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マニュアルトランスミッションとは、広義では人間が意識的に変速比を切り替える必要のある変速機全般を指し、狭義では変速比の操作の際にクラッチ操作を伴う変速機構、またはそのような変速機構を搭載した自動車を指す。
自動車のトランスミッションでは、マニュアル、ミッションまたはMTとも省略される。
乗用車の場合、一般的なトルクコンバータを採用したオートマチックトランスミッションと比較すると、
- トルクコンバータの構造上発生する駆動ロスが存在しない。
- 介在する機械的な要素が少ないため、車両やエンジンの挙動を把握し易い。
- 構造がオートマチックに比べて簡素なので、発進時に意図的にホイールスピンなどをしてもミッションブローしにくい。また、壊れても欠けたギアの交換で済むなどオートマチックのようにミッションアッセンブリー全ての交換が必ず必要とは限らないので修理費が安い。
- 一般的なオートマチック車と比較した場合、変速比の選択肢(ギアの段数)を多くもつものが多く、特に高速巡航時の燃費節約に効果的である。
- ギアの選択肢が多いことから、適切な変速比を選択し続けることによって理論上はより高燃費や高出力を得やすい。
- シフト操作・クラッチ操作を常に人間が意識的に行う必要があるため、運転操作が散漫になりにくく事故を起こしにくい。
…といったメリットがある。
逆にデメリットとしては、
- シフト操作の際に多くはクラッチ操作も伴うため、特に渋滞時や坂道発進には多少の習熟を要する。
- シフト操作を常に人間が意識的に行う必要があるため、操作が煩雑であり状況によっては不注意や操作ミスを誘引しかねないリスクもある。
- 理論上は有利とされる高出力や高燃費もそれを操作する人間の判断に左右されるため、不適切な操作を繰り返すと却って非効率的な結果を招く。
…などがある。
多くの場合、操作にはクラッチ操作も伴われることから作動には機構への理解と多少の習熟を要求されるため、子供のいたずら等による暴走の危険性が少なく、安全性が高いとされる。
その一方で、過去には停車時にローギアに入れたことを忘れたままクラッチを踏まずに始動させてしまったり、始動前からエアコンのスイッチをONにしている等して車両を暴走させてしまい、物損事故や人身事故を招くという事例も発生している。
クラッチ・スタートシステム
鍵を差し込んでもクラッチを踏まない限りセルモーターが回らず、エンジンが始動しない
フェイルセーフシステム。MT車の始動時における誤発進を防ぐために取り付けられている。誤操作による事故が多発したことから、現在の四輪車においては採用が義務付けられている。
しかし、このシステムの採用は、「セルモーターで強引に車を動かす」という、以前から多用されているエンジンの始動ができなくなった状態での
踏切等からの脱出法が使えなくなるというリスクを伴う。
”マニュアルモード”という表記が与える誤解
自動車のカタログに「マニュアルモード付き5速トランスミッション」や「マニュアルモードパドルシフト/ステアシフト」といった表記がされることがある。知識のない人にとって、これらはあたかもクラッチを無くしたマニュアルトランスミッションであるかのようにも思われるが、実際は
トルクコンバータ式
オートマチックトランスミッションもしくは
CVTのギア選択を手動でも出来るようになっているだけである。したがって、これらのトランスミッションの特性は
オートマチックトランスミッションと同じである。なお、
ステアリングホイール(ハンドル)にギアセレクタパドルが付いているタイプのものは
フォーミュラカーのものをモデルにしているが、実物のフォーミュラカーのパドルシフトは
オートマチックトランスミッションではなく、
セミオートマチックトランスミッションである(ただし、
フェラーリの一部市販車種に搭載されている「F1マチック」や
アルファロメオの一部市販車種に搭載されている「セレスピード」はF1と同じセミオートマチックトランスミッション)。
関連項目
エンジン | 機械 | 自動車のトランスミッション
Manual transmission