Typhoon_200418_SONGDA.JPG 台風、颱風(たいふう)は太平洋や南シナ海(赤道以北、東経180度以西100度以東)で発生する熱帯低気圧で、最大風速(10分間平均)が34ノット (17.2m/s) 以上のものを指す。
なお英語の「typhoon」は、古くは「touffon」と綴り、16世紀には文献に登場しているため、中国語の「大風」が由来、とする説は不自然だとし、アラビア語起源、ギリシャ語起源の二つの説が有力である。
例えば、台風197013号は西経域で発生し、一瞬東経域に台風が移動したものの、すぐに西経域に去ってしまったために、特に勢力が衰えたわけではないものの、台風ではなくなった。また、台風197229号はマレー半島を抜けてベンガル湾に抜けたことにより台風ではなくなった。
逆に、西経域で発生したものが東経180度以西に進んだ場合は、台風となる。
例えば、2002年に西経域で発生したハリケーン・エーレとハリケーン・フーコは、ともに東経180度より西に進んで、それぞれ台風200217号と台風200224号となった。
英語のtyphoonと言った場合、地域はほぼ同じであるが規模の定義はより曖昧であり、WMOによる国際分類の定義では、タイフーンと言われるものは日本の台風とは異なる。最大風速(1分間平均)が64ノット以上のものをタイフーンと呼ぶ。
同様の気象現象は世界各地にあり、それぞれの地方により呼び名が違う。国際分類で大西洋北部・太平洋北東部・太平洋北中部では、ハリケーンと呼ぶ。インド洋北部・インド洋南部・太平洋南部では、サイクロンと呼ぶ。オーストラリア付近では、同様の現象をウィリー・ウィリーなどとも呼ぶと解説している書物もあるがこれは誤りで、オーストラリア付近のものもサイクロンである。
日本では、古くは野分(のわき)と呼ばれ、源氏物語の巻名にもなっている。また度々台風に見舞われる沖縄のウチナーグチでは「カジフチ(風吹き)」または「テーフー(台風)」と称する。
| 最大風速 (m/s) | 最大風速 (knot) | 国際分類 | 日本の分類 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| (旧) | (新) | |||||
| < 17.2 | ≤ 33 | Tropical Depression (TD) | 弱い熱帯低気圧 | 熱帯低気圧 | ||
| 17.2 - 24.5 | 34 - 47 | Tropical Storm (TS) | 台風 | 弱い | 台風 | |
| 24.6 - 32.6 | 48 - 63 | Severe Tropical Storm (STS) | 並の強さ | |||
| 32.7 - 43.7 | 64 - 84 | Typhoon (T) | 強い | 強い | ||
| 43.7 - 54.0 | 85 - 104 | 非常に強い | 非常に強い | |||
| ≥ 54.0 | ≥ 105 | 猛烈な | 猛烈な | |||
| 風速15m/s以上の半径 | 大きさの階級 | |
|---|---|---|
| (旧) | (新) | |
| < 200 km | ごく小さい | |
| 200 - 300 km | 小型(小さい) | |
| 300 - 500 km | 中型(並の大きさ) | |
| 500 - 800 km | 大型(大きい) | 大型(大きい) |
| ≥ 800 km | 超大型(非常に大きい) | 超大型(非常に大きい) |
ほとんどの台風は夏から秋にかけて発生する。通常、太平洋高気圧の縁に沿って移動し、日本列島やフィリピン諸島、台湾、朝鮮半島などに大きな被害を与える。
被害という視点で語られることの多い台風も日本では、梅雨以後夏期の水瓶(各地のダムや山間部の川)への重要な水源にもなることから、来なければそれでいいというものでもない。2005年の台風14号(ナービー)は大きな被害を生んだが、それまで渇水によって貯水率0%となっていた早明浦ダムを、一気に100%まで回復させた。
なお、台風を消滅させるために核爆発級のエネルギーをもたらすアイデアはSF小説にはみられるが、現実には不可能である事は論を待たない。一般的な規模の台風のもつ熱量は1018 J程といわれ、広島型原爆数千個にも及ぶエネルギーである。2005年現在、人類はそれをはるかに上回る量の核兵器を保有しているが、それを実行すれば核の冬を招く事は必至である。
より平穏な方法(化学物質の空中散布など)によって台風規模の縮小を図る研究も行われているが、台風は上記のような大規模なエネルギー循環や水源としての機能を担っていることなど影響が極めて多大であり、人為的操作は環境に破局的な事態も招きかねないため実行されたことはない。
米軍、占領下の日本でアメリカ式の女性名が台風に付けられたが、自治回復後元に戻された。
