シティ(City)は本田技研工業の乗用車。 排気量は1200 - 1300ccクラスでボディはハッチバック型。
後にハイルーフ仕様のマンハッタンルーフとオープン仕様のカブリオレも追加されている。 マンハッタンルーフにはオプションで天井にスピーカーをつけるか、電動サンルーフが選べた。 カブリオレについては、ピニンファリーナが手がけたデザインで、岐阜県の「東洋工機」(現:パジェロ製造) で生産されていた。日常生活にも使用が耐えうる実用的なデザインということもあり、マツダ・ロードスターが発売されるまで、それまでの日本のオープンカーの歴史の中で最も売れた車種となった。また、少量生産の特徴を生かし12色のボディーカラーが用意されていた。
ちなみにモトコンポと呼ばれる折りたためばシティのトランクにピッタリの50ccのバイクが発売されていた。
また、吉崎観音原作の漫画およびアニメ「ケロロ軍曹」では、このAA型のターボIIが日向秋(冬樹と夏美の母親)の愛車として登場している。ボディカラーは赤。
当時のホンダのMM思想(Man-maximum Mecha-minimum)を受け、軽自動車枠のサイズであるJW型トゥデイのフォルムをベースとし、シビックとの間を埋めるコンパクトカーを作る、という発想の元に開発が進められたモデルとされる。その傍証として開発コードがWXB(XBはJW1トゥデイの開発コード)であったことが挙げられる。
元々JW型のトゥデイは、発想として省燃費性を追求するために「空気抵抗、特に前方投影面積を起源とする抵抗を軽減する」形状を模索した結果生み出されたものであり、これを小型車枠でも実現しようとした、ということらしい。実際、形状もさりながらGA1のベーシックグレードでは車両重量は700kgを大きく切っていた。
ただこのGA型、開発当初はAA型シティ後継モデルとして企画したものではなかったようである。販売チャンネルの問題と、AA系シティがモデルチェンジの時期を迎えていたという現実が、開発コードWXBを持つ車両にシティの名前を与える原動力になった、との見方が強い。
実際「トールボーイ」というキャッチコピーを与えられたAA型の形状は、その後1990年代に登場するスズキ・ワゴンRが追求した「居住性向上を高さ方向に積極的に求めるデザイン」を先取りしていたのに対し、GA型は「クラウチングフォルム」というキャッチコピーを持つ、ロー&ワイドなデザインであった事もあり、「シティ=トールボーイ」というイメージを持つAA型のオーナーは大いに戸惑った。
上記開発、販売までの変遷をたどり、AA型の後継として1986年10月、GA1のシティが発売された。キャッチコピーは「才能のシティ」。
GA1のエンジン構成はシングルキャブ1200cc(D12Aエンジン)1カム(SOHC)16バルブ(1986年当時、このクラスとしては初のメカニズム)のみで、装備品等の違いによってGG/EE/BBの3グレードで商品展開を行った(GA1-100番台)。後述するGA2へのマイナーチェンジ時に、外装はGA2だがエンジンはD12AというBEなるグレードも存在した(GA1-110番台)。これは分類上GA2の外観を持つが型式はGA1である。
GA1発売の2年後、マイナーチェンジによって主力エンジンは1300cc(D13Cエンジン)に変更された(GA2-100番台)。
このときに、従来のシングルキャブ仕様に加えインジェクション仕様が追加された。
旧GA1の標準グレードEEの継続モデル的意味合いが強いシングルキャブモデルにはCEというグレードが与えられた。GA1では最上級であったGGに対してはCGというグレードが設定された。
また、上位モデルとして発売されたPGM-FIを搭載したモデルは、廉価版のCR-iと、トップグレードのCZ-iの2グレード構成となった。
2代目であるGA型は、上記の変遷をたどった。だが総じて販売は振るわなかった。
販売力強化を目的に、CEの装備を充実させたお買い得グレード(CE Fit)が、インジェクションモデルではCR-iベースの限定高級グレードであるCR-i Limitedが中期に投入されるものの、販売台数は伸びなかった。
最終的にシティという名称を持つモデルはこの代で途絶え、GA系車両としては「ロゴ」/「キャパ」が代替ブランドとして発売された。
市場からは拒否されたが、ホンダの思わざるところでシティの才能は花開いた。
元々は省燃費性を狙った車両自体の軽量さ、空力の向上が主目的の全高の低さ、絶対的なパワーよりも実用域のトルク、省燃費性、あらゆる意味での軽量さを重視したエンジンは、フロントオーバーハングの小ささなどとも相まって卓越した運動性能をもたらし、モータースポーツのベース車両としては非常に成功した。このあたりの遍歴はCR-Xの系譜にも見ることができる。
実際乗ってみると、車内の横方向への広がりは強調されているもののボンネットのオーバーハングは短く、感覚的にすぐ足下の路面が見えるような錯覚にとらわれる不思議な乗車感を与えてくれるモデルである。
また、非常に高いコーナリング性能のためか、未だに熱烈なファンが存在する。特に、モータースポーツへの参加車両としてこの車両を選んだ競技者で「この車だけは別」として手放さないユーザが多いことも知られている。
シティの2代目後期モデル(GA2型)はエンジン性能こそ平凡だが軽量なボディと低い重心を活かしてジムカーナ、ダートトライアルなどの競技、圧倒的な省燃費性とコーナリングスピードを活かした長時間耐久競技、コーナースピードと脱出加速能力がものを言うミニサーキットでのサーキット走行では現在に至るまで侮れない存在である。
特にジムカーナでは2003年にレギュレーションが変更されるまでのA1クラス(無改造1400cc以下)ではこの車でなければ勝てなかったと言われている。