原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope; AFM)は、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope; SPM)の一種である。
探針は試料表面を跳ねるように上下に動き、表面状態を測定する。生体試料や、表面に物質が弱く吸着されている場合などの破壊されやすい試料に対しても使え、分解能も高く、精密な測定が必要な際によく使われる手法である。液中でも使用できる。一般的に液中と空気中におけるタッピングモードでは使用されるプローブの材質が異なる。
AFMは、1985年、IBMのチューリッヒ研究所で開発された。同研究所は、走査型トンネル顕微鏡(STM)も1982年に開発した。
当初は原子間力を利用した表面像のみを取得するものであったが、現在では先端のカンチレバーのみの交換で、磁力を利用したMFM(磁気力顕微鏡)や電気力(電気勾配力)を観察するEFM(電気力顕微鏡)という装置もある。最近では、AFMと蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡(Confocal Laser Scanning Microscope)、全反射(Total Internal Reflection: TIRF)蛍光顕微鏡、ラマン分光法を組み合わせたハイブリッドAFMも使用されている。
AFMを含むプローブ顕微鏡における問題は、解像度ならびに出力される構造データがプローブのサイズと形状に左右されることであり、測定者はこの事実とそのメカニズムを理解しておかなければならない。この問題は、対象となる試料がプローブの先端径に近いような生体分子や、微粒子などの測定時に顕著となる。このような場合、測定データは実際の試料より大きく出力される。この問題を軽減するため、これまでカーボンナノチューブなどをプローブ先端に取り付るような試みもなされてきており、成功を収めている。
このほかAFM測定で解決されなければならない課題は、測定(観察)時間の短縮である。光学顕微鏡や電子顕微鏡では観察できない液体中に浸した生物試料をナノメータオーダで高分解能観察できる装置として期待があるが、この用途のAFMでは、 従来のAFMでは数分から数10分/画面かかった生体試料の観察を0.1秒/画面で実現したという研究報告がある。分子生物研究分野では蛍光染色せずに画像化できる点が早い測定速度や高解像力とならんで評価されている。一方、大気中、真空中の測定では早い装置で10秒/画面程度まで測定時間が短縮されたが、更なる改良が望まれている。
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