくなってきた。

地層中の間隙を水が容易に移動できる地層水(または間隙水)と、岩脈の割れ目などに溜まったり封じ込められた裂罅水(れっかすい)に分類することもある。

地下水と人間活動


(どなたかの加筆をお願いいたします。)

地下水と環境問題


地盤沈下

日本では、戦後、安価な水源として地下水が利用されてきたが、1960年代ごろには過剰な地下水の揚水により特に都市部において地下水位が著しく低下した。そのため、地層は失った地下水の分量だけ収縮していき、地盤沈下が発生することとなった。公害問題として地下水が注目された最初のケースであり、全国各地で地下水の揚水を規制する条例が制定され、地下水の利用は沈静化していった。1990年代ごろからは、低下していた地下水位の回復も見られ始めた。以前とは逆に、地下水位の上昇により上野駅地下ホームが押し上げられ、その浮き上がりを防止する対策工事が行われるなどの問題も発生している。

地下水汚染

地下水は、人間の各種活動に欠かせない資源であるが、一方では人間活動の排出物による汚染が懸念されている。農業で使用する農薬や、工業等により排出される廃棄物が地中に浸潤することで、地下水が汚染されていると主張する論者もいる。また、人間そのものが排出する糞尿も地下水汚染の主要な原因とする主張もある。今後も地下水を貴重な資源として利用していく上で、地下水の汚染をいかに防止するかが重要な課題として浮上している。反面、地下水汚染の防止対策のためには、地域での地下水循環の実態を把握することが不可欠であるが、必ずしも十分かつ的確な地下水観察が行われていないという課題もある。

関連項目


| 水文学 | 水道施設 | 水道

Grundwasser | Groundwater | Agua subterránea | Pohjavesi | מי תהום | 지하수 | Grondwater | Woda gruntowa | Подземные воды | Cai taneuh

 

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