マクロファージ(Macrophage, MΦ)は白血球の1つ。免疫システムの一部をになう細胞で、生体内に侵入した細菌、ウイルス、又は死んだ細胞を捕食し消化する。別名大食細胞、貪食細胞とも。名称は、ミクロファージ、小食細胞に対する対語として命名されたが、これは後に様々な機能を持つリンパ球などとして再分類され、名称が死語化した。
進化上ではかなり早い段階から存在し、脊椎動物・無脊椎動物を問わずほぼ全ての動物に存在している。B細胞等他の白血球はマクロファージから進化しており、血管や心臓を構成する細胞とも起源は同じである。
マクロファージが貪食した異物は小胞の形で取り込まれる。細胞内で小胞はリソソームと融合し、リソソーム中に存在する様々な加水分解酵素の作用により分解される。
マクロファージによる抗原提示のシグナルは、T細胞のなかでもヘルパーT細胞と呼ばれるリンパ球に伝達される。ヘルパーT細胞の表面には、CD4というヘルパーT細胞特有の表面タンパク質と、T細胞受容体(TCR, T-cell receptor)と呼ばれる受容体タンパク質が存在しており、それぞれがマクロファージのMHC-IIと、マクロファージによって提示された抗原と結合することによって、ヘルパーT細胞が活性化される。T細胞受容体の構造は、そのヘルパーT細胞ごとに異なっており、マクロファージによって提示された抗原断片とぴったり合う受容体を持つヘルパーT細胞だけが活性化される。
活性化したヘルパーT細胞は、インターロイキンやリンフォカイン等のホルモン様物質(サイトカイン)を生産することでマクロファージを活性化するとともに、自分が認識するものと同じ抗原を認識するB細胞を活性化させる。活性化したB細胞は抗体産生細胞に分化して増殖し、抗原に対応する抗体を作成し、放出する。抗体は抗原に特異的に結合し抗体-抗原複合体を作る。マクロファージはこの抗体-抗原複合体に引きつけられ、そしてこの複合体を貪食する。この際T細胞はリンフォカインを放出するなどしてマクロファージを活性化したり、B細胞の増殖、分化を助ける。
ある種のサイトカインは単球の成熟を促進し、マクロファージの増殖させ貪食作用を活性化する、またあるものはマクロファージを集め抗原を攻撃させる。これらの働きにより炎症反応が強くなる。
その一方で、過剰な活性化などのマクロファージ機能の異常は、免疫システムの多くの病気に関わっている。例えば、炎症壊死を起こした組織を覆い、肉芽腫を形成する。また、アテローム性動脈硬化が進行する上でも重要である。マクロファージの役割の1つとして、血管壁にたまった変性コレステロールの処理があるが、変性コレステロールが処理しきれないほど多く存在する場合、血管壁の下に潜りんだまま泡沫化しその場に沈着する。これがアテローム性動脈硬化の原因である。
また一部の病原細菌やウイルスには、マクロファージによって貪食されても、その食作用を回避する機能を獲得しているものがある。細菌としては、リステリア、赤痢菌、チフス菌、レジオネラ、結核菌などがその代表である。またウイルスでは、エイズの病原体であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)が、ヘルパーT細胞とマクロファージに感染する。マクロファージによる殺菌を免れた病原体は、その細胞内部に感染(細胞内感染)する。マクロファージ自体は強い殺菌作用を持っているが、その内部には抗体やその他の免疫による攻撃が到達しないため、病原体が感染したマクロファージは却って病原体を保存したり、全身に運んだりすることで、その病原性の発揮に関与する。例えば、チフス菌は腸管に侵入した後、腸間膜リンパ節のマクロファージに感染して血流に入り込んで、全身性の感染(菌血症)を起こす。また結核菌やHIVでは、マクロファージ内に感染した病原体は長期に亘って潜伏感染し、感染後、長時間が経過してから重篤な病状が現れる。
Makrophage | Macrophage | Macrófago | درشتخوار | Makrofagi | Macrophage | מקרופאג' | Macrofaag | Makrofag | Macrófago | Makrofag | Makrofaj | Đại thực bào | 巨噬细胞