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ラテン語(-ご)とは、インド・ヨーロッパ語族イタリック語派言語の一つ。ラテン・ファリスク語群。ローマ帝国の公用語として広く普及し、帝国滅亡後も西ヨーロッパを中心に広く使われ、現在でも専門用語・学術用語などに用いられている。

概要


もともと、 イタリアの南部のラティウム(、ローマを中心とした地域。今はと呼ばれるイタリアの州のひとつ)においてラテン人により用いられていた言語であったが、ローマ帝国公用語となったことにより、広大な版図に伝播した。現行のローマ字から"j"、"u"、"w"を抜いた23文字のアルファベットで用いられていた。ギリシア語から多くの語彙を取り入れ、学問思想などに高度な表現が可能となった。東ローマ帝国においてはやがてギリシア語が優勢になったが、今日の西ヨーロッパに相当する地域においてはローマ帝国滅亡後もローマ教会の公用語となり、長らく文語の地位を保った。現在でもバチカン市国の公用語はラテン語である(ただし、実際の使用は公文書やミサなどに限られ、日常的に話されているわけではない)。

中世においては公式また学術関係の書物は多くラテン語で記され、現在でもラテン語が残っている。例えば、生物の種の命名はラテン語を使用する規則になっている。また、法学においても、多くのローマ法の格言や法用語が残っている。19世紀までヨーロッパ各国の大学では学位論文をラテン語で書くことに定められていた。

現代医学においても解剖学用語は基本的にラテン語である。(これは、かつて誰もが自由に造語して使っていた解剖学語彙を、BNA(バーゼル解剖学用語)、PNA(パリ解剖学用語)などで統一した歴史的経緯が関連している。つまり、用語の統一にラテン語が用いられたのである。そのため、日本解剖学界により刊行されている「解剖学用語」も基本的にはラテン語である。)もっとも、近年では英語表記の解剖学書も増えている。欧米の教科書でも、ことに臨床医学の書籍ではラテン語の用語と自国の用語が混在している状態で、ややわかりにくい。

今日のロマンス諸語(東イタリア語ルーマニア語、西スペイン語フランス語ポルトガル語など)は、ラテン語から派生した言語である。また、ドイツ語オランダ語英語などのゲルマン諸語にも文法や語彙の面で多大な影響を与えた。

ウイルス」()など、日本語でも一部の語彙で用いている。森鴎外小説『ヰタ・セクスアリス』は、ラテン語の(セクシャル・ライフ)のことである。ただし日本語ではもとのラテン語の長短の区別が意識されない場合がほとんどである。

歴史


Errare humanum est.jpgである」
古代ローマの金言]]

古典ラテン語(Classical Latin)

古典期においては、(スクリプティオー・コンティーヌア、続け書き)といって、分かち書きにする習慣がなかった(碑文などでは、小さな中黒のようなもので単語を区切った例もある)。また、大文字のみを用いた。

ラテン文学の黄金期(Golden Age of Latin Literature、紀元前1世紀頃)

ラテン文学の白銀期(Silver Age of Latin Literature、1世紀頃)

中世ラテン語

教会ラテン語

近代

近代においても、ラテン語は広く欧州知識人の公用語として用いられた。トマス・モアの「ユートピア」の原書はラテン語で執筆されているし、デカルトの有名な「我思う、ゆえに我あり」( コーギトー,エルゴー・スム)もラテン語である。また、近年ではイギリスエリザベス2世女王が1992年を評して(アンヌスホッリビリス、ひどい年)とラテン語を使ったことが有名である。

だが、ラテン語は今日の欧州ではそれほど使われていない。欧州諸国では戦前までは中学や高校の必修科目にラテン語が指定されていたが、現在では日本での「古典」に相当する科目として存在する程度である。

ラテン語は言語としては権威あるもののひとつであり世界的に高い地位を有する言語であるのは確かだが、日常会話という観点からみると、現代ではラテン語で会話する光景ほとんど見ることがないため、死語に近い言語のひとつであるとも言える。

しかし、今でも知識人層の一部には根強い人気がある。Wikipediaにラテン語版があるのはその一例だし、フィンランドの国営放送が定期的にラテン語でのニュース番組を放送している。また、インターネットの利用の拡大に伴ってラテン語に関心のある個人が連携を強めており、各種の活動が広がってきている。

また、生物などの学名は原則としてラテン語でつけられており、学術用語としての地位を保っている。

ラテン語は、ギリシア語からの影響も受けているが、その派生語は非常に多い。ラテン語圏のロマンス語などは言うまでもなく、英語ドイツ語にもラテン語からの引用語は多い。また、ラテン文字を参考にしてケルト人は、オーガム文字ノルマン人古代ゲルマン人)は、ルーン文字を編み出すのである。

表現


挨拶

ラテン語意味
salve/salvete今日は
vale/valeteさようなら
ut vales?御機嫌いかが?
optime valeo, gratias agoとても良いです。有難う。
bonum diem今日は
bonam vesperum今晩は
bonam noctemお休みなさい
mihi ignoscasごめんなさい

食べ物

ラテン語意味
aqua, aquae (f.)
aranciata, aranciatae (f.)オレンジジュース
banana, bananae (f.)バナナ
botulus, botuli (m.)ソーセージ
bubula assa, bubulae assae (f.)ステーキ
butyrum, butyri (n.)バター
caseus, casei (m.)チーズ
cervisia, cervisiae (f.)ビール
citreum, citrei (n.)レモン
cola, colae (f.)コーラ
Hammaburgensis, Hammaburgensis (m.)ハンバーガー
lactuca, lactucae (f.)レタス
oryza, oryzae (f.)
panis, panis (m.)パン
pasta vermiculata, pastae vermiculatae (f.)スパゲッティ
perna, pernae (f.)ハム
piscis, piscis (m.)
pitta, pittae (f.)ピッツァ
placenta, placentae (f.)ケーキ
poma terrestria assa (n. pl.)フレンチポテト
scriblita, scriblitae (f.)タルト
tomata, tomatae (f.)トマト
uva, uvae (f.)葡萄
vinum, vini (n.)ワイン

現代も使われる表現、日本への影響


現代の言語においても古典ラテン語の慣用表現が使われていることが少なくない。また、ラテン語起源で日本語に入った言葉は非常に少なく、それもほとんどは英語などの近代西洋諸語を経由したものである。

また、& 記号(アンパサンド)はラテン語のの合字が記号化したものである。 ラテン語由来の商号として以下のものがある。

関連項目


参考文献


  • 『はじめてのラテン語』 ISBN 4061493531
  • 『羅和辞典』 ISBN 4767490243

外部リンク


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