利子
利子(りし)とは、貸借した金銭などに対して、ある一定利率で支払われる対価。利息と利子は通常同じ意味で使われるが、借りた場合に支払うものを利子、貸した場合に受け取るものを利息と使い分けることがある。また、銀行預金では利息、郵便貯金では利子と呼ぶ。法律用語としては利息を用いるのが通常である。
米の貸し借りの対価として支払われる「利子米」のように、利子は金銭以外で支払われる場合にも用いられる用語であるが、金利は金銭での対価に限って使う用語である。
経済学的な定義では『将来時点における資金の、現在時点における相対的な価格』という。また、法律学的な定義では『元本債権の存在を前提とし、元本使用の対価としてその金額と存続期間に比例して、一定利率をもって支払われる金銭その他の代替物』
もっとも、実際の金融取引における利子の本質については、上記の定義のように単に金銭の時間的な価値のみで説明しうるのではなく、利子とは、金銭の時間的価値、金融機関の提供するサービスの対価、債権の貸倒れに対する保証料ないしは保険料などが複雑に合成されたものと見ることもできる。ただ、サービスの対価も保険料も、時間が経過し「将来」となっていくことと密接であるため、金利と時間の関係は不可分である。
金利の高低は経済の景気動向を左右することがある。、政府や中央銀行が公定歩合を変更することによって基準金利を決定できる場合が多い。経済学的には、貨幣市場における価格に相当する。
金利には、名目金利と実質金利が存在する。名目金利は、額面にかかる金利である。実質金利は名目金利から期待インフレ率を差し引いた分である。名目金利は0%より下がらないのに対し、実質金利はマイナスがあり得る。(例: 去年の1000円に名目金利5%がついて1050円になったけど、去年1000円だったアレは今年は1100円になってしまった。実質金利:約-4.55% (1050/1100 - 1000/1000))
利子の計算方法には大きく分けて単利と複利の2つの方法がある。単利は元本を変化させずに利子を決める。複利は元本に利子を加えて次回の利子を決める。
元本をa、単位期間当たりの利率をpとすると、n回の単位期間を経て利子がついたときの元利合計は、単利の場合 となるのに対し複利の場合 となる。
たとえば、1月1日から同年の1月15日までの日数計算をそれぞれの方法で行うと、
| 両端入れでは | 15日間 |
| 片落ちでは | 14日間 |
| 両落ちでは | 13日間 |
以下に計算例を示す。
3万円を毎月1回ずつ3回で返済することにする。(毎回返済する元金は1万円ずつとする。)
同じ金利の%であっても、アドオン金利の方が利息が高くなることがわかる。
一般に、金利が低ければ資金を預金しておくメリットは低い。逆に、低利で融資を受けることができるので、資金は投資へ向かいやすくなる。海外の投資家からみると金利の低い通貨を保有するメリットは少ないため通貨の価値は相対的に下がる傾向になるが、投資の活発化により景気が向上した場合には投資対象として通貨が上がる場合もあり得る。
これとは反対に金利が高くなると、融資を受けて事業に投資するリスクが高くなり、むしろ資金は預金した方が有利となる。そのため過熱した景気を冷ます効果が期待される。
このような関係から、公定歩合を引き上げる政策は金融引き締め、引き下げるものは金融緩和と呼ばれる。
だが長いスパンで見ると、現代のような利子、それも複利の利子による経済が堂々と大規模に行われるようになったのは最近のことと言える。利子を禁ずるというのは、一見奇異なことのように思われるかもしれないが、世界史の流れの中では取り立てて特異なことではない。
アリストテレスはその著書『政治学』の中で、「貨幣が貨幣を生むことは自然に反している」 と述べているし、旧約聖書においても「あなたのところにいる貧しい者に金を貸すなら(中略)利息を取ってはならない」 (出エジプト記22:25)、あるいは「金銭の利息であれ、食物の利息であれ、すべて利息をつけて貸すことのできるものの利息を、あなたの同胞から取ってはならない」(申命記23:19)と記されている。
また、単に借金の棒引きとイコールで捉えられることの多い、日本史で登場する「徳政令」であるが、基本的には「利息がついている契約」のみが対象であった。借金の返せない民が増え、徳政令の出番となるのは、多くの場合「元本を返済する能力があったとしても利子(鎌倉時代当時の言葉で「利平(りひょう)」と言った)が膨らんでしまう」ためであった。
さらに、シルビオ・ゲゼルは金利が社会にもたらすさまざまな悪影響について考察し、自由貨幣と呼ばれる減価する貨幣の導入で金利を廃止しようとした。
さらに、「利子」は「単利」の場合のみ認めるが、「複利」(利子の額を元本に組み込んで計算する)の利子つき金融を認めない例もある。(ローマ法以来、多くの立法例で複利計算は禁止されていた)
