光学異性体(こうがくいせいたい)とは、立体異性体の性質のなかで旋光性のみが逆を示し、旋光性以外の物理的性質および化学的性質は同一の異性体である。光学異性体は分子構造に全く対称性が無い場合あるいは回転対称性のみを持つ場合に表れる。
言い換えると、キラリティーや鏡像異性体(きょうぞういせいたい)、対掌体(たいしょうたい、antipode)は、立体異性体すなわち分子構造の対称性についての分類であるのに対して、光学異性体は光学的性質(旋光性や円二色性)の違いに基づく分類である。
光学活性体(こうがくかっせいたい)は光学異性体を意味する場合もあるが、1対の光学異性体の1:1でない混合物も含めていうこともある言葉である。また光学活性を持つ異性体であっても複数のキラル中心を持つ場合、旋光性以外の性質(溶解度)や化学反応性に違いがある立体異性体の対をジアステレオマーと呼ぶ。それに対して旋光性のみが逆の立体異性体の対をエナンチオマー(enantiomer)と呼ぶ。
対掌と鏡像の用語の使い方には注意が必要である。 「鏡像体であればそれは光学異性体である」とはいえない。例えば、2つのメタン分子は鏡像であるが重ねあわせができる同一のものであり、光学異性体ではない。対掌という用語には「両手の形のようにたがいに重ねあわせができないもの」という前提を持つ鏡像である。すなわち、鏡像は対掌を包含している。
光学異性体を持つ有機化合物は、分子内に不斉原子を持つが、化合物中に不斉原子が複数存在する場合に構造によっては分子内対称面(鏡像面)を持つことがあり、その様な分子はメソ体と呼ばれ偏光面を回転しない。すなわち、不斉構造を持つ化合物がすべて旋光性を示すわけではない。
IUPAC命名法では右旋性を(+)で左旋性を(-)で表し、絶対立体配置が左手系の異性を表すときS、右手系の異性を表すときRを用いる。ただし、旋光性と絶対配置の間に法則性は無いので、両者の関係は独立している。
また、歴史的経緯により、d, l も用いられるが、旋光性ではなく相対立体配置を意味する場合があるので注意が必要である。現在のIUPAC命名法では相対立体配置はD, Lで表すのが正しい。
ちなみに、d, l はdextro-rotatory(右旋性)、levo-rotatory(左旋性)に由来する。dextro、levoはそれぞれギリシャ語の右、左を意味する語から来ている。一方、R、Sはラテン語の右、左を意味するRectus、Sinisterに由来する。
生化学では、光学異性体の区別が重要になる。生体を構成する物質に異性体が多いためである。
إينانشيومير | Enantiomer | Enantiomer | Enantiómero | Enantiomeeri | Enantiomero | Enantiomeer | Enancjomer | Enantiomer