2000年からは米国とアジア各国で構成された台風委員会が台風の国際的な呼称(アジア名)を定め、国外では広く使用されている。(外部リンク参照。)2003年9月韓国南部に大被害をもたらした台風マエミー(Maemi)は有名である。この名前はたまたま北朝鮮の命名で、「マエミー」はセミを意味する朝鮮語である。また2004年9月日本を襲った台風18号(200418号)はベトナム命名の台風ソングダー(Songda, 川の名)であり、台風19号(200419号)はカンボジア命名の台風サリカー(Sarika)、台風20号(200420号)は中国命名のハイマー(Haima)と順番が決まっている。ただ日本国内では依然として番号による呼び方が一般的である。ただし、2004年10月に各地に甚大な影響を及ぼした台風22号(200422号)、23号(200423号)はニュース番組などの報道機関により、それぞれマーゴン(Ma-on)、トカゲ(Tokage)とアジア名で呼称された。これらの台風については、一般の人々にもアジア名が広く知られるようになった。
アメリカ合衆国ではA、B、C順にあらかじめ用意した男女の名前をつける(カスリーン台風、ジェーン台風など)。日本でも敗戦直後の米軍占領中にはこの命名方法が取られていた。ただし、当時の命名法では女性名のみが使われていたので、日本での台風の命名もすべて女性名であった。この命名法は、性差別につながるなどとして、1979年に男女の名前を交互につける方法に改められた。このリストは*などで見ることができる。
大西洋北部などの他海域においては、顕著な影響を与えたものの国際名については、名前リストから削除されて、次回以降から別の国際名が使用される「引退」という慣例がある。例えば、2004年にカリブ海の国々やアメリカ合衆国に顕著な影響を与えたハリケーンIvanは、この年で「引退」し、次回の2010年にはIgorという国際名が使用されることが決まっている。この慣例の目的は、将来、顕著な影響を与えたものと同じ国際名が使用されないことを保証することにより、異なる年の同じ複数の国際名の中からどの年のものか特定しにくくなるという曖昧性を減らすことにある(例えば、大西洋北部において、Arleneという国際名は過去に9回も使用されている。しかし、これらの中に特に顕著な影響を与えたものがないため、現在のところは「引退」扱いとなっていない)。太平洋北西部においても同様に、「引退」が適用されることがある。例えば、1991年に全国に大きな被害を与えた台風199119号の国際名Mireilleは、この年限りで使用中止となり、Melissaという国際名に変更された。この慣例は、2000年に台風の国際名がアジア名に変更されてからも適用されている。例えば、2002年に朝鮮半島に大きな被害を与えた台風200215号の国際名Rusaは、次回はNuriに変更になることが決まっている。一方、顕著な影響を与えても、この慣例が適用されない場合もある。例えば、1959年の台風195915号(伊勢湾台風)の国際名Veraは、「引退」扱いとならず、以降も何度か使用された。また、2003年にRusaと同様に朝鮮半島に大きな被害を与えた台風200314号の国際名Maemiは、現在のところは「引退」扱いとはなっていない。
現在では、「偏東風波動説」が多くの支持を集めている。南北両半球の北緯(南緯)30度付近には、赤道で上昇して北上(南下)した空気が上空に滞留して下降し、「亜熱帯高圧帯」が形成される。北太平洋高気圧もその例であるが、これらの高気圧から赤道方向に向けて吹き出した風はコリオリの力を受けて恒常的な東風になる。これが偏東風で、この風の流れの中にうねり(波動)ができると渦度が生じ、熱帯低気圧となるという考えである。なぜ波動が出来るのかはまだはっきりしないが、実際の状況には最もよく合致した説である。
ただし、そうして発生した波動の多くは発達せずにつぶれてしまう。1万メートル以上の上層に高気圧を伴う場合には高気圧の循環による上昇気流の強化により台風に発達すると思われる。また海水の温度が26度以上であることも重要な条件であり、高温の海面から蒸発する水蒸気が放出する潜熱が原動力になっている。
上昇流に伴って空気中の水蒸気は凝結し、熱(潜熱)を放出する。軽くなった空気は上昇をする。すると地上付近では周囲から湿った空気が中心に向かい上昇し、さらに熱を放出しエネルギーを与える。このような条件を満たすときに台風は発達する。このような対流雲の発達の仕方をシスク(CISK、第二種の条件付不安定)という。
なお、台風が北半球で反時計周りの渦を巻くのは、風が中心に向かって進む際にコリオリの力を受けるためである。
2個の台風が1000Km以内にある場合、互いに引き合いながら反時計回りの経路をたどって接近し、一方の台風がもう一方に吸収されて消滅することがある。これを提唱者の名前をとって「藤原効果」と呼ぶ。
台風が上陸、あるいは接近すると、暴風(強風)、高潮、高波による看板や標識、樹木などの倒壊や、建物の損壊(屋根が飛んだりするなど)のほか、大雨による洪水、浸水や道路、橋などの流出、土砂崩れ、地すべりなどの被害が発生する。また、台風が上陸しなくても、時期によっては秋雨前線や梅雨前線を刺激して大雨をもたらし、これによる被害が発生することも多い。
台風が日本海側を通った時接近時の日本海側や、台風が太平洋側を通った時の離れていく時の太平洋側で、台風によるフェーン現象が発生しやすく(特に前者)乾燥した熱風による火災や急激な気温上昇による雪崩なども起こりやすい。
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