| Ayasofya tr 003.jpeg・アヤソフィアにある、キリストと11世紀の東ローマ皇帝コンスタンティノス9世夫妻のモザイク]] |
モザイクで飾られた床は古代ローマの時代のものが有名で、グレート・ブリテン島からシリア地方のドゥラ・エウロポス、北アフリカ一帯に至るまで広い範囲で発掘されており、豪華なモザイク床は贅沢なローマ時代のヴィラを特徴付けている。ローマ市では、皇帝ネロが建築家たちに命じ、モザイクを使って黄金宮ドムス・アウレア(西暦64年着工)の壁や床を覆わせた。
4世紀末にキリスト教徒が建築したバシリカ(教会堂)では、床や壁のモザイク装飾はそのままキリスト教の目的のために流用された。キリスト教のモザイク装飾の最も偉大なものは東ローマ帝国の時代に花開き、首都コンスタンティノポリスをはじめ、イタリア支配の拠点ラヴェンナやシチリア島の領土でもモザイクが大聖堂を飾った。(ビザンティン美術を参照)特にラヴェンナは『モザイクの首都』とも呼ばれるほど多くの遺産が残り、モザイクの研究や教育もさかんである。サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂、サン・ヴィターレ聖堂、ガッラ・プラキディア廟堂など世界遺産にも指定された建築群が公開され観光名所になっている。
モザイクは東方正教会の伝統を受け継ぐ国、例えばロシアなどでも教会や宮殿を飾るのに用いられた。東ローマ帝国のライバル、ヴェネツィアでも、サン・マルコ大聖堂の内外装をモザイクが覆っている。西ヨーロッパでは、労力のかかるフレスコ画の技術が、労働集約的なモザイク技術にかわり建物の壁面装飾の分野で主流になった。
イスラム建築では、モザイク技法は複雑な幾何学模様、アラベスクを作るために使われる。中国から伝わった、釉薬で彩ったタイルを用いた手法はモロッコなど北アフリカではゼッリージュ(zillij)、イランなど中東ではカーシャーニ(qashani)またはカーシーと呼ばれる。その最良の例の一つがイスラム教の支配下にあったイベリア半島にあり、アルハンブラ宮殿などに見ることができる。
近代においても多くの建築物がモザイクで飾られているが、異色のものはアントニオ・ガウディとその弟子ホセ・マリア・ジュジョールが手がけたバルセロナのグエル公園であり、動物のオブジェや波打つベンチが色鮮やかなタイルによるモザイクで覆われている。
画家のマウリッツ・エッシャーはアルハンブラ宮殿で見たムスリムのモザイク画に影響を受け、モザイク模様の研究や平面充填の研究を始め、これを利用した作品を数多く制作した。
直接技法は、また持ち運びできるような小さな作品作りに向いている。その他の優れた点は、モザイクが出来上がるのがだんだんと見えてくるので、次に置くタイルの位置や色の調節がしやすいことにある。
しかし欠点は、作業する壁面の前で直接作業しなければならないことで、長期間にわたる作業には不向きなことである。それゆえ大規模な作業には向いていない。また、大きくなればなるほど完成したモザイクの平らさをコントロールすることが困難になる。これは特に、テーブルや床などのモザイクの制作ではきわめて重要になる。
現代の直接技法は、二重直接技法(Double Direct)とも呼ばれるもので、グラスファイバーでできたメッシュにモザイクを直接貼ってゆく技法である。モザイクは三次元の表面上で望む向きに合わせて徐々に作られ、最後にメッシュごと、モザイクで飾る予定の面に移す。大きな作業もこの方法で行い、モザイクを貼ったメッシュは運送のために一旦細かく切られ、現地での設置の際に再び組み合わされる。この方法だと、職人はモザイクを貼る現地でなく、快適なスタジオやアトリエで作業ができる。
間接技法と二重間接技法は、両方とも部分ごとに作ることができ、非常に巨大な壁画などを現地以外の比較的小さなスタジオで制作でき、さらに細かく分けた部分を現地に運ぶ際に巨大なトラックは必要としない利点がある。
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