article

Typhoon_200418_SONGDA.JPG 台風颱風(たいふう)は太平洋南シナ海赤道以北、東経180度以西100度以東)で発生する熱帯低気圧で、最大風速(10分間平均)が34ノット (17.2m/s) 以上のものを指す。

名前の由来


日本では、古くは野分といい、その後颶風(ぐふう)と呼ばれるようになった。「颱風」と言う語が使われるようになったのは明治時代からである。1956年漢字熟語当用漢字への書き換えが制定されると、「台風」と書かれるようになった。
「台風」の名の由来は諸説あり、主な説に以下のものがある。
  1. 台湾中国福建省で、激しい風のことを「大風」(タイフン)といい、その後西洋に伝わり、ギリシャ神話のテュポンの影響でギリシャ式の"typhoon"というつづりで書かれるようになり、東洋に逆輸入され「颱風」となった。
  2. 中国福建省で、台湾のほうからやってくる強い風を「颱風」と言い、それが日本に輸入された。
  3. アラビア語で、嵐を意味する「tufan」が東洋に伝わり、「颱風」となった。また、英語では「typhoon」となった。
  4. ギリシャ神話に登場する恐ろしく巨大な怪物テュポン(τυφων,Typhon)に由来する「typhoon」から「颱風」となった。
  5. 沖縄(当時は琉球)でつくられた言葉とする説:久米村の気象学者蔡温の造語であるといわれる。

なお英語の「typhoon」は、古くは「touffon」と綴り、16世紀には文献に登場しているため、中国語の「大風」が由来、とする説は不自然だとし、アラビア語起源、ギリシャ語起源の二つの説が有力である。

呼称


台風が東経180度より東(西経)に進んだ場合や、マレー半島以西に進んだ場合は、最大風速が34ノット以上であっても台風とは呼ばない。前者の場合、最大風速(1分間平均)が64ノット以上のものをハリケーン (Hurricane) と呼び、34ノット以上64ノット未満のものをトロピカルストーム (Tropical Storm) と呼ぶ。後者の場合、サイクロン (Cyclone) と呼ぶ。

例えば、台風197013号は西経域で発生し、一瞬東経域に台風が移動したものの、すぐに西経域に去ってしまったために、特に勢力が衰えたわけではないものの、台風ではなくなった。また、台風197229号はマレー半島を抜けてベンガル湾に抜けたことにより台風ではなくなった。

逆に、西経域で発生したものが東経180度以西に進んだ場合は、台風となる。

例えば、2002年に西経域で発生したハリケーン・エーレとハリケーン・フーコは、ともに東経180度より西に進んで、それぞれ台風200217号と台風200224号となった。

英語のtyphoonと言った場合、地域はほぼ同じであるが規模の定義はより曖昧であり、WMOによる国際分類の定義では、タイフーンと言われるものは日本の台風とは異なる。最大風速(1分間平均)が64ノット以上のものをタイフーンと呼ぶ。

同様の気象現象は世界各地にあり、それぞれの地方により呼び名が違う。国際分類で大西洋北部・太平洋北東部・太平洋北中部では、ハリケーンと呼ぶ。インド洋北部・インド洋南部・太平洋南部では、サイクロンと呼ぶ。オーストラリア付近では、同様の現象をウィリー・ウィリーなどとも呼ぶと解説している書物もあるがこれは誤りで、オーストラリア付近のものもサイクロンである。

日本では、古くは野分(のわき)と呼ばれ、源氏物語の巻名にもなっている。また度々台風に見舞われる沖縄ウチナーグチでは「カジフチ(風吹き)」または「テーフー(台風)」と称する。

