北極点(ほっきょくてん, 英語:North Pole )とは、地球の自転軸北端、北緯90°の地点のことである。この地点には現在においては、陸地はなく海氷に覆われた地(氷上)である。近年、北極点の氷厚は薄くなっていると言われ、2000年の夏には海面が露出しているのが観測されている。
Northpole modis big.jpgのMODISから観測した北極点]]
「北極点」とは名称のように、「点」であると考えられるが、その定義的な概念から言うと、どこの「点」なのかが曖昧でもある。物理的には、地球は回転天体であり、従って、回転の「軸」を備える。この回転軸は地球内部において「重心」点を当然通過しており、この重心点が「地球の中心点」だと言える。
「北極点」及び「南極点」は、地球の回転軸が、地球表面と交差した「点」であると考えられるが、地球表面とは何を意味するのかが曖昧とも言える。極点で言えば、その地点は岩石等で覆われた陸(大陸または島」であることがあり、また海洋あるいは湖であることもある。更に後者の場合、海洋または湖の表面が液体状態か、氷結して氷の状態かという区別も生じる。
現在においては、北極は北極海と呼ばれる海洋となっており、その表面は海水あるいは、氷結した氷である。氷の場合は、氷面と回転軸の交差点がすなわち「北極点」となり、また近年観察されるように、氷が融解して海水面となっている場合は、海水面との交差点が「北極点」となる。
また、天文学では、地球の中心を原点あるいは球中心点として、理論的に「天球面」というものを考え、星や天体は、この天球面に位置すると、とりあえず考える。地球の回転軸の延長線とこの天球面の交差点が考えられ、これらを、「天の北極(点)」、「天の南極(点)」とも表現する。天の極の丁度上か、または近接した位置に、明るい目印となるような星があるとき、これを天の「北極星」または「南極星」とも呼ぶ。
物理的には、北極点とは、定義で述べたように、地球の回転主軸と地球表面との交差点であると考えられる。自転の回転主軸自体が、微妙に変化することは以下に述べているが、これ以外にも、プレートの移動等で、地理的な位置に見かけの変化が生まれる。
地理的な、地球上の位置を表示する「座標系」は、北極点を、北緯90度の極点として定めている。しかし、このような地理的な座標系は、プレートの移動に従う、地球表面の地理的場所・位置の変化によって、数万年あるいは数十万年の時間が経過すると、実際の場所の位置と、記載上の数字にずれが出てくる。例えば、「日本経緯度原点」は、皇居近くの元の国立東京天文台跡の場所にあるが、この位置は、おおよそ東経139度44分29秒、北緯35度39分29秒であるが、この座標数字は、数千年後、数万年後には、もはや妥当しなくなる。
北極点、南極点、そして赤道は、地球の回転運動から物理的に決定できるが、仮にイギリスのグリニッジ天文台に経線の起点を置くとしても、世界の諸大陸や諸都市の座標位置は変化して行く。
更に、天の北極も、後述する歳差運動で、その天球上の位置が変化する。また地球の赤道を天球に投射して定義した、天の赤道も変化する。このため、現行の天体の地球から見た場合の位置を示す座標系である、赤道座標系も、修正が必要になってくる。
地球の回転軸は、永久不変に変化しないものではない。それらは、天体としての地球における物質の配置により決まっており、質量的配置が変化するとき、当然、回転軸も変化する(この場合の回転軸は、「慣性主軸」を意味している)。
具体的には、地球表面の温度は、地質時代を通じて変動して来たことが知られており、現在より一万年前には、北半球を覆う氷の層はもっと厚く、領域も広大であった。このように北極及び南極に近い領域に、大量の氷が氷河の形で蓄積されている場合、地球全体としての回転軸は、現在のものとは僅かであるが違った位置にあった。
また、氷河の形成と融解の過程以外にも、地球は内部的に、マントル内において物質の対流が生じており、これはプレート・テクトニクス理論が述べるように、地殻表面においては、大陸のプレートの構成と、その移動、マントルへのプレートの沈下と湧きだしという現象となって現れる。マントル対流とプレートの運動は、地球全体としての質量分布の変化をもたらし、これによっても、回転軸は変動し、従って、極点の位置は変化する。
以上に述べたことは、慣性主軸としての回転軸の変動で、プレートの運動をもとに考えると、地球上の「位置」というものは、大陸とか海洋の特定の地理的位置で普通考えられている。従って、慣性主軸が変化しないとしても、例えば、現在の日本列島が、プレートの運動によって、北極領域へと移動することは想定でき、その場合、北極点が日本列島の上に存在するというような事態も生じ得る。(実際は、プレートがそこまで運動すると、日本列島そのものが消える可能性があり、このような話は成立しない)。
