化石(かせき)とは、地質時代に生息していた生物もしくはその活動の痕跡を指す。
多くは、古い地層の中の堆積岩において発見される。化石でのみ知られる生物のことを古生物という。
死骸が地層にとじ込められた後の段階で、肉などの軟体部は化学変化により失われる。従って化石には動物の骨や殻、歯などの固い組織の部分だけが鉱物に置換されて残っているものが多いが、恐竜の皮膚や羽毛の型が残っているもの、貝などの内部が鉱物で充填されたものもある。他、軟体性生物が酸素の少ない泥に閉じ込められたバージェス頁岩のような例もまれに見つかる。
また、鉱物に置換されていない例として、炭化した植物、琥珀(こはく)に取り込まれた昆虫、シベリアで発掘された生体に近いマンモス、新しい時代では貝殻がそのまま化石になるなどの例もある。2005年、アメリカでティラノサウルスの大腿骨から柔軟性を残した血管や骨細胞が発見され、どのくらい組織が残されているか注目されている*、*、*。
生物体それ自体だけでなく生物活動の跡も生痕化石といわれ、化石の一種である(足跡、巣穴など)。生痕化石は、生物本体の化石よりも重要ではないと考えられるかもしれないが、必ずしもそうではない。生物体化石では分からないことが、生痕化石から判断できる場合も多くある。発達した生物が多く現れる古生代カンブリア紀の始めを示すのは這いあとの生痕化石であり、恐竜の行動様式が判るのは足跡の研究の成果である。動物の排泄物の化石(糞化石)も存在し、その動物の消化器官の様子や、餌にしていた生物を知る手がかりとなる。恐竜の卵の化石も、一箇所に大量に見つかるなどで恐竜の行動様式をうかがい知る手がかりの一つになっている。
いずれにせよ、化石としてのこる生物は、その部分、条件、その他きわめて限られた場合だけである。また、化石から分かる情報もそれなりに限られたものである。しかし、過去の生物を直接目にすることは、化石を通じてしか行ない得ない。それゆえ、進化という考えの起源の一つが化石研究であったのは当然である。しかしながら、化石からは何でも分かるわけではない。生物の世界全体を見渡せば、化石から系統関係に関する知識を汲み出せるのは動物界と植物界だけに限られると言っていい。菌界、原生生物界、細菌類の化石も出るには出るが、微化石として多産するもの以外については、ごく断片的な知識しか得ることができない。
なお、雨の水滴の痕跡と思われるものを「雨の化石」といい、波が海底に作った漣痕を「波の化石」と呼ぶが、正しくはこれらは化石ではなく、比喩的な表現である。
1796年、フランスの博物学者ジョルジュ・キュビエは現生のゾウの骨格とゾウの化石との詳細な比較を行い、この化石は現生種とはまったく異なる古代に絶滅した種であると結論付け、この化石種を「マンモス」と命名した。程なくシベリアの永久凍土から氷づけのマンモスが発見され、キュビエの考えに強力な裏づけが得られた。1811年、イギリスのメアリー・アニングによってイクチオサウルスの化石が発見され、解剖学的特徴などについて研究がなされた。これを契機に化石研究が盛んにおこなわれるようになった。化石の研究は、生物学に対しては進化論への重要な称呼となった。ただし、キュビエは反進化論者であった。彼は神による創造という概念から抜けられず、そのために、過去において、時代によって異なる生物が見られるのは、神が生命を創造し、それをノアの洪水のような災害によって滅ぼし、あらためた生命を創造し、ということを繰り返した結果だという、「天変地異説」をとなえ、当時進化論を主張していたジャン=バティスト・ラマルクと激しく対立した。
このように化石は生物の進化の証拠の一つであるが、アメリカ合衆国では、生物の進化はキリスト原理主義と相容れないとして、初等教育では教えてはならないとされる地域もある。
また、古い時代から、ゾウの歯などの化石が漢方薬として用いられたり、アンモナイトの化石には魔力が宿るなどとされたりといった形で、化石は利用されてきた歴史がある。現在でも、三葉虫やアンモナイトなど、有名な化石はアクセサリーに用いられている場合がある。特殊な化石では、宝石や美しい鉱物の成分に置き換わっているものがあり、それ自体が宝石として流通するものがある。琥珀は樹木から分泌された樹液の化石であるが、宝石としても用いられ、特に中に昆虫などが封入されたものが珍重される。マイケル・クライトン原作の小説およびその映画化である「ジュラシック・パーク」では琥珀中の蚊の体内に恐竜の赤血球が残され、そこから恐竜のDNAが抽出される設定となっている。
なお、石炭は古代の植物の化石であるから、これが実質的には最大の利用になろう。
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