台風の分類


台風の強さによる分類は、以下の通りである。(米軍の合同台風センターでは1分間平均の最大風速、日本では10分間平均の最大風速によって分類する。厳密には例えば米軍の合同台風センターがtyphoonの強度に達したと判断しても、日本では強い台風の強度に達したと判断しない場合も生じる。)尚、現在日本では台風の航空機観測は行っておらず、台風の位置、中心気圧、最大風速、大きさの数値は台風の衛星画像によって算出している(ドボラック法)。以前は最大風速ではなく中心気圧で強さを分類していた。
最大風速 (m/s)最大風速 (knot)国際分類日本の分類
(旧)(新)
< 17.2≤ 33Tropical Depression (TD)弱い熱帯低気圧熱帯低気圧
17.2 - 24.534 - 47Tropical Storm (TS)台風弱い台風 
24.6 - 32.648 - 63Severe Tropical Storm (STS)並の強さ
32.7 - 43.764 - 84Typhoon (T)強い強い
43.7 - 54.085 - 104非常に強い非常に強い
≥ 54.0≥ 105猛烈な猛烈な
また、台風の大きさによる分類は、以下の通りである。(風速15m/s以上の強風域の大きさによって分類する。15m/s以上の半径が非対称の場合は、その平均値をとる。)尚、以前は1000ミリバール等圧線の半径で判断していた。
風速15m/s以上の半径大きさの階級
(旧)(新)
< 200 kmごく小さい 
200 - 300 km小型(小さい)
300 - 500 km中型(並の大きさ)
500 - 800 km大型(大きい)大型(大きい)
≥ 800 km超大型(非常に大きい)超大型(非常に大きい)
これらを組み合わせて、かつては「大型で並の強さの台風」というような言い方をしていた。しかし、組み合わせによっては「小型で弱い台風」となる場合もあり、あまり重大な印象を与えず、その危険の大きさを甘く見た人が外に出かけて、風に飛ばされた物が当たってけがをしたり、洪水に巻き込まれたりなどの被害に遭うことがあるのではないかとの推測がなされた。そこで気象庁平成12年6月1日から、「弱い」や「並の」といった表現を削除し、上記表の(新)の欄のように表現を改めた。したがって、「小型で弱い台風」と呼ばれていたものは、単に「台風」と表現されるようになった。

ほとんどの台風はからにかけて発生する。通常、太平洋高気圧の縁に沿って移動し、日本列島やフィリピン諸島、台湾朝鮮半島などに大きな被害を与える。

被害という視点で語られることの多い台風も日本では、梅雨以後夏期の水瓶(各地のダムや山間部の川)への重要な水源にもなることから、来なければそれでいいというものでもない。2005年の台風14号(ナービー)は大きな被害を生んだが、それまで渇水によって貯水率0%となっていた早明浦ダムを、一気に100%まで回復させた。

なお、台風を消滅させるために核爆発級のエネルギーをもたらすアイデアはSF小説にはみられるが、現実には不可能である事は論を待たない。一般的な規模の台風のもつ熱量は1018 J程といわれ、広島型原爆数千個にも及ぶエネルギーである。2005年現在、人類はそれをはるかに上回る量の核兵器を保有しているが、それを実行すれば核の冬を招く事は必至である。

より平穏な方法(化学物質の空中散布など)によって台風規模の縮小を図る研究も行われているが、台風は上記のような大規模なエネルギー循環や水源としての機能を担っていることなど影響が極めて多大であり、人為的操作は環境に破局的な事態も招きかねないため実行されたことはない。

台風の命名


日本では発生した順に1号、2号と名前を付けていく。正式には、西暦年の下2桁と組み合わせて「台風0321号」のように表記する。しかし、4桁の番号では、100年後には過去にすでに番号が付けられている台風と同じ番号が付けられるようになり、番号が重複することになるため(例:2000年の台風1号「台風0001号」と2100年の台風1号「台風0001号」は同じ番号で呼ばれることになる)、「台風200321号」のように西暦年の4桁と発生順2桁の組み合わせの6桁で呼んでいるところもある(本記事においては、6桁表記を使用)。特に災害の大きかったものについては上陸地点などの名前を付けて呼ぶこともある(伊勢湾台風など)。戦後、気象庁によって命名された台風は以下の8つである。

米軍、占領下の日本でアメリカ式の女性名が台風に付けられたが、自治回復後元に戻された。

2000年からは米国とアジア各国で構成された台風委員会が台風の国際的な呼称(アジア名)を定め、国外では広く使用されている。(外部リンク参照。)2003年9月韓国南部に大被害をもたらした台風マエミー(Maemi)は有名である。この名前はたまたま北朝鮮の命名で、「マエミー」はセミを意味する朝鮮語である。また2004年9月日本を襲った台風18号(200418号)ベトナム命名の台風ソングダー(Songda, 川の名)であり、台風19号(200419号)はカンボジア命名の台風サリカー(Sarika)、台風20号(200420号)は中国命名のハイマー(Haima)と順番が決まっている。ただ日本国内では依然として番号による呼び方が一般的である。ただし、2004年10月に各地に甚大な影響を及ぼした台風22号(200422号)23号(200423号)はニュース番組などの報道機関により、それぞれマーゴン(Ma-on)、トカゲ(Tokage)とアジア名で呼称された。これらの台風については、一般の人々にもアジア名が広く知られるようになった。

