乗り物酔い(のりものよい)とは、航空機・列車・自動車・船舶・遊園地の遊具など、各種の乗り物が発する振動が原因で、体の内耳にある三半規管が体のバランスを取れなくなって引き起こす身体の諸症状である。
医学的には動揺病または加速度病と呼ばれる。
症状
最初は
めまい、生
あくびなどの症状から始まり、次第に
冷や汗、
動悸、
頭痛、
吐き気といった諸症状を催す。さらに悪化した場合、
嘔吐が起きる。あまりにも嘔吐を繰り返すと、極端な場合は脱水症状に陥り、
点滴が必要になる場合も起こりうるが、そこまでの状態になるケースは至極まれである。
なお、乗り物から降りた場合、しばらくすると症状は回復するのが普通である。
乗り物酔いの例
乗り物別の酔いやすさには個人差があり、例えば自動車には全く酔わない人でも船舶には酔いやすかったり、列車や飛行機には全く酔わないのに自動車には酔いやすいという人もいる。
発生しやすい年代
酔いやすさには個人差があるが、成長期の5歳~15歳、すなわち主に小中学生において発症しやすい傾向にある。これが苦痛となって
遠足が憂鬱になる子供も少なくない。15歳以降は年齢を重ねるごとに次第に発症しにくくなり、20~30歳代の人は特に発症しにくい。しかし40歳ごろから55歳ごろにかけては若干発症しやすい傾向にある。
男女別では、成長期までの子供については女子のほうが発症しやすいが、20歳以上の人については男子のほうが発症しやすい傾向にある。
発生しやすい状況など
- 視覚も関わっており、乗り物の中で読書や携帯ゲーム機のプレイなど、眼球の動きを細かくするような行為をすると酔い易い。逆に、窓から遠くを眺めるなどすると酔いにくい。
- 身体が振動しなくても、視覚的な振動の刺激(振動するカメラで撮影した動画を見るなど)だけでも「酔う」ことがある。特に上下動による効果が大きい。視覚と三半規管の感覚とが不一致を起こすためといわれる。
- 上と同様にして、3DCGを利用したシミュレータやコンピュータゲームによって酔うことがある。「3D酔い」と呼ばれる。
- 学習効果があり、実際に揺られなくてもバスの排気ガスや車内の匂いをかいだり、あるいは暖気にあてられるだけで酔う人も少なくない。
- 自動車酔いする人でも、自分が運転する自動車では酔わないことが多い。他人の運転では酔いやすく、飛行機のパイロットでさえも、他人の操縦する飛行機では酔うことがあるという。
- 睡眠不足や、空腹、食べすぎの状態だと酔いやすい。
- 人間に限った症状ではなく、ペットや家畜なども乗り物酔いを起こす。マイカーに犬を乗せると、犬が乗り物酔いを起こすことがある。生簀などで魚を運ぶ場合、魚は乗り物酔いの状態となっている。ただし、ウサギやハツカネズミ(マウス)など、乗り物酔いを起こさない種もある。
対策
搭乗前の対策
- 睡眠をしっかりとる。
- 空腹を抱えたり、食べ過ぎた状態での搭乗は避ける。
- 列車の場合、振り子式車両は(最近ではかなり改善されているが)乗り物酔いを起こしやすい傾向にあるので、できるだけ乗車を避けたほうが無難である。
- 酔いやすい人は市販の酔い止め薬(抗ヒスタミン薬)を事前に服用する。振動が嘔吐中枢に伝わる経路が遮断され、振動が気にならなくなる。酔い止め薬は搭乗後、酔ってから服用しても全く効果はない。
- 嘔吐に備えて、使い捨てのビニール袋などを準備する。高速バス・観光バスなどでは座席前方のポケットにビニール袋(通称:鬼太郎袋)が備え付けてある場合が多いので利用するとよい。
搭乗中の対策
- なるべく進行方向を向き、体をできるだけ安定させる。
- 搭乗中の読書、ゲーム機やパソコンの使用は避ける。テレビ・ビデオ付きであっても、鑑賞は避けたほうが無難。
- 前の席の背を注視しない。窓の外の遠方の景色を見ると酔いにくい。
- バスの場合、車両前方は後方より揺れが少ないため酔いにくい。
- 換気を良くする。窓が開閉可能であれば、できるだけ開けた方がよい。
- 酔う、酔わないには精神的な部分も大きく、友達と騒ぐ、歌を歌う、飴をなめる、音楽を聴く、眠ってしまうなども、乗り物酔い防止に一定の効果がある。
普段の対策
振動に慣れると乗り物酔いになりにくくなる。このため、ブランコやシーソーなどの揺れる遊具になじんだり、色々な場所に行って様々な種類の交通機関を利用したりするなどの行為は効果がある。
なお、乗り物酔いのなりやすさと健康の度合いは全く無関係である。すなわち、病気をほとんどしなくとも酔いやすい人もいれば、逆に病気がちでも酔いにくい人もいる。
その他
平安時代の書物の中でも、
牛車で乗り物酔いを起こす
貴族の姿が描かれている。
関連項目
外部リンク
交通 | 病気
Reisekrankheit | Motion sickness | Cinétose | Zeeziekte | Sjösjuka | 晕动病