リベラルアーツ・カレッジ(Liberal arts college)は、アメリカ合衆国の大学教育制度の中に見られるリベラルアーツを主体とする大学のことである。教養大学ともいう。その性質上、少数精鋭制をとる大学が多い。一般に、リベラルアーツ(自由学芸)とは、人文科学・社会科学・自然科学・芸術・語学・体育などを含むリベラル・エデュケーション(教養教育:エリートのための教育)のディシプリン(専門分野)のことであり、古くは古代ギリシア、中世西欧のアルテス・リベラーレス(自由七科)にまで遡るものである。もうひとつのリベラルアーツの概念として、人として等しく受けるべき教育としてのジェネラル・エデュケーション(一般教育:市民のための教育)がある。ジェネラル・エデュケーションは、20世紀初頭の米国の大学にその淵源を見ることができる。初等・中等教育では普通教育に相当するものである。
今日の西欧では、イギリスのパブリックスクールやドイツのギムナジウム、フランスのリセなど主に中等教育機関(日本における高等学校課程)において、リベラル・エデュケーションは施されてきた。しかし、米国では主として高等教育機関(学士課程)で施されてきた歴史を持つ。総合大学においても、プリンストン大学やウィリアム・アンド・メアリー大学など伝統のある名門大学の中にはリベラルアーツを重視する大学もある。
その一方で、米国にはリベラルアーツ・カレッジと呼ばれる規模の小さな大学が存在する。教会から発展したものが多く、エリートの養成としての役割が高かったが、最近は少数先鋭の授業と環境の良さからアッパーミドルクラス(日本の中産階級の家庭に似ている階層)の師弟が多く、女子大学も多い。実際にヒラリー・クリントンもリベラルアーツ・カレッジの女子大学出身である。東部に名門校が多い。これは東部がアメリカ合衆国独立前からあったためで西部ではUCLAのような名門州立大学に名門校が偏る傾向がある。
リベラルアーツ・カレッジでは、リベラルアーツの伝統に基づき、一般に少人数体制によるリベラル・エデュケーションが施される。少数精鋭制の中で基礎教養を磨くとともにものの考え方を養うことに重点を置いているため、卒業後に大学院で専門分野の研鑽を進めるにあたって非常に有利であり、アイヴィー・リーグに匹敵するような評価の高い大学もある。有名なリベラルアーツ・カレッジは東海岸に多く、マサチューセッツ州のアマースト大学、ペンシルバニア州のスワースモア大学などがよく知られている。その他の地域では、オハイオ州のオベリン大学やカリフォルニア州のポモナ大学などがつとに有名である。
こうしたリベラルアーツ・カレッジは私立大学で、学生数が1,000人から2,000人程度の小さな全寮制の大学である(ハーバード大学の学部生数は、6,500人程度で、更に13,000人の大学院生がいる)。また、学生1人あたりのコストが高いため、総じて学費は高い。学部教育のみが行われ、大学院は持たない場合が多い。学生たちは、人文科学・社会科学・自然科学にわたる諸分野のなかから、コースを選択する。多くのカレッジでは、主専攻(メジャー)と副専攻(マイナー)の2つのコースを履修する。リベラルアーツ・カレッジの多くは地方都市にあって、寮を備えているところも多い。
日本においては、基礎的な教養を高等学校の普通科で学ぶことが多い。したがって大学においては、複数の学部を有する総合大学か、専門分野に特化した単科大学に大別され、少数精鋭制をとってリベラルアーツに重きを置く大学・学部はごく少数である。日本でこのような教育を行う大学としては国際基督教大学(ICU)が挙げられる。また、総合大学の中でも、上智大学の比較文化学部や早稲田大学の国際教養学部などでこのような教育が行われている。
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