アメリカ合衆国ではA、B、C順にあらかじめ用意した男女の名前をつける(カスリーン台風ジェーン台風など)。日本でも敗戦直後の米軍占領中にはこの命名方法が取られていた。ただし、当時の命名法では女性名のみが使われていたので、日本での台風の命名もすべて女性名であった。この命名法は、性差別につながるなどとして、1979年に男女の名前を交互につける方法に改められた。このリストは*などで見ることができる。

大西洋北部などの他海域においては、顕著な影響を与えたものの国際名については、名前リストから削除されて、次回以降から別の国際名が使用される「引退」という慣例がある。例えば、2004年カリブ海の国々やアメリカ合衆国に顕著な影響を与えたハリケーンIvanは、この年で「引退」し、次回の2010年にはIgorという国際名が使用されることが決まっている。この慣例の目的は、将来、顕著な影響を与えたものと同じ国際名が使用されないことを保証することにより、異なる年の同じ複数の国際名の中からどの年のものか特定しにくくなるという曖昧性を減らすことにある(例えば、大西洋北部において、Arleneという国際名は過去に9回も使用されている。しかし、これらの中に特に顕著な影響を与えたものがないため、現在のところは「引退」扱いとなっていない)。太平洋北西部においても同様に、「引退」が適用されることがある。例えば、1991年に全国に大きな被害を与えた台風199119号の国際名Mireilleは、この年限りで使用中止となり、Melissaという国際名に変更された。この慣例は、2000年に台風の国際名がアジア名に変更されてからも適用されている。例えば、2002年朝鮮半島に大きな被害を与えた台風200215号の国際名Rusaは、次回はNuriに変更になることが決まっている。一方、顕著な影響を与えても、この慣例が適用されない場合もある。例えば、1959年の台風195915号(伊勢湾台風)の国際名Veraは、「引退」扱いとならず、以降も何度か使用された。また、2003年にRusaと同様に朝鮮半島に大きな被害を与えた台風200314号の国際名Maemiは、現在のところは「引退」扱いとはなっていない。

台風の発生メカニズム


台風やハリケーン・サイクロンなどの熱帯低気圧発生の機構については様々な説が唱えられてきた。熱帯の強い日射により海面に生じた上昇気流によるという説、熱帯収束帯(赤道前線)上に発生するという説などが出されたが、どれも不完全であった。

現在では、「偏東風波動説」が多くの支持を集めている。南北両半球の北緯(南緯)30度付近には、赤道で上昇して北上(南下)した空気が上空に滞留して下降し、「亜熱帯高圧帯」が形成される。北太平洋高気圧もその例であるが、これらの高気圧から赤道方向に向けて吹き出した風はコリオリの力を受けて恒常的な東風になる。これが偏東風で、この風の流れの中にうねり(波動)ができると渦度が生じ、熱帯低気圧となるという考えである。なぜ波動が出来るのかはまだはっきりしないが、実際の状況には最もよく合致した説である。

ただし、そうして発生した波動の多くは発達せずにつぶれてしまう。1万メートル以上の上層に高気圧を伴う場合には高気圧の循環による上昇気流の強化により台風に発達すると思われる。また海水の温度が26度以上であることも重要な条件であり、高温の海面から蒸発する水蒸気が放出する潜熱が原動力になっている。

台風の発達


台風の発達過程はかなり詳しくわかっている。台風の原動力は凝結に伴って発生する熱である。温暖な空気と寒冷な空気の接触等による位置エネルギーが変換された運動エネルギーが発達のエネルギー源になっている温帯低気圧との大きな違いはここにある。

上昇流に伴って空気中の水蒸気は凝結し、熱(潜熱)を放出する。軽くなった空気は上昇をする。すると地上付近では周囲から湿った空気が中心に向かい上昇し、さらに熱を放出しエネルギーを与える。このような条件を満たすときに台風は発達する。このような対流雲の発達の仕方をシスク(CISK、第二種の条件付不安定)という。

なお、台風が北半球で反時計周りの渦を巻くのは、風が中心に向かって進む際にコリオリの力を受けるためである。

2個の台風が1000Km以内にある場合、互いに引き合いながら反時計回りの経路をたどって接近し、一方の台風がもう一方に吸収されて消滅することがある。これを提唱者の名前をとって「藤原効果」と呼ぶ。

台風による被害


日本には、毎年10個前後の台風が接近し、そのうち3個くらいが上陸する。2004年には10個の台風が上陸し、上陸の新記録を更新した。

台風が上陸、あるいは接近すると、暴風(強風)、高潮、高波による看板や標識、樹木などの倒壊や、建物の損壊(屋根が飛んだりするなど)のほか、大雨による洪水、浸水や道路、橋などの流出、土砂崩れ、地すべりなどの被害が発生する。また、台風が上陸しなくても、時期によっては秋雨前線や梅雨前線を刺激して大雨をもたらし、これによる被害が発生することも多い。

