分数(ぶんすう、fraction)とは、一つの数をある数を基準とする比の値として表現する、すなわちある数を別の数で割った商の形式で表現する、数の表現方法のひとつである。比の値であるから、同じ数を表現する分数は無限に多く存在する。
定義
分数は、中央の
括線(かつせん、
Vinculum)と呼ばれる横棒を隔てて、上に
分子(ぶんし、
numerator)・下に
分母(ぶんぼ、
denominator)を配置することにより記述される。分母を基準として分子が占める
割合が、その分数の示す値である。
分子・分母には、それが意味を持つ限りにおいてあらゆる数を配置することが出来る。とくに、分母、分子ともに整数を配置した分数で表す事ができる数を有理数という。また、分子・分母が分数の形で与えられるような分数の表示を繁分数(はんぶんすう、compound fraction)もしくは連分数という。
さらには、分子・分母が数式(関数)であるような分数を分数式(分数関数)といい、特に多項式の商として表される分数式を有理式とよぶ。分数式まで視野に入れると、何かに占める割合といった分数の意味は薄れるが、それは商(除法)の概念がそうであるのと同様である。
積演算が非可換であるとき、除法が左右で区別されるように分数も割る方向の左右で区別される。以下では演算は可換であるとして話を進める。
例
たとえば、
-
の中央の横棒が括線、括線の下の 4 の部分が分母、3 の部分が分子である。これを 3 / 4 の形に記述することもある。
この値は、分子 3 の分母 4 を基準とした比の値、言い換えると 4 を単位量とするときの 3 の占める割合を表し、3 ÷ 4 を計算することに等しい。たとえば、
小数では 0.75 と表示される。この値を表現する分数は他にも、
-
などがある。これは比の値としてみれば
- 3 : 4 = 6 : 8 = 24 : 32 = …
であることからも理解することが出来る。
約分・既約分数
分数が比の値であるということから、
a,
b,
c を定数で
b ≠ 0,
c ≠ 0 であるものとして
-
が成り立つ。あるいはこれは
-
と記しても同じである。これは、分母と分子が同じ因子(
公約数)を持つならばそれらを無視して考えることができるということを表しており、
分数の簡約(かんやく、
reduction,
cancellation)あるいは簡単に
約分(やくぶん)と呼ばれる。
特に有理数については、分子・分母が整数の範囲でそれ以上約分ができないような表示を必ず持つ(これは算術の基本定理、すなわち整数の素因数分解可能性による)。それ以上約分できない形の有理数の表示を既約分数(きやくぶんすう、irreducible fraction)とよび、対して分母・分子が整数の範囲で約分できることを可約(かやく、reducible)であるという。
四則演算
簡約の式を逆に利用すると複数の分数の分母をそろえることができる。これを
通分(つうぶん)という。分数の和や差は通分することによって定義できる。分数の
四則については、加法が
\frac{a}{b}+ \frac{c}{d} =
\frac{a\times d}{b\times d} + \frac{c\times b}{d\times b} =
\frac{ad+bc}{bd}
により定義され、同様に減法が
\frac{a}{b}- \frac{c}{d} =
\frac{a\times d}{b\times d} - \frac{c\times b}{d\times b} =
\frac{ad-bc}{bd}
として定義される。また、乗法は
\frac{a}{b} \times \frac{c}{d} =
\frac{a\times c}{b\times d} =
\frac{ac}{bd}
であり、その逆演算として除法が
\frac{a}{b} \div \frac{c}{d} =
\frac{a}{b} \times \frac{d}{c} =
\frac{a\times d}{b\times c} =
\frac{ad}{bc}
のように定義される。
分数の性質
加比の理
-
であるとき、
-
が成り立つ。これを
加比の理という。
真分数・仮分数・帯分数
分子の値が分母の値よりも小さい分数(特に有理数)は、
真分数(しんぶんすう、
proper fraction)と呼ばれ、そうでないものは
仮分数(かぶんすう、
improper fraction)という。
帯分数(たいぶんすう)は、小数表示との類似の記法で、整数部分と真分数部分の和によって任意の有理数を記す。日本では小学校で習うにもかかわらず、(積の記号を省略したものと紛らわしいためか)それ以降で使用することは稀である。学問の場ではほとんど見かけないが、商業的には商品の在庫などを「○個と半端」と書き表すのに都合が良いため使われることがある。実生活的な表記といえよう。
たとえば帯分数で表された は、
-
を意味し、
-
となるので、仮分数での表示は
である。
関連項目
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