宗教的な側面からの禁止規定は、利息を、労働なくして得る所得=「不労所得」として卑しむ考えからである。それではなぜ、現代のヨーロッパ主導の世界的経済体制の中で、利子つき金融、それも複利計算のものが圧倒的主流を占めているのか、という疑問が生じる。
かつてはキリスト教会によって、前掲の旧約聖書の規定に基づき、利子つき金融は戒められていた。しかし利子を取る金融を、不当なものとして排除してきた教皇庁が、税金や給料を払うための「補償金」という名目において事実上認めたことから、以降人目を避けずに利息つきの金銭貸借ができるようになり、新しい両替商たちが成長し、ルネサンスの原動力となったという。
13世紀に登場した新しい「両替商」たちは、それ以前(中世)の「金貸し」が封建領主の「消費」のために活動したのに対し、市民から集めた資本を、貿易商人たちの商品購入資金や、工場主たちの設備投資のために、つまり「生産」と「流通」を対象に信用貸しをおこなった。積極的な是認としては、1545年にイギリスでヘンリー8世が10%以内の利子取得を認める法令を発布している。また、カトリック教会ものちに(19世紀)利子を容認するようになった。
江戸時代の日本では商人が名目上なりとは言え「士農工商」の第四層に置かれたように、また中世ヨーロッパでも商人の利潤追求は社会倫理と無関係あるいは相反するものと捉えられてきたことなどから見えるとおり、「商業」は生産を行わずに物品を動かすだけで利益を挙げる「不労所得」に類するとの観念が様々なところで見られるが、たとえばイスラームにおいてはそうではない。開祖ムハンマド自身が交易商人であったし、その教えの中で商業(利潤の追求)は大いに推奨されている。にもかかわらず、利子はリバーと呼ばれ、やはり不労所得として禁止されてきた。それは、頭脳労働やリスクを伴わない所得とされたゆえである。(イスラム世界の銀行制度についてはイスラム銀行を参照。)
なお、利子そのものを禁じていない文化でも、高利に対する規制は厳しいことが多かった(たとえば江戸幕府の開府当初は年率20%が上限。元文1年(1736年)には15%)が、それに対する金融業者(高利貸)は、名目上は「利子」ではない「手数料」(これはイスラーム圏でヒヤルと呼ばれるものに似ている)ということにして、取り立てていた。天保13年(1842年)の法令では法定利率が年率12%に引き下げられ、礼金・筆墨料などの名目で利子を余分に取ることなどが禁じられたが、「禁じられた」ということは、少なくともそれまで江戸の金融業者たちは、法定利率以上に徴利していたということが逆に分かる。
こうして疎んじられてきた「利子」であるが、金融実務の立場からすると、インフレやデフォールト(債務不履行)のリスクがあることや、事業・担保の評価を行わないと事業として継続してゆくことが不可能であることから、いたずらに不労所得と言うことはできない。
日本法上は基本的には利息制限法によって規定されており、元本が10万円未満の場合は年20%、10万以上100万未満の場合は年18%、100万以上の場合は年15%、延滞の損害金は、この1.46倍までが認められる。これを超える部分について借り手は支払いの義務はないが、貸し手が罰せられることもない(但し、下記出資法の上限金利を上回っていれば、出資法違反で罰せられる)。 利息制限法の他に出資法による規制があり、金融業者は年29.2%(うるう年は29.28%とし、1日あたり0.08%)以上、金融業者以外は年109.5%(うるう年は109.8%とし、1日あたり0.3%)以上の利息を受領する行為には罰則が科される。
利息制限法の利率上限を越えて出資法の定める利率までについては、貸金業法43条(いわゆる「みなし弁済」規定)の規定するところにより、借り手が任意に支払いをなした場合には貸し手はこれを有効に受領することが出来る。多くの消費者金融がこのみなし弁済規定を利用して29%程度の利息を得ている。借り手は自己に支払い義務がないことを知らないのが通常であることから、この部分をグレーゾーンであると評し、出資法上限金利を利息制限法上限金利と同水準に引き下げるなど、より明快になるよう法改正を求める意見もあり、金融庁の「貸金業制度等に関する懇談会」で議論されている。また、利息制限法の上限金利を上回る返済をした借り手が、過払い金の返還を求める訴訟を、各地で起こしている。
一方、上記に含まれない利子(例えば、事業主や友人からの借入れに係る利子)は、事業所得や雑所得に分類されることとなる。
一方、その他の利子は、単純に益金となる。
元本をa、年利をpとする。
Zins | Τόκος | Interest | Interezo | Korko | Intérêt | ריבית | Kamat | 이자 | Rente | Ränta