台風が日本海側を通った時接近時の日本海側や、台風が太平洋側を通った時の離れていく時の太平洋側で、台風によるフェーン現象が発生しやすく(特に前者)乾燥した熱風による火災や急激な気温上昇による雪崩なども起こりやすい。

記録的な台風


明治以前

  • 永祚の風:989年9月(永祚元年8月)近畿地方。「夜、天下に大風。皇居の門・高楼・寝殿・回廊及び諸々の役所、建物、塀、庶民の住宅、寺社仏閣まで皆倒れて一軒も立つもの無く、木は抜け山は禿ぐ。又洪水高潮有り、畿内の海岸・河岸・人・畑・家畜・田この為皆没し、死亡損害、天下の大災、古今にならぶる無し、云々」(『扶桑略記』、原文は漢文)
  • 弘安の役台風:1281年8月(弘安4年閏7月)西日本。日本に来襲した高麗連合軍14万人のうち約10万人溺死。
  • シーボルト台風:1828年9月( 文政11年8月)西日本。ドイツ人フランツ=フォン=シーボルトが出島で観測した記録がある。又、この台風で難破したオランダ船が後のシーボルト事件の発端となったので「シーボルト台風」と言う。九州来襲時の中心気圧900hPa、最大風速50m/sと推定される。

1930年代

1940年代

1950年代

1960年代

1970年代

1980年代

1990年代

2000年代

台風の統計


  • 統計の基準について
    • 日時-すべて日本標準時(JST)。 (世界標準時(UTC)で観測されたものを日本標準時(JST)に直している。)
    • 接近-台風の中心が日本の海岸線から300km以内に入った場合を「日本に接近した台風」としている。ただし、現在は気象官署からの距離で算出してある。
    • 上陸-台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合を「日本に上陸した台風」としている。ただし、沖縄本島などや小さい半島を横切り短時間で再び海に出る場合は「通過」としている。

台風の平年値

  • 年間発生数:26.7個
  • 年間日本接近数:10.8個
  • 年間日本上陸数:2.6個

台風の記録

(統計資料がある1951年からの統計。2005年11月26日現在の記録。記録は随時更新中。)

  • 年間発生数

  • 年間日本接近数

  • 年間日本上陸数

  • 発生日時
    • 発生日時が(一年の中で)早い台風

    • 発生日時が(一年の中で)遅い台風

  • 日本上陸日時
    • 上陸日時が(一年の中で)早い台風

    • 上陸日時が(一年の中で)遅い台風

  • 中心気圧
    • 海上における中心気圧が低い台風

    • 陸上(気象官署)における中心気圧が低い台風

    • 上陸時(直前)の中心気圧が低い台風

  • 風速
    • 最大風速

    • 最大瞬間風速

  • 台風の大きさ
    • 強風域が大きい台風(直径順)

  • 長寿台風(台風でなかった期間を除く)

台風による社会的な影響


  • 交通機関の乱れ
    • 特に航空フェリー航路の場合、暴風を伴うと大変危険なこと、また航空の場合は機体の遣り繰りがつかない(行ったまま、台風通過まで戻って来れない)事等から台風が通過した後も運休するケースが多い。
    • また鉄道バス自動車道路高速道路国道など)も一定の風速または雨量をオーバーすると運休や通行止め、あるいは速度徐行がなされる場合もある。
  • 公衆施設(自治体の公共施設・サービス受付、レジャー施設、百貨店スーパーマーケットなど)の営業休止・または早期打ち切り
  • スポーツ・コンサートイベントの中止・延期
    • 屋内施設(ドーム球場体育館、コンサートホールなど)で開かれるイベントであっても、交通機関のマヒや観客の安全などを考慮してイベントを中止する事例がある。(プロ野球でのドーム球場の中止事例はその項をご覧戴きたい)

関連記事


外部リンク


気象 | 自然災害 | 台風 |

Teiffŵn | Orkan | Tropischer Wirbelsturm | Tropical_cyclone | Uragano | Huracán | 열대 저기압 | Hong-thai | Orkaan | Tajfun | Orkan | 台风

 

This article is licensed under the GNU Free Documentation License. It uses material from the "台風".

Home Pageartsbusinesscomputersgameshealthhospitalshomekids & teensnewsphysiciansrecreationreferenceregionalscienceshoppingsocietysportsworld