しかし、地質学的な証拠では、現在、亜熱帯または温帯にある陸地に、太古の氷河の痕跡があり、また逆に、南極大陸に、温帯または亜熱帯の気候でなければ生育しない植物の化石などがあることより、地質学的太古には、現在は極近くにある大陸が、赤道近くにあったり、逆に、赤道近くにある大陸が、極近くにあった時代も存在した。
天の極点もまた、地球の回転軸の変動によって変化するが、天の北極乃至南極については、これ以外に、もっと大きな変動要因として、周期的な「歳差運動」によっても変動する。歳差運動は、地球の慣性回転主軸が、およそ3万年ほどの周期で、天球の座標に対し回転している状態で、「天の北極・南極」は、この運動によって、周期的に変動する。数千年前に、北極星と呼ばれていた星は、現在の北極星とは別の星である。
地球は自転しているため、地球上の物体あるいは質量のある系は、自転による慣性モメントを持っている。このため地球表面上を運動すると、運動している物体あるいは質量の系には、「見かけの力」が働いているように見える。これを、「コリオリの力」と言うが、コリオリの力は普通、北半球では、進行方向に対し、右の方向に働き、南半球では逆に、左の方向に働く。
コリオリの力は、東西方向に働く力の成分と、上下方向に働く力の成分に分かれる。赤道上の運動の場合は、東西方向の力の成分はなく、上下方向だけに力が働く。それに対し、極点においては、上下方向の力の成分がゼロで、純粋に東西方向の力のみが働く。
この違いは、「フーコーの振り子」を赤道上または極点で振らせてみると、はっきりした区別として観測できる。赤道の上では、フーコーの振り子は「見かけの運動」を一切しないように見える(実際は、上下方向に運動するが、それは振り子の性質上、観測されないのである)。
極点においては、フーコーの振り子は、地球の自転に応じて、一日24時間の経過で、正確に、360度の回転運動を行う。北極点においては、振り子の振動面は、見かけ上、右の方向へと運動して、一日で一周する。
地球を構成する物質は、当然ながら荷電物質である。それ故、地球の自転運動と、マントル・地殻等での運動によって、地球全体として、巨大な磁場が構成されており、地球は、巨大な磁石にも喩えられる。北極近くに磁石のS極があり、南極近くに磁石のN極がある。
しかし「近く」と述べたように、地球磁石における北極(これを、「磁北極」と言う)と、慣性運動の回転の北極点は一致しない。僅かであるがずれがある。北極点を離れた位置だと、コンパス(磁石)の指す北極の方向は、地球回転軸で定義される北極点にほぼ一致するが、北極点に近い位置では、ずれが大きくなる。
北極点は、通常、地球の北極点を指すが、回転している天体一般について、北極とか南極という概念が適用可能である。自転運動をしている、岩の塊程度の大きさの小惑星から、地球の月のような衛星、水星、金星、火星などの内惑星や、木星、土星などの外惑星、更に、我々の銀河系(天の川銀河)を含む、銀河系一般も自転運動をしているため、北極と南極、あるいは北と南が定義される。
自転している天体については、回転モメントのベクトルが指す方向が「北」である。もう少し分かりやすく述べると、ネジは普通、右方向に回すと前進する。自転している天体は、回転の慣性主軸を持ち、この主軸の延長上で、自転が右まわりに見える位置から見て、ネジの進行方向になるのが、「北」である。
このようにして、衛星、惑星、太陽、恒星、銀河など、自転している天体すべてについて、「北」と「南」が定義される。地球の回転主軸の延長が天球と交差する点を、天の北極、天の南極とし、赤道の投射を天の赤道として、地球上での経度の起点であるグリニッチの代わりに、「春分」のときの太陽の位置を、経度起点としたのが、天の「赤道座標系」である。
それに対し、太陽の自転を元に、太陽の回転主軸が北と南で天球面上で交差する点を、天の北極、天の南極とし、太陽の赤道の投射を「天の黄道」として、同じく春分点を経度の起点とした天体座標系が、「黄道座標」である。同じようにして、「銀河座標」が定義される。この場合の経度の起点は、太陽系と銀河中心を結ぶ線によって定義される。
このように、自転している天体一般で、その北と南が定義され、地球での北極と南極と相同な概念が自転天体一般で考えられる。ただ、火星や金星、あるいは月などのように、その表面が岩石のおような固体や、水などの液体である天体では、この固体(液体)表面と回転主軸の交差点が、極点となるが、木星や土星のような、その表面が気体状態で、明確な天体表面というものが確定できない天体の場合、極点もまた、明白に定義することが困難である。
このことは、銀河系や他の銀河のような、無数の恒星などから構成される系についても言える。銀河などは、北と南はあるが、北極、南極などは、何かの定義で導入しなければ、地球上での北極や南極に対応するものはないと言える。
現在では観光船ツアなどにより12000人以上の人が訪れているともいわれるが、過去さまざまな探検家によって到達が試